T I M E L I N E

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サウジへの兵器輸出協定締結の意図

債務超過に苦しむ米国にとって兵器輸出は切り札とも言えるカードである。9日間にわたる中東訪問で、関係が希薄になりつつあったサウジアラビアへの1,100億ドル(約12兆円)の兵器輸出に関する契約にこぎつけた。契約には上記の他にも10年間で3,500億ドル(約39.2兆円)の追加輸出が含まれている。ビジネスマンとしてのトランプ大統領の面目躍如といったところだ。直接的には貿易収支改善への寄与があるが、それ以外に国内の防衛産業の雇用対策も効果が大きい。

May 22, 2017

消えたトランプの蜜月~増大するネガテイブ報道の実態

トランプ大統領は大統領選の当選直後から、日常的にリベラル派の主要メディアから批判、攻撃、事実を歪曲した報道を受けてきた。メディアを「抵抗勢力」、「フェイクニュース」と呼び、自身、政権、政策に関して正当に報道されていないことを訴えてきたが、批判や攻撃が増すばかりである。トランプ大統領を主題にした報道の内容の大半が否定的であることは、ハーバード大学の最新研究報告「ドナルド・トランプ就任から100日間のニュース報道」でも明らかにされた。

May 21, 2017

国際的犯罪組織として訴えられたドイツ銀行

現在、イタリアのミラノ裁判所で、ドイツ銀行と野村ホールディングスがモンテ・パスキ・ディ・シエナ銀行と共謀して損失隠し、財務虚偽報告に関与したとする裁判が行われている。検察により押収されたドイツ銀行の内部資料で、ドイツ銀行は当時組織ぐるみで不正行為を行っていたことが明らかとなった。そのため、原告側は裁判所にドイツ銀行を「国際的犯罪組織」として判決を出すことを求めた。

May 19, 201

仮想通貨バブルは不換紙幣の信用喪失の始まりか 

ビットコインは、仮想通貨全体の時価総額の60%を占めている。現在、ビットコイン価格は$1,720(5/16/2017時点, WorldCoinIndexで、金価格より28.2%高い。決済手段としての利用が広がり、2年前と比べ価格は640%上昇している。欧州に続き、日本では公式に「貨幣」と認定、7月にはオーストラリアでも法定通貨になる予定である。

May 17, 2017

コネチカットの金融中心ハートフォード市に破綻の危機

豊かであるはずのハートフォード市にデトロイト市のような破綻の危機が迫っている。市の行政当局は法律事務所と連邦破産法第9条の申請の検討に入っている。市長のブローニン氏はコメントを控えているが法律事務所と法的措置の検討を始めたことを認めた。

May 16, 2017

組織が身代金対象となったサイバー攻撃

月にShadow Brokersと名乗るグループが、米国家安全保証局(NSA)が開発し、サイバー攻撃に使用しているWindowsの脆弱性ツールを公開した。この攻撃ツールの悪用が懸念されていたなかで、12日に国際的な大規模サイバー攻撃が相次ぎ、現在日本を含む世界100カ国の政府機関、企業、病院、大学、地方自治体、公共交通機関などが攻撃を受けたとされる。

May14, 2017

FRBバランスシート縮小で高まる米国銀行の預金流出リスク

JPモルガン・チェースは、顧客向け非公開の最新レポートで、12月以降起きると想定される預金流出に備え、全米の中小銀行の合併を推進することを明らかにした。連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和政策で膨らんだバランスシートを12月から縮小を始めるため、その影響で特に中小銀行の経営環境が悪化するとみられる。

May 11, 2017

テキサス金塊・貴金属保管庫の設立~独立に向けた一歩

テキサス州のアボット州知事は2015年に、テキサス大学投資管理会社が保有する約6.5億ドルの金塊が保管されているニューヨークの HSBCの地下金庫から回収すると同時に、アメリカ初の州政府運営の金塊・貴金属保管庫、テキサス版「フォート・ノックス」を設立するための法案に署名した。

May 09, 2017

再出発するフランスに変革を求める勢力

選挙前の予想通りフランス大統領決戦投票は中道派のマクロン候補の圧勝となった。世論調査の結果のマクロン支持率は実際の支持率(65.2%)と1%以下の誤差となった。

May 08, 2017

決戦投票を控えたマクロン氏に資産隠し問題が浮上

フランス大統領選の決選投票を7日に控え、5日に中道系独立候補のマクロン氏は「大規模かつ組織的なサイバー攻撃」を受け、大量の内部書類がインターネット上で流出したことをネット上で公開された後に明らかにした。今回情報をリークしたEMLEAKSは、マクロン氏の隠し資産はバハマではなく、ケイマン諸島にオフショア口座に隠し資産があることを示す書類を明らかにした。

May 06, 2017

欧州で激化する若者の反体制デモ

EUの委託でEBU(欧州放送連合)は35カ国、580,000人を対象に、世代別の特徴、特に若者層などの考えや行動を把握するために、Generation What (あなたはどの世代)と題する世論調査を実施した。その結果、35カ国の18~34歳の半数以上、欧州では7カ国の半数以上の若者たちが現体制への強い不満を持ち、政府への反乱や暴動に参加すると答えている。

May 04, 2017

ドイツ総選挙を左右するシュルツ効果と移民政策問題

ドイツ国民の多くはメルケル政権の移民政策に不満を持っているものの、EUとの強い絆を捨て去ることには反対している。EU脱離政策を訴える新政党、「ドイツのための選択肢」の支持率は3-4%と議会に代表を送りこめる5%ラインを下回る。また自由民主党もEU離脱派を取り込むことに関心がなくなり、議会勢力となるにはキリスト教民主同盟支持者の票の一部を獲得する必要がある。

May 03, 2017

補正予算成立をめぐる米政権の苦渋

米国議会は、5日までの1週間分の暫定補正予算が切れる前に、56日から930日までの2017年度補正予算案をまとめ、政府機関の一部が閉鎖する事態を回避した。早くて3日に1兆ドルの補正予算案が可決される見通しである。

May 03, 2017

北朝鮮が原子炉稼働し続ける理由

2016年9月に行われた北朝鮮の核実験は10キロトンで小型核弾頭としては標準的な能力で、インドが1998年5月に行った一連の核実験の中の15キロトンのプルトニウム原爆と規模が近い。この核兵器は弾道ミサイルと爆撃機搭載のための小型原爆の検証と見れば、北朝鮮の小型核弾頭の開発が最終段階にあることを示唆している。

May 02, 2017

米軍事シンクタンク、ストラトフォーの米国対北戦力分析

米テキサス州の民間軍事シンクタンク、ストラトフォーが米国の対北朝鮮攻撃に使用できる兵力を分析してインターネット上に公開している。それによると米国が行使する軍事力は限定された目標に対する隠密作戦に限られ、基本的にはステルス航空機の空爆と潜水艦及び護衛艦から発射される巡行ミサイルが中心となる。

Apr. 30, 2017

フランス全土を震撼させるテロ頻発

欧州最大のイスラム系移民国であるフランスで、無差別襲撃事件が発生し始めたのが201412月に3日連続で起きた3件のイスラム過激派によるテロ事件からである。政府はフランス全土の治安警戒レベルを引き上げ、テロへの警戒を強化したが、20151月にはシャルリー・エブド襲撃事件が起きた。それから今日まで、フランス全土でテロ事件が頻繁に発生している。

Apr. 28, 2017

着々と進められる米国の北朝鮮包囲網

トランプ大統領は24日、国連安全保障理事会国の大使と会談、国連が北朝鮮に対して制裁を強化することを求めた。「北朝鮮は世界にとって深刻な問題である。北朝鮮の核開発と実験やミサイル発射実験の問題を今度こそ解決しなければならない」と述べたが、軍事力行使に踏み切る可能性の説明があったかは公表されていない。

Apr. 25, 2017

トランプ政権の試練となる債務上限引き上げ問題

メキシコとの国境の壁建設費用、不法移民の逮捕や強制送還費用、防衛費の増加、大型インフラ投資、医療保険制度改革(オバマケア)におけるコスト補助などを巡って、4月24日から与党の共和党と民主党との間で暫定予算案の成立に向けての駆け引きが激しくなる。

Apr. 24, 2017

現体制維持か変革かが問われるフランス大統領選挙

今回のフランス大統領選挙はイデオロギーの選択の色彩は薄れ、現状維持か変革が問われる選挙となる。ルペン候補の主張にあるように「戦争状態にある」という表現がフランスの抱える緊迫した現状(移民、雇用、不況、テロ)を適切に表現している。現状を変える候補に期待が集まるとしたらメデイアが予想しない結果となる可能性は否定できない。

Apr. 23, 2017

ベネズエラの反政府デモがエスカレートする理由

ベネズエラの反政府運動には背景に経済危機で飢餓状態に置かれた国民の怒りがある。インフレ率は1,660%にも及び、食料が手に入らない市民が飢饉に苦しむ最悪の経済混乱となった。政府に抗議する市民たちのデモが街を埋め尽くす状況が続いている。デモ鎮圧に務める無能なマドゥロ政権と危機感を持つに至った国民との激しい対立となった。

Apr. 23, 2017

パリ銃撃テロで揺れるフランス大統領選挙

パリの中心で死傷者3名を出したISの銃撃テロはフランス大統領選挙にも大きな影響を与えることとなった。今回の銃撃テロの犯人はベルギー国籍のアブ・ヨシフでISの指令で、自動小銃で警官を射殺、他に警官2名が負傷した。

Apr. 22, 2017

キャッシュレス社会を目指すインド

インドのモディ首相が突然、高額紙幣を廃止してから5カ月。銀行の現金不足の状態は続いており、地域によっては90%の銀行ATMが現金不足である。混乱か一向に収まらない状況のなか、モディ首相はまたもや突然75都市を「キャッシュ都市」に指定した。

Apr. 20, 2017

トランプ政権が継続するイランの核交渉合意

トランプ政権は議会に対して2015年にオバマ政権時にイランと合意した核開発問題の条項を継続するよう求めた。これにより核開発を凍結する代わりに経済制裁を撤廃が継続される。しかしテイラーソン国務長官はトランプ政権が実行内容案を全面的に見直すことも明らかにした。

Apr. 19, 2017

北朝鮮情勢~米空母展開の最新情報

北朝鮮情勢が緊迫するなか、北朝鮮のHan Song-ryol副外相は、17日のBBC インタービューで「北朝鮮は今後、毎週、毎月、毎年ミサイル実験を行う予定である」、もし米国が軍事行動をとれば、「全面戦争」になると述べた。「もし、米国が軍事攻撃を計画しているのであれば、我々のスタイルと方法で先制の核攻撃を実行する。」「朝鮮半島で核戦争が何時起きてもおかしくない」と警告を発した。

Apr. 18, 2017

フランス選挙で二重投票問題が発覚

選挙を間近に控えたフランスで国外に居住する50万人のフランス人に、在外国民用の選挙投票受付用紙が二重に配布されたことが判明した。選挙管理の重大な手落ちがフランス大統領選の結果を大きく左右する前代未聞の選挙が強行される可能性が高い。

Apr. 16, 2017

バチカン美術館入場が無料になる献血

年間600万人以上の人が訪れるバチカン美術館は、ルーブル美術館とともに世界で最も混雑している観光スポットの一つである。入場料は大人1人が16ユーロ(約1840円)で、支払い方法には従来の現金とクレジットカードの他、このほど「献血支払いプラン」が新しく加わった。

Apr. 16, 2017

朝鮮半島周辺の米韓軍の展開~最新情報

核実験や核爆発で発生した放射性粒子を大気から検出する、米空軍の軍用機WC-135(コンスタント・フェニックス)が沖縄の嘉手納米空軍基地に飛来したことが7日に確認されている。2006年の北朝鮮の核実験以来、核実験の兆候ある度、嘉手米空軍基地へと飛来している。

Apr. 13, 2017

脅威が高まる北朝鮮のサイバー攻撃

北朝鮮の核問題を巡り緊張が高まっているなか、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」Lazarusが世界の100以上の銀行を狙ってサイバー攻撃を仕掛けている脅威が高まっている。米セキュリティーソフト大手のシマンテックが世界銀行、欧州中央銀行、バンク・オブ・アメリカなど中央銀行や民間大手銀行を含む金融機関の口座から現金を盗み出そうとしたことを明らかにした。

Apr. 12, 2017

フランス大統領選の行方

フランス大統領選の世論調査によると依然、右派、国民戦線のルペン党首が首位、ついでオランド政権で経財相を務めたマクロン氏の優勢は変わらない。しかし左翼のメランション氏の追い上げで3位につけている保守、共和派のフィヨン氏に肉薄し4位に食い込んでいる。第一ラウンドはこの4人の戦いになるものと予想されている。

Apr. 11, 2017

北朝鮮に流出した米韓軍事作戦情報

韓国国防省の韓民求国防長官のパソコンを含む、韓国軍の内部イントラネット用端末約700台と外部インターネット網を利用しているパソコン約2,500台が2016年9月に、北朝鮮によりハッキングされ、機密情報の一部が流出したことが明らかとなった(4月4日、朝鮮日報)。流出した情報は朝鮮戦争が勃発時に、米韓軍が共同して軍事作戦を遂行する計画である。

Apr. 09

ストックホルムに飛び火した欧州のトラック暴走テロ

4月7日金曜日ストックホルム中心の商業地区で起きたトラック暴走テロ事件は4名が死亡、15名の負傷者を出した。犯人の一人は現場で取り押さえられたがドライバーは逃走した。スエーデン国内のテロ事件として初の死者を出したこの事件は平穏な北欧の街の雰囲気を一変させた。

Apr. 08, 2017

難民家族容認の是非を巡って困惑するドイツ

9月に連邦議会選挙を迎えるドイツで、移民政策への非難が一段と高まる可能性がある。これまで、家族の大量流入を防ぐ目的で、ドイツ滞在を認められ、生活支援を受けている移民は原則2年間、家族の呼び寄せを認めてこなかったメルケル政権は、2015年と2016年にドイツが受け入れたシリアなの難民431,376人のうち267,500人に家族の呼び寄せを認めた。

Apr. 07, 2017

北朝鮮問題解決の選択肢を失った米国

2日付けの英フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで、トランプ大統領は「中国が北朝鮮問題を解決しないのであれば、我々が解決する」と米国政府は単独でも北朝鮮問題に対応する用意があることを示した。その後、トランプ政権内から、核問題を解決するのは「時間切れ」の発言に続き、国防総省の見解とも捉えられる、「軍事解決の選択しか残されていない」との退役陸軍大将のコメントが報じられた。

Apr. 05, 2017

北朝鮮の核攻撃リスクへの警告

韓国に脱北した北朝鮮外交官太永浩(テ・ヨンホ)氏は3日、米テレビNBC Newsで北朝鮮情勢についてのインタビューを行った。北朝鮮の「必死」な独裁者金正恩(キム・ジョンウン)氏は米国と同盟国に向けて核兵器を使う準備をしていると述べ、緊迫している北朝鮮情勢に対して米国と同盟国はこの脅威に対応する準備が必要と警告を発した。

Apr. 04

ロシア地下鉄テロで60名が死傷

サンクトペテロブルグの地下鉄で4月3日現地時間2時30分、爆弾テロにより死者10名、負傷者20名の惨事となった。2カ所の爆発で通勤客10名が死亡、地下鉄の駅構内はパニクになった乗客で混乱した。爆破されたのは工科大学前(Institute of Technology)とセナヤプロシュチャド(Sennaya Ploshchad)駅。

Apr. 03, 2017

イタリアで急増するゾンビ銀行

2016年に早急の対応を求められたイタリアの銀行の不良債権問題。今年に入ってからの報道の少なさから、銀行の資本強化で危機的状況から脱したと考える人が多い。しかし、最近の調査で現実はその逆で、より悪化した「ゾンビ銀行」が急増していることが判明した。

Mar. 31, 2017

EUの脅威となる難民の第二の波

欧州へ新天地を求めて移動する難民たちの経路はふたつある。中東からギリシャを経て陸地を北上する中東難民の経路とリビアから地中海を渡りイタリアを経由するアフリカからの難民の経路である。経済的困窮を理由に命がけで地中海に乗り出すアフリカ難民は2016年だけで18万人に達するが、4,500名は海の藻屑と消えた。たとえ欧州に渡れたとしても、移民として受け入れられないのが現実である。

Mar. 30, 2017

多発する金盗難事件

ドイツのベルリン中心部にあるボーデ博物館は、世界で初めて鋳造されたギリシャコインを含む歴史的に貴重なコインが所蔵されている、世界有数のコイン・コレクションな博物館である。そこで展示されていた、エリザベス英女王肖像のメープル・リーフ金貨が27日早朝、何者かに盗まれた。

29, Mar. 2017

9.11への関与疑惑で集団提訴されたサウジアラビア

2001年の9.11アメリカ同時多発テロ事件から16年目となる2017年3月23日、遺族と12社以上の米保険会社はサウジアラビア政府を集団提訴した。800人の被害者の遺族と現場に最初に駆けつけ負傷した警察官や消防隊1,500人の家族は、ニューヨーク市のマンハッタン連邦裁判所でテロ支援者制裁法(JASTA)(注1)に基づいてサウジアラビア政府が9.11テロ事件に関与したことで、損害賠償を求めた。

Mar. 27, 2017

HIV感染率増大が深刻な都市アトランタ

現在、世界で最もHIV感染者が多いのは、南アフリカに続きナイジェリア、インド、ケニア、モザンビークと、多くはアフリカの発展途上国である。しかし、先進国にもこれらの国と同じ高い感染率をもつ都市があることはよく知られていない。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、アメリカのジョージア州アトランタ市では15人のうち1人がHIV感染者と診断され、HIV感染の流行地区と呼ばれている。

Mar. 26, 2017

移民がドイツ経済に与える影響

移民や難民を受け入れることでドイツ経済が活性化するとメルケル政権は、移民政策の正当性を主唱してきた。特に、シリアからは医師、建築家、教師、技術者、専門職のなど高等教育を受けた難民が多く、高齢化が進むドイツ社会にとって、将来労働市場において重要な労働力となると経済界も移民政策を支持してきた。

Mar. 24, 2017

「グローバリズムの父」ロックフェラー氏が死去

世界中でナショナリズムの台頭が再起しているなか、「グローバリズムの父」、「世界の支配者」と呼ばれ、「新世界秩序」の実現を生涯追求したデヴィッド・ロックフェラー氏が20日101歳で死去した。

Mar. 21, 2017

不可解な事件が続く米シークレット・サービス

 18日夜11時にホワイトハウスの警備に当たっている米大統領警護隊(シークレット・サービス)の検問所で、車に爆発物を積んでいると脅した男性が逮捕された。男性の車は盗難車で、車を爆発させると叫んだところ取り押さえられた。3月10日からの8日間で、ホワイトハウスでの逮捕劇はこれで3件である。

Mar. 20, 2017

オランダ選挙にみるポピュリズム~移民政党の台頭

オランダ下院選挙の結果、現ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党が第1党を維持することとなった。英ファイナショナルタイムズ紙は、「有権者はポピュリストのウィルダース氏の希望を潰した」とオランダにおける「間違った」ポピュリズムの拡大を食い止めたと報道した。

Mar. 18, 2017

新政権樹立で混乱が避けられないオランダ総選挙

3月15日に行われるオランダ下院選挙では、ヘルト・ウィルダース氏が率いる自由党が躍進、最大議席数を獲得することはほぼ確定と思われる。しかし、自由党は他政党との連立がなければ自由党主導の政権運営、ウィルダース首相の誕生はありえない。

Mar. 15, 2017

民主党教本がベスセラーになる理由

2月8日に出版された本、Reasons to Vote for Democrats:A Comprehensive Guide (民主党に投票する理由:総合ガイド)は急速にベストセラー入りを果たし、1カ月で米アマゾンのベストセラーの第4位、3月10日から第1位を続けている。

Mar. 14, 2017

4つの重要イベントが重なる3月15日

歴史に残る不吉な3月15日といえば、シェイクスピアの戯曲「ジュリアス・シーザー」のなかで、カエザルは占い師から「3月15日にご注意」と忠告されることでよく知られている。占い通りカエザルは紀元前44年3月15日に暗殺され、その死はローマ帝国は崩壊に向かうターニングポイントとなった。来る3月15日は、世界経済とEUの行方を左右する4つのイベントが重なる。

Mar. 12, 2017

現職大統領による盗聴問題 Part 2

オバマ政権下で、トランプ大統領への盗聴以外にも、NSAは各国首脳への盗聴活動を行ってきた。世界35カ国の政府首脳35人の通話を傍受したことはNSAの内部告発者エドワード・スノーデン氏の流出文章で初めて発覚、その情報は2016年にウィキリークスにより公表された。同盟国を含む政府首脳、政治家、国際機関代表、ジャーナリストたちへの盗聴は頻繁に実施され、各国首脳からの非難と抗議があがるたびにオバマ前大統領は謝罪を繰り返していた。

Mar. 08, 2017

NATOの大規模軍事演習で緊張が高まる欧州

朝鮮半島では米韓の大規模な合同演習が始まっているが、欧州では複数の対ロシア大規模な演習が行われ、ロシア国境に近い東欧、北欧を中心に北海と地中海近辺の広い地域で東西間の緊張が高まっている。東アジアと欧州での同時東西対立で冷戦終結以来の平穏さは失われた。

Mar. 12, 2017

現職大統領による盗聴問題 Part 1

トランプ大統領は4日に選挙前にオバマ前大統領によって電話を盗聴されたと主張、非難した。直ちにオバマ前大統領側は「完全に虚偽」と応戦、主要メディアも発言には証拠がないと批判し、トランプ大統領への捜査、辞任や弾劾などを求める声もあがった。だが、オバマ政権は外国情報監視裁判所(FISA)に盗聴活動を認める令状を2度に渡り要求している事実がある。

Mar. 06, 2017

捜査対象となるフランス大統領候補ル・ペン氏

フランス大統領選挙の有力候補の国民戦線党首マリーヌ・ル・ペン氏は、2015年にイスラム過激組織「イスラム国」(IS)の虐殺画像3枚をツイッターに投稿したことで、「残虐画像の流布」の容疑で捜査、逮捕される可能性が浮上した

Mar. 03, 2017。

大規模共同軍事演習で緊張が高まる朝鮮半島

北朝鮮のミサイル発射の2週間後となる2017年3月1日、米国と韓国がフォウルイーグルと呼ばれる大規模な軍事演習を開始した。演習は陸軍、空軍、海軍が参加して4月末まで行われる。米国と韓国は3月13日からキーレゾルブと呼ばれる戦闘シミュレーションの司令部を立ち上げるが、北朝鮮は挑発行為には容赦をしないと警告している。

Mar. 02, 2017

高いトランプ支持率に困惑する民主党

トランプ大統領による2月28日の上下両院合同会議での演説は、リベラル派の主要メディアから初めて高い評価を受けた。大統領の演説としては、アメリカの歴史に残る印象的なもので、国民から高い支持を得ている反面、民主党はこれまで通り、トランプ政権との協力を拒否、頑なに批判を続けている。

Mar.02, 2017

スペインで実刑判決を受けた65人の銀行幹部

スペイン財務相、福首相、国際通貨基金(IMF)の専務理事を経て、大手金融機関バンキアの代表を務めたロドリゴ・ラト氏はスペイン裁判所(2月23日)で、横領の罪で禁固4年6月、その他に64人の元銀行幹部や取締役も同罪で実刑判決を受けた。銀行幹部による金融犯罪が裁判事件となるのは珍しくないが、65人が一度に有罪判決を受けるのは、2015年にアイスランドで26人が実刑判決を受けた以来のことである。

Mar. 01, 2017

フランスが個人情報データベースを試行

フランス国籍の身分証明、パスポートを持つフランス人、約6000万人を対象に、既存の各個人情報のデータを一本化する、Titres Electroniques Securises (TES:電子身分証明書)巨大データベースへの登録が義務づけられた。2月21日からヴェルサイユ宮殿があるイヴリーヌとブルターニュ地区で、3月末までには、フランス全土の国民が対象となる。

Feb. 27, 2017

ロシア大統領側近と外交官の不可解な死

超大国としてのロシアの復活で、米国主導の地政学ランドスケープの変革が起きている。特に、シリアでの地上戦参加やシリアの停戦合意への外交で中東での影響力を、アジアでは中国との関係を強化し、新シルクロード構想といった大規模な地域経済化で超大国としての存在感を示している。一方、この16カ月の間にプーチン大統領の側近やロシア外交官8人が死亡する不可解な事件が起きた。

Feb. 24, 2017

トランプ大統領の経済効果

トランプ大統領就任から1カ月、米国の国益を最優先する政策で株式相場だけでなく、小企業の楽観指数や消費者信頼感指数も好調に推移している。特に、地方や小都市において、減税、製造業の雇用創出、インフラ投資、オバマケアの撤廃などの政策で、国民の将来への見方は楽観的である。

Feb. 22, 2017

ギリシャ債務再建に動くロスチャイルド

ギリシャの公的債務は再び維持が困難な状況で、7月に予定されている70億ユーロに登る債務返済の資金が確保できない恐れがある。デフォルト(債務不履行)を避けるため、債権者との追加金融支援の交渉を行ってきたが、一向に進まない交渉に、ギリシャ政府は名門投資銀行のロスチャイルド&カンパニーをギリシャの債務再建アドバイザーに起用する予定である。

Feb. 21, 2017

CIAのフランス大統領選挙諜報活動

ウィキリークスは2月16日に、2012年のフランス大統領選挙の7カ月前に、米中央情報局(CIA)がフランスの主要政党に対して諜報員と通信傍受による諜報活動を命じる指示書を公表した。指示書は3つ、全部で7ページに渡り、大統領候補の政治戦略と各候補の内部通信に関する情報収集を命じるものである。

Feb.19, 2017

暴徒化するパリの抗議デモ

2月2日にパリで起きた、パリ警察の警官による移民の逮捕者への性的暴行がきっかけとなり、続いている抗議デモは16日には、パリ中心部まで飛び火した。パリメトロのパルペス駅周囲で抗議デモは暴動化、周囲のビル、商店やゴミ用容器に放火、商店のガラスを割り、略奪、警官隊への激しい攻撃を行った。12~15日の4日間だけで車79台が放火され、状況は悪化していると仏フィガロ紙は伝えている。

Feb. 17, 2017

TPPからTISAへ向かうグローバリゼーション

米国のTPP離脱にも関わらず、 新サービス貿易協定(Trade in Service Agreement: TISA)の交渉会合が機密に続いている。グローバル企業のロビーイングの場となっているTISA交渉会合は、各国政府の立法能力を規制し、国内企業を弱い立場に追い込み、グローバル企業が優勢にグローバリゼーションを推進する協定である。

Feb. 15, 2017

「赤いバンリュー」でフランス難民が暴徒化

難民の不当逮捕に抗議するデモ隊がエスカレートし暴徒化し、投石や車への放火などの危険行為に及んだとして、パリ警察の警官がパリ近郊で2月2日に難民を逮捕した際に逮捕者への性的暴行と3人への暴行の疑いがあるとして、デモ隊は抗議行動をエスカレートし、車やゴミ箱に放火するなどの行為を行なった。

Feb. 13, 2017

スェーデン国内の移民による犯罪が深刻化

スェーデン警察のベテラン警察官Peter SpringareがFacebook(2 月3日付け) に書き込んだ、スェーデンにおける移民による犯罪の深刻な状況が大きな反響を呼んでいる。一週間で13万人の支持が集まり、この動きは「スェーデンの春」の始まりとも言われている。

Feb. 11, 2017

米大統領の英国訪問と英国EU離脱の共通点

英政府のオンライン請願サイトでは、「トランプ大統領の英国公式訪問の中止を求める」嘆願書に178万人以上が署名している。英国国民は、「英女王ならびに皇太子が迎える人物としてふさわしくない」、「特定7カ国の一時入国禁止の大統領令に反対である」、「英国はトランプ政策を支持しない」などを国民の声として、英主要メディアは大々的に報道したが、集まった電子署名に虚偽の疑いがある。

Feb. 09, 2017

過去30年の最高税率となる英国

フインランド、スエーデンなどの北欧諸国の高い税金はよく知られているが、英国の税金がこれらの国々に迫る勢いで上昇するとみられている。緊縮財政が続く中で英国は個人及び法人に過去30年間、際立った高い税金を課してきた。英国統計局の予測では2019-20年度の税率が2086-87年度のサッチャー政権以来最も高率となる。

Feb. 08, 2017

不法移民のための聖域都市の実情

1月25日にトランプ大統領は不法移民政策の1つとして、不法移民を保護してきた「聖域都市」への補助金を停止する大統領令に署名した。聖域政策をやめる自治体もあれば、大統領令を違憲と反発する自治体もある。不法移民を強制送還せず、保護してきた財政負担は連邦法に違反としているばかりでなく、連邦補助金は国民と政府に大きな財政負担になっている。

Feb. 06, 2017

クウェートが発令した入国禁止令

米国で一時入国禁止の大統領令の実施に続き、人口の85%がイスラム教である湾岸諸国がテロ懸念国からの入国禁止を始めた。クウェートがシリア、イラク、イラン、パキスタン、アフガニスタンの5カ国からの市民への入国禁止令を発令したのである。

Feb. 03, 2017

一時入国禁止大統領令を巡る報道の真偽 Part2

安全保障に関わる大統領による決断となる、今回の米国民を守るための一時入国禁止大統領令は合法的とみなされる。大統領令はイスラム教徒の入国禁止(信仰や宗教を理由に個人を差別、入国を禁止する)ではなく、米国の安全保障面でテロ懸念国からの市民の入国を一時的に禁止する処置として解釈できるからである。

Feb. 02, 2017

一時入国禁止大統領令を巡る報道の真偽 Part1

テロ懸念国の市民の一時入国を禁止する大統領令が1月27日に発令された。主要メディアは、「イスラム教徒を対象とした宗教的迫害」、「ファシズム政策」、「白人至上主義」、「憲法違反」と批判、空港などでの反トランプ、イスラム教支持の抗議デモで混乱が起きた。しかし、大統領令の本質を主要メディアが報道していないことが問題である。

Feb. 01, 2017

米大統領選挙に不正投票疑惑

トランプ大統領は23日に、大統領選挙において「300から500万票」の不正投票があった疑惑をめぐり大規模な調査を要請することを明らかにした。調査は2016年の選挙に限定しないとしていることから、過去の大統領選挙、特に民主党勝利における不正投票の疑惑が浮上する可能性が高い。

Jan. 29, 2017

メソポーラスナノ粒子で高性能金属触媒が可能に

金属触媒は表面積を大きくすることで反応効率を上げることができる。そのため最近はナノ構造を積極的に取り入れることで性能向上が著しい。NIMSを中心とした国際研究チームはロジウム金属触媒の性能を高めるナノポーラス構造体の作成技術を開発した。

May 23, 2017

外部エネルギー不要の水素製造が可能に

日本の大学を中心とした研究チームが新しく開発されたRuO2/γ-Al2O3触媒を使いて、アンモニアと酸素から室温で水素を製造する技術を開発した。アンモニアの触媒表面への吸着は発熱反応であるため、室温でも触媒表面温度は上昇し酸化が自動的に進行する。アンモニア分子のRuO2ナノ粒子表面への科学吸着及びγ-Al2O3表面への物理吸着の発熱で酸化反応を促進することがポイントで、室温で外部エネルギーに頼らない水素製造法として注目される。

May 22, 2017

日本と中国が採掘を競い合うメタンハイドレートの将来性

日本は54日に志摩半島沖で、また16日に中国は東シナ海の固定掘削基地から海底のメタンハイドレート試験掘削に成功した。中国が進める東シナ海の海底油田掘削事業は石炭依存度の大きいエネルギーミックスの代替燃料として、また日本は原油・天然ガス輸入依存から脱却するために必須のものである。

May 21, 2017

一瞬で現代文明を滅ぼす太陽フレアの脅威

地球上の動植物は太陽活動に依存しているが、時には人類の築き上げた文明を一瞬で滅ぼす脅威となることを我々はほとんど意識していない。太陽放射は地表気温を支配する最大因子であると同時に、現代を支える電子機器・送電網・ライフラインの運用を左右することを意識する必要がある。

May 20, 20

イタリアのスーパー火山に噴火の兆候

ナポリの南西1kmにあるカンピ・フレグレイ火山は1538年以来、噴火していない。しかしロンドン大学とベスビオス観測所の火山専門家グループはこの火山の噴火がスーパー火山規模の大被害となるエネルギーが蓄えられているとして噴火リスクを警告した。

May 19, 2017

新型システムで高まる波力発電の将来性

オーストラリアのWave Swell EnergyWSE)は波力で発電する新しい技術(Oscillating Water Column, OWC)を専門に開発する企業。OWCは波力発電の最新の技術で、船舶の動力源、海水の淡水化、沿岸地域への電力供給など幅広い応用が可能である。同社が現在開発中のシステムは送電網に接続される最大発電能力1MWクラスで、設置場所はタスマニア諸島とオーストラリア沿岸の中間にあるキング島沿岸を予定している。

May 15, 2017

負の選択に遺伝子間相互作用が関与か

ヒトとショウジョウバエの遺伝子の機能喪失型変異を調べた最近の研究(Science 356 6337 539 ((2017))によると、劣勢遺伝子変異の個人差が統計的な予想より大きい。このことは遺伝子相互作用によって「選択」が生まれていることを示す。負の選択が遺伝子変異の総量ではなく、遺伝子間相互作用で決まることで多様性が保たれていることが明らかになった。

May 12, 2017

ポテンシャル駆動カイラル超伝導と情報伝達

カイラル超伝導状態にある電子の流れを情報の流れと考えれば、新しい原理の情報通信技術に応用できる可能性がある。デルフト大学の研究グループはカイラルチャネルに沿って、情報(実際にはポテンシャル)の流れと電子流が等価であることに注目している。ポテンシャルを通じて超伝導状態によって情報を知る(伝える)ことができる。

May 11, 2017

入射器を刷新してルミノシテイを追求するLHC

LHCはCERNの加速器軍のアップグレードの一環として、LHCの入射器(直線加速器)Linac 2を新しい設計のLinac 4に入れ替えた。Linac 4は試験運転の後に2019-20年に予定されているルミノシテイ(輝度)をあげるアップグレードでLHCに組み込まれる。

May 10, 2017

福島の鳥類に与える放射能の影響

福島第一事故の影響が動植物の生息に与える影響は事故後も各国の研究者の精力的な研究対象となっている。サウスカロライナ大学を中心とする研究グループが鳥類に与える影響の調査結果を発表した(J. Ornithology 156, Suppl. 1 297 (2015))。その結果、種によって差があるが、2011-2014年の調査期間中に増大したバックグラウンド放射線量の影響で個体数が減少している事実が明らかになった。

May 08.2017

アイスランドが挑む地下4.7kmの自然エネルギー利用

アイスランドでノルデイックの神(Thor)と呼ぶ火山の深部から熱エネルギーを回収しようとする計画が進行している。この試みが成功すれば1箇所で油田1基の10倍となる自然エネルギーが得られる。2016年8月から開始された掘削工事は2017年1月25日に地下4,659mに達した。この深さの温度は427度となり水蒸気でタービン発電が可能な温度となる。

May 09. 2017

世界最大のX線自由電子レーザーが稼働

欧州は連携してX線領域の範囲を広げた世界最大のXFEL(European XFEL)をハンブルグにある高エネルギー物理研究所DESYに建設した。2017年5月4日、ドイツのハンブルグに建設されていた世界最大のX線自由電子レーザーEuropean XFELが完成し、試運転で発振に成功した。

May 06, 2017

米国が警戒する北極星2号(KN-15)とは

米国が警戒するのは射程に米国東海岸とロシア、東欧、中東の大部分が含まれる長距離弾道ミサイルのテポドン2及びKN-08(ノドンC)。KN-08は2012年に軍事パレードで登場している。最近加わった新たな脅威が、潜水艦発射が可能な中距離弾道ミサイル北極星1号(KN-11)とその改良型である北極星2号(KN-15)とはどのようなミサイルなのか。

May 04, 2017

ナノエンジニアリングで燃料電池触媒性能が向上

中国の北京大学の研究グループはこのほどPd-Ni-P3元系ナノ粒子がアルコール型燃料電池の酸化反応を促進し、従来のPd/C触媒より効率が約7倍向上することを示した(Nature Comm. 8:14136(2017))。

May 01, 2017

世界最古の多細胞生物の化石

南アフリカで発見された化石の真菌が地球上最古のものよりさらに12億年前のものであることがわかり、これまでの進化の説明が書き換えられることとなった。24億年前と推定されるこの真菌は人類の祖先もここから派生した世界最古の多細胞生物となる(Nature Ecology & Evolution 2017)。

Apr. 30, 2017

変換効率50%以上のヘテロ界面太陽電池

太陽電池の変換効率を上げる工夫は物質固有のエネルギーギャップを適当に選ぶか多重セル構造で太陽光のスペクトルをできる限り変換することが主流であった。神戸大の研究グループは太陽光スペクトルの低いエネルギーの光を使って変換効率50%以上が可能であることを示した(Nature Comm. 8:14962 2017)

Apr. 27, 2017

新型ライトシート蛍光顕微鏡による生体試料の3Dイメージング

従来の蛍光顕微鏡は焦点以外の試料を照射するので、焦点周辺の迷光(蛍光)がバックグラウンドとなり生体試料では光照射による損傷も問題となる。これに対してライトシート蛍光顕微鏡では励起工学系と検出系を別のテンズ系としているため、観測する対象のみを励起することができる。

Apr. 26, 2017

国際合意を無視したイランの核開発疑惑

反イラン政府の活動を国外で続ける国民抵抗評議会(NCRI)が4月22日、イランが核開発を凍結するとした協定とは裏腹に、核開発を進めている兆候が衛星写真に見られることを発表し波紋を呼んでいる。国民抵抗評議会は衛星写真の他にイラン国内の情報からも開発の継続が確認されたとしている。

Apr. 24, 2017

ナノ構造シリコンでLiイオンバッテリーの弱点を克服

Liイオンバッテリーの性能を左右するボトルネック、グラファイト電極は精力的に研究開発が行われてきた。このほどカリフォルニア大学リバーサイド分校の研究グループはシリコンを陰極材料に採用するナノ技術でLiイオンバッテリーの陰極材料に起因する劣化問題を解決した。

Apr. 22, 2017

2018年から導入が始まるレジロボ

セルフ精算機先進国である日本のメーカー(Panasonic)がレジロボ(全自動精算システム)を開発した。これは自分でバーコードを読み取らせる全自動セルフ精算機の進化形で、バーコードの代わりにRFタグを商品に貼り付け、RFで読み取る操作をロボットが行い、客は買い物かごをレジに置くだけで良い。

Apr. 19, 2017

燃料電池車は本命なのか

いち早く燃料電池車(FCV)を市場に送り出したトヨタ、ホンダに続いてメルセデス・ベンツが2017年からFCVを市場に投入する。HVからPHVへの進化に割って入った形のEVが予想以上の速度で普及し始めた現在、長期シナリオで本命とされるFCVの市場投入がいよいよ本格化する。FCVの早期市場投入でEVのような成長となるのかどうかに注目が集まる。

Apr. 17, 2017

空気から水を製造する技術

砂漠や干ばつ地帯では飲料水をつくることが生命線であり、農業には何らかの方法で淡水を必要とする。そのため海に近い地域では海水の淡水化や人工雲で降雨を起こすことが行われている。MITとバークレイ研の共同研究グループは空気中の水分子を凝集して純水を製造する技術を開発した(Science Apr. 13, 2017)

Apr. 18, 2017

細胞をHIVウイルス耐性化する治療法

HIVウイルスに感染した患者も、抵レトロウイルス治療法によって通常の生活を送れるようになったが、ウイルスが退治されるわけではない。抜本的な治療法はないのが実状である。カリフォルニア州にある民間研究所TSRIの研究チームはHIV抵抗能力のある細胞を体内に増やしてHIVウイルスに感染した細胞を抵抗力のある細胞で置き換えることに成功した(Proc. Nat. Acad. of Sci.)。

Apr. 14, 2017

銀行口座ハッキングと戦うホワイトハッカー

銀行口座がウイルスソフトによってハッキングされ不正送金される事件が多発している。数年前から報告されている”Dridex” と呼ばれるマルウエアは、Word添付書類として観戦する。ビジネスメールを装ったスパムメールに添付されてくるWord書類をダウンロードして開く事でマルウエアに感染する。

Apr.12, 2017

光充電Liイオンバッテリーに一歩前進

色素増感型太陽電池とLiイオンバッテリー技術の融合でひとつのデバイスで発電から蓄電をこなすための研究を紹介する。カナダの電力会社の研究グループはLi金属を負極材料として、Liリン酸化合物を用いたLiイオンバッテリーに色素増感で増強された正孔で脱Liを行い、負極の還元反応を行う光充電Liイオンバッテリーの実証に成功した(Nature Commun. 14643(2017))。

Apr. 11, 2017

太陽黒点減少でミニ氷河期は早まるか

太陽黒点が観測されない「無黒点」期間が2週にわたって続いたことで、ミニ氷河期との関連性が話題となっている。地球気温を決める太陽放射は太陽の磁気活動の周期と同調して、約0.1%の幅で変動している。その平均値変動と黒点数は相関があることから最近の黒点の減少がミニ氷河期の始まりと解釈されたためである。

Apr. 10, 2017

光遺伝学で解明が進む記憶のメカニズム

人間の短期記憶は海馬と呼ばれる脳の一部に形成されることがわかっている。この短期記憶が後に他の記憶と統合され別の部分に長期記憶として保存されるというのが定説であった。MITの脳神経研究チームはこのほど海馬の短期記憶と同時に長期記憶が形成されることを見出した(Science Apr. 6, 2017)。

Apr. 08, 2017

PTSDの薬剤治療が可能に

このほど英国とスイスの研究グループがPTSDの治療に市販されている抗生物質の一種であるドキシサイクリンが有効であることを発見した。76名に試験的に投与した結果、60%が恐怖感を抑えることがわかった。このことは通常は感染症に対して処方されるドキシサイクリン(Doxycycline)が酵素マトリックスと呼ぶ神経細胞がいの酵素蛋白をブロックするとされる。

Apr. 05, 2017

多孔質グラフェンで海水を淡水化

海水の淡水化は水分子に適したポーラス物質のフイルターを何層にも配置して、Naイオン、Clイオンを除くシステムが一般的である。MITの研究グループはこのほどグラフェン膜に水分子を通す穴を持つ多孔質グラフェン膜で、現在可能な濾過速度よりも100-1000倍高速に海水の淡水化する技術を開発した。

Apr. 04, 2017

ノルウエイの種子バンクに追加されるデジタル図書

ノルウエイのスヴァーバル(Svalbard)には人類の絶滅を防ぐために世界中の植物の種子を集めた巨大な貯蔵庫がある。核戦争や食糧危機、天災、隕石衝突などで人類が絶滅の危機に備えて、植物の種子を貯蔵し絶滅を防ぐためである。シリア内戦や北朝鮮による核戦争リスクが一段と高まる中、このほど重要な書物をデジタル化して安全に保管される計画が始動した。

Apr. 03, 2017

「量子もつれ」状態にある光子対発生

イースト・アングリア大学の研究チームは異なる場所から光子対が発生する新しいメカニズムを見出した。これまで同一の場所で起きるとされていた光子対生成が異なる場所で起きる可能性を示した今回の発見は「量子もつれ状態」など量子物理の新展開につながる画期的な発見と考えられている。

Mar. 31, 2017

2018年から導入される航空機衛星追跡システム

マレーシア航空MH370失踪事件は航空管制の盲点をついた事件で、世界中の民間航空関係者に衝撃を与えた。欧州宇宙局(ESA)はそのため民間航空機の衛星追跡システムによる航空管制強化の研究開発を開始した。VHF地上管制と連携する追尾システム(Iris)の改良によって、衛星を経由して地上管制が運行する航空機の位置や高度に関わらず飛行中の情報通信を保証し航空機を管制できるようになる。

Mar. 29, 2017

成層圏ジオエンジニアリングの科学的評価

トランプ政権は気候変動説に否定的で今年度から9項目の環境予算を削減する。その一方で、ハーバード大は200万ドル(約2.1億円)を投入して、2018年に気球を使い成層圏(20km)での気候改変(ジオエンジニアリング)実験の効果を評価する。これまでケムトレイルと呼ばれる航空機の微粒子散布が各国で精力的に行われているが詳細や実際の効果は公表されていなかった。ハーバード大チームは科学的に太陽光遮蔽効果を評価する初めての試みとなる。

Mar. 27, 2017

Intelが3次元メモリ技術で高速SSDを開発

2017年3月17日、インテルとマイクロンはNAND型フラッシュメモリより最大77倍高速の新型メモリSSD(Optane SSD DC P4800X)を発表した。両社が共同開発する3Dメモリ製造技術3D XPointTMテクノロジーで、メモリ単独ではNAND型フラッシュメモリの1,000倍高速、DRAMと比べて記録密度が10倍、NAND型フラッシュメモリに比べて書き換え寿命が1,000倍という。

Mar. 25, 2017

CERNの考える未来の加速器~プラズマ・ウエークフイールド

電場の上限が~100MV/mとなる高エネルギー粒子加速器は全長が数10kmにも及ぶ。このためCERNはプラズマ・ウエークフイールドと呼ばれるプラズマ加速原理の研究を進めている。強力な短パルスのプラズマで加速すれば、わずか数cmの距離で1GeV以上のエネルギー電子を作り出すことができる。

Mar. 22, 2017

北朝鮮核ミサイル進展で新たな脅威

北朝鮮が3月19日に発表した新型ロケットエンジンの燃焼試験は大陸間距離弾道ミサイルに搭載するもので、燃焼実験の成功により発射実験が早まるものとみられている。この点を米国は警戒し自国への攻撃の抑止力として韓国に迎撃ミサイルTHAADの配備を開始した。北朝鮮のミサイル開発と並んで搭載される核兵器の小型化にも成功していることから、核弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイルの整備は時間の問題となった。

Mar. 22, 2107

高機能ヒドロゲルガラス繊維

ナノ科学で(機械的強度など)材料の性質材料の性質を改良することができる。北大の研究グループは、ヒドロゲル(注1)にイオン性の結合を取り込むことによりそれを織り込んだ繊維の機械強度を改良する技術を開発した。

Mar. 21, 2017

トランプ政権が気候変動説にレッドカード

2017年4月に英国で9回目となる気候変動に関する国際会議(ICCC)(http://on-climate.com/2017-conference)が予定されている。2017年は気候変動説の根拠となる地表気温データの信憑性が揺らいだ事で地球温暖化仮説のターニングポイントとなると同時に、米国新政権の環境保護政策の全面的な見直しは手痛い打撃となる年でもある。

Mar. 18, 2017

くり返されるLiイオンバッテリーの発火事故

サムスンがiphone7の対抗馬として力を入れたGalaxy Note7は発火事故が相次いで回収された。サムスンのブランドに傷が付き営業的にも手痛い打撃となった。Liイオンバッテリーに特有の潜在的な危険性についてすでに記事にかいたが、787、Note7、iphoneと発火事故が続いたが、今度は機内でヘッドフォンのLiイオンバッテリーが火災を起こした。

Mar. 16, 2017

WWW開発者がネット不正使用を憂慮

テイム・バーナーズ・リーはインターネット(WWW)の原型を28年前に開発した男である。その彼が組織したWeb Foundationは最近、インターネットで起きたいくつかの事柄を深刻に受け止め、インターネットが本来目指すべきである人道的な目的に使われるべきだとしている。

Mar. 15, 2017

自閉症を発現する遺伝子の発見

近年増加の一途を辿る自閉症には特別な遺伝子が関与していると考えられてきたが特定できていなかった。このほど機械学習のアルゴリズムを使った全ゲノム関連解析で、自閉症の発症に関係する遺伝子をこの手法で絞り込み、自閉症発現の鍵となる遺伝子が特定された(Nature Neuroscience Feb. 01 (2017)。

Mar. 11, 2017

IBMが単原子メモリーを開発

IBMサンノゼ・アルマデン研究所は1個の原子に1ビットを書き込める単原子メモリの開発に成功した。かつてSTMを開発したIBMは単原子操作技術でも世界をリードしこのほど世界初となる単原子に情報を書き込む手法の開発にこぎつけた(Nature 543, 226 06 Mar. 2017)。

Mar. 10, 2017

南極で発見された高エネルギーニュートリノの起源

南極の氷床でニュートリノを観測しているIceCubeニュートリノ観測所(注1)の国際研究チームは2013年に銀河系外起源のニュートリノの証拠となる高エネルギー事象を初めて観測したと発表し、世界中の理論物理研究者の注目を集めた。

Mar. 08, 2017

世界初となる幹細胞からマウス胚の発生

幹細胞が発生初期の多くの細胞に転換できるため、幹細胞から異なる器官を形成する知見が得られる胚幹細胞に関する研究が盛んである。このほどケンブリッジ大学の研究チームは世界初となる幹細胞から発生させたマウス胚をつくりだす試みが成功した。

Mar. 06, 2017

ボーズアインシュタイン凝縮系「超固体」の発見

MIT研究グループはボーズアインシュタイン凝縮した超流動状態にある原子のレーザー照射によって超流動でありながら固体の特徴である長距離秩序を有する超固体(Supersolid)をつくりだすことに成功した。

Mar. 04, 2017

南カリフォルニアを襲う「パイナップル特急」

2016年末から米国西海岸は暴風雨が続き2017年2月に入るとハリケーン級の暴風が南カリフォルニアを襲った。局所的な豪雨はロッキー山脈の雪解けと重なりオーロビルダムやシャスタダムを始めとしてほぼ全てのダムが規定水位を超えた。オーロビルダムは放水路の損壊もあって決壊の恐れもあった。豪雨によって河川が溢れサンノゼなど雨と縁のない南カリフォルニア一帯で洪水が起きた。

Mar. 02, 2017

5Gの先端に立つベライゾン

5Gは定義上は6GHz以下の周波数帯を使って10Gbps以上の通信速度をもつ次世代の規格である。通信速度の飛躍的な向上には高周波数の利用が不可欠であるため、新たにマイクロ波の領域に踏み出すことになる。キャリア各社が参入を目指す5Gだが、ベライゾン社は5Gを米国11都市で2017年春から試験運用する予定で、初の5G導入キャリアとなる。

Feb. 28, 2017

衛星データ活用で進化するプレートテクトニクス

この20年で衛星データの活用でプレートの歪みの知見は飛躍的に深まっている。衛星データで地表の裂け目の観測や断層とずれのマッピングと地震の関係を調べることで、地震と起源となる断層の関係から将来歪みが引き起こす地震リスクの評価が可能になった。衛星データの活用によって地表の変形モデルの時間依存が得られ、長期的な断層形成とプレートの変動を知ることができる(Nature Comm. 7 13844 (2016))。

Feb. 25, 2017

拡張現実のインパクトは未知数

学術的には拡張現実は次の条件を満たす技術として定義される。(1) 現実と仮想現実の組み合わせ、(2) インタラクテイブかつ実時間応答、(3) 3D情報として扱われる。新しい技術のような拡張現実は意外に歴史が古く1930年代から始まっているが、スマホの浸透によって急激に利用が進んでいる。

Feb. 23, 2017

Fermi望遠鏡が銀河中心に暗黒物質を発見

地球上の軌道からγ線を観測するNASAのフェルミ望遠鏡によって銀河系内に存在する暗黒物質の証拠が得られた。暗黒物質からの信号は銀河中心からのγ線として観測され、これまで知られているどの天体にも見られない弱い相互作用と質量を持つ粒子で矛盾無く説明できることがわかった。

Feb. 22, 2017

欧州で検出された核種I131の起源

ノルウエイのスヴァンホフトの地面で通常より高濃度の放射性核種の検出が1月にも報告されている他、スペインの上空の大気からも微量の放射性核種が検出されている。一方、欧州の大気中の核種をモニタリングしているフランスの原子力安全機関IRSNは、2017年2月13日に微量の放射性核種I131を検出した。

Feb. 21, 2017

米国西海岸を襲うハリケーン級の暴風雨

周辺住民188,000人が避難し混乱が続いているオーロビルダムの危機的状況が続いている。放水量を増やしたため貯水量は減少したため、直接の影響は少ないとされているが、今回増水に分水嶺から流れ落ちてくる大量の雪解け水が重なれば貯水量が増えて再びダム決壊の危険が高まる。

Feb. 20, 2017

パーキンソン病に遺伝子治療の可能性

ロンドンのキングス・カレッジの研究グループはパーキンソン病などの神経変性を引き起こす遺伝子機能を阻害する遺伝子を発見した(PNAS, 112 44 E6000 (2017)))。世界で患者数が700-1000万人とされるパーキンソン病の治療はこれまで対処療法に限られていたが、今回の発見で抜本的な治療法につながると期待されている。

Feb. 19, 2017

オーロビルダム決壊の恐れ~荒廃する米国のインフラ

2005年には地域や環境保護団体は、州政府にオーロビルダムの構造的問題を訴え、構造強化を求めた。排水路の一部に穴があき水位が高まる中で決壊に繋がりかねない危険性が指摘されている。オーロビルダムはサンフランシスコの西240キロ、サクラメントから北105キロ地点にあり、決壊すればサクラメントが洪水となるとして、12日に188,000人の避難勧告が出された。

Feb. 17, 2017

高性能・長寿命のレドックス・フロー電池

ハーバード大学の研究グループは有機金属(化学修飾したフェロセン)と有機分子(化学修飾したビオロゲン)を用いた新型レドックス・フロー電池を開発した。この電池は優れた反応効率と充放電特性を有しながら充放電サイクルで世界最高の長寿命特性を持つ(ACS Energy Lett. 2 639 (2017))。新型レドックス・フロー電池は低コストで電力網に組み込むことにより再生可能エネルギーのベース電源化が可能になる。

Feb. 14, 2017

オリオン宇宙船が2021年に有人で月周回

オリオン宇宙船は当初NASAがスペースシャトル代替え有人宇宙船として計画していたが、金融危機後に計画が中止された。計画はISS用に縮小さて復活しロッキード・マーチン社で開発中であったが、2013年に欧州宇宙局(ESA)がオリオン計画に参画し、エアバス社が補給機モジュールを担当することになった。

Feb. 13, 2017

ナノピラーによる収差制御平面反射レンズ

ハーバード大学の研究グループは金属ナノ構造体(ナノピラー)を用いて、可視領域の非収差平面反射レンズをつくる技術を開発した。同グループはチタン酸化物による誘電位相シフタで光学レンズと等価な反射鏡を平面でつくることに成功した。(Nano Lett. Jan. 26, 2017)

Feb. 11, 2017

地球温暖化を誇張するNOAAの報告書

トランプ大統領はこれまでの政権の気候温暖化対策を大幅に見直している。またこれまで3万名を超える科学者が温室効果による平均気温上昇についおて懐疑的あるいは否定的な立場をとっている。目標が一段と厳しくなったパリ議定書の排出ガス規制は世界各国に重くのしかかり、経済成長の足かせになっている中で、中国と並んで温室ガス排出量の大半を占める米国の政策変更が話題になっている。

Feb. 07, 2017

ヘリウム化合物の発見

中国の研究者を中心とした国際研究チームによってヘリウムが113GPa以上で蛍石型構造を持つ絶縁体結晶Na2Heをつくることが明らかにされた(Nature Chemistry, Feb. 06 2017)。研究チームは計算により仮想的な高圧力下でNaとHe原子の反応とNa-He化合物の安定性を調べて200GPa以上でNa2He相が安定化することを見出し実験に臨んだ。

Feb. 08, 2017

ハイパーループを支えるオープン・ソーシング

ハイパーループ(Hyperloop)はイーロン・マスクが提唱した減圧チューブによる高速輸送列車構想で、その実態はオープン・ソーシングが支えるベンチャー公共事業プロジェクトである。ロサンゼルスを拠点とする2社が参画しているほか、設計と技術開発を国際コンペを含むオープン・ソーシングに特徴があある。

Feb. 05, 2017

イオントラップ量子計算機の製造技術が確立

D-Wave Computerから128qubit量子計算機が市販され、IBMが量子計算機サーバーのオープンアクセスを開始している。しかし量子素子の型式が統一されているわけでもなく、その製造方法が確立したとは言えなかった。英国サセックス大学のイオン量子技術グループは2017年2月、世界で初めてイオントラッップ型量子計算機の製造方法を明らかにした(Nature, Feb. 1, 2017)

Feb. 03, 2017

5億4千万年前の地球最古の生物

ケンブリッジ大学と中国の国際研究チームは5億4千万年前に生息していた地球上で最古の生物を特定した。学術名Saccorhytusと名付けられたこの生物は大きな口を持つ楕円形の体を持つもので、その化石が中国で発見された。(Nature, Jan. 30, 2017)

Feb. 02, 2017

エネルギー革命を目指すテスラの蓄電システム

テスラEVは破竹の勢いでEV旋風を引き起こし、パナソニックと共同出資でテスラEV50万台分の生産量を有するLiイオンバッテリー工場(ギガファクトリー)が建設中である。テスラ社はEVの要となるバッテリーの利用で再生可能エネルギーを電力網に組み込むためテスラ・エナジー社を創設し蓄電システム事業に参入した。

Feb. 01, 2017

高性能フレキシンブルLiイオンバッテリー

パナソニッックは2016年10月にフレキシブルLiイオンバッテリーを市場に出したが、より高性能化を目指した電極構造の研究開発が精力的に行われている。シンガポール大学の研究グループはポーラスグラフェンとゲルマニウム量子ドットで容量1,220mAh/gで長寿命のフレキシブルLiイオンバッテリーの開発に成功した(Nature Comm. 8:13949, 2017)。

Jan. 30, 2017

水素の金属化にはじめて成功

米国ハーバード大の研究グループが超高圧化で金属水素個体を作り出すことにはじめて成功した。金属水素の可能性が1935年に示されて以来、これまで多くの研究グループが超高圧実験に挑戦してきたが、明確な金属化の証拠は得られていなかった。これまで4番目の高圧相(Phase IV)が230GPaで得られることがわかっていたが第5、第6の相は実現していなかった。

Jan. 29, 2017



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