米国における新型コロナウイルス感染アウトブレイクの最新状況 Part 1

20.03.2020

 

 毎日数百人の感染者が増えている米国では、19日時点で新型コロナウイルスの感染者は13,921人、死者は190人を超えた。現在、3日で感染者数は倍増している。感染が最も深刻で感染の歯止めがかからないイタリアと同じ傾向を辿っている。

米国全土50州に拡大
 米国で感染拡大が加速(オーバーシュート)しているのは、ニューヨーク州(5,637人)、ワーシントン州(1,376人)とカリフォルニア州(958人)の3つの州である。感染者が200人を超え、流行の拡大が起き始めているのはニュージャージー州(742人)、フロリダ州 (432人) 、イリノイ州(422人)、ルイジアナ州 (392人)、ミシガン州(334人)、マサチューセッツ州 (328人)、ジョージア州(287人)、コロラド州 (277人)、テキサス州(200人)の9州。

 

 

 感染者が最多のニューヨーク州での感染拡大の主な原因は、入国検疫を中国からの渡航者・帰国者に限り、新型コロナウイルスが欧州で流行しているにも関わらず、感染拡大の中心となっているイタリア、スペイン、ドイツ、フランスや中東のイランからの渡航者・帰国者の検疫を行わなかったことにある。また、PCR検査の実施が遅れたことにある。大規模な検査を実施する前に、すでに感染が広範囲に広がっていたと思われる。これから、PCR検査の実施が進むと感染者数は爆発的に伸びると予想される。

 ニューヨーク市の最初の感染者(ペイシェント・ゼロ)は2月に中東のホットスポットであるイランから夫と帰国した39歳の女性である。医療従事者である女性は発症後に入院せず、自宅隔離し回復したと報じている。

 ニューヨーク市全体に広がった感染は19日、州では最多の3,615人(死者22人)で、感染クラスターには、JFK空港運輸保安庁(TSA)職員数人、ライカーズとロングアイランド刑務所での受刑囚数名、ユダヤ教の会堂(シナゴーグ)2カ所に集まった信者の間、高齢者用デイケーアセンター職員数名、高齢者施設職員数名、ニューヨーク市警察管数名(NYPD)、ブルクリン大学学生数名、プロバスケットボール・チームのブルックリン・ネッツの選手の間、ラガーディア高校の関係者、教会でミサに参加した信者の間、メイシーズデパート店員数名、ロングアイランド鉄道職員数名、州矯正局の職員数名などが含まれ、日常生活の広範囲に感染が拡大している。今週に入り、感染経路が不明な症例も多く見られ、感染者数は1-2日で倍増している。

 ニューヨーク州は感染拡大を受けて、州全域に非常事態宣言を出したが、ニューヨーク市では医療崩壊が始まっている。この状態を受けトランプ大統領は、アメリカ海軍の約1,000病床を持つ病院船コンフォート(USS Comfort AH-6)をニューヨーク湾に派遣し、野外病院の設置も始めている。