ハーバード大学の研究グループは有機金属(化学修飾したフェロセン)と有機分子(化学修飾したビオロゲン)を用いた新型レドックス・フロー電池を開発した。この電池は優れた反応効率と充放電特性を有しながら充放電サイクルで世界最高の長寿命特性を持つ(ACS Energy Lett. 2 639 (2017))。新型レドックス・フロー電池は低コストで電力網に組み込むことにより再生可能エネルギーのベース電源化が可能になる。
再生可能エネルギーによる電力コストが原子力を下回ることはないというのが原発推進派の根拠だった。英国のヨークシャー州に建設が予定されている新規風力発電所の入札でビジネス・エネルギー・産業戦略省は沖合風力発電のコストがヒンクリー・ポイント原発を初めて下回ったと発表した。
未来の海洋を模した海水中の有孔虫の生態を研究した結果、地球上のカーボン・サイクルに重大な変化が起こりつつあることが明らかにされた。カリフォルニア大学デイビス分校の研究グループは単細胞動物である有孔虫から、CO2の増大による海水の酸性化で海洋生物の代謝が変化し大洋のカーボンサイクルに影響を与えることが明らかになった(Scientific Reports 7 2225 (2017)。
日本は5月4日に志摩半島沖で、また16日に中国は東シナ海の固定掘削基地から海底のメタンハイドレート試験掘削に成功した。中国が進める東シナ海の海底油田掘削事業は石炭依存度の大きいエネルギーミックスの代替燃料として、また日本は原油・天然ガス輸入依存から脱却するために必須のものである。
オーストラリアのWave Swell Energy(WSE)は波力で発電する新しい技術(Oscillating Water Column, OWC)を専門に開発する企業。OWCは波力発電の最新の技術で、船舶の動力源、海水の淡水化、沿岸地域への電力供給など幅広い応用が可能である。同社が現在開発中のシステムは送電網に接続される最大発電能力1MWクラスで、設置場所はタスマニア諸島とオーストラリア沿岸の中間にあるキング島沿岸を予定している。
1986年の悲惨な事故の後、チェルノブイリ原発4号機の石棺は風化して安全性の問題が深刻化したため、それを覆う安全シェルター(New Safe Confinement)が建設されていたが、このほど石棺に移動し完成式典が行われた。
パナソニッックは2016年10月にフレキシブルLiイオンバッテリーを市場に出したが、より高性能化を目指した電極構造の研究開発が精力的に行われている。シンガポール大学の研究グループはポーラスグラフェンとゲルマニウム量子ドットで容量1,220mAh/gで長寿命のフレキシブルLiイオンバッテリーの開発に成功した(Nature Comm. 8:13949, 2017)。
水分解反応は水分子を酸素とプロトンに分解する負極反応とプロトンから水素を生成する正極反応の4電子2反応プロセスである。この中の還元プロセス(水素発生)の可視光によるエネルギー変換効率はこれまで60%止まりだったが、このほどイスラエルの研究グループが効率100%を達成した(Nano Lett. 16 (2016) 1776)。
スタンフォード大学の研究チームは定電圧で水を酸素と水素に分解する新しい水分解単触媒を開発した(Nature Comm. June 23, 2016)。新型触媒はリチウムイオンバッテリーの技術を電気分解の触媒に利用して低コスト触媒コストの開発に成功を収めたがその原理は他の化学反応にも応用できるとしている。
英国ブリストル大学のキャボット研究所の研究グループは高レベル放射性廃棄物から5,000年間電力を供給できる半永久バッテリーを製造する技術を発表した。研究チームは黒鉛型原子炉の使用済み核燃料棒の炭素から、半永久的な寿命を持つダイアモンド・バッテリーが製造できる。
廃炉や核汚染した原子炉の処理は一般に30-40年を要すると言われているが、それは甘い見通しであることをチェルノブイリが教えてくれる。事故から30年後に当たる今日でも、ベラルーシ国境を越える広範囲の地域が汚染されたままである。原子炉から45km離れた農場の牛乳が国内規制値の10倍の放射能レベルに達する。
フランスの原発の問題で稼働停止が相次いだため、冬場のEU電力卸売会社は軒並、冬場の電力料金を値上したことで混乱が生じている。緊急停止の理由はフランスで稼働していた原発に使われている部品に不良が見つかり基準を満たさないためである。
MITのトカマク炉は5.7Tの磁場中で3500万度の高温プラズマの圧力が、世界最高の2気圧を記録した。プラズマ体積は1立方m、持続時間は2秒であった。他の研究機関のトカマク炉では1気圧のプラズマである。遅れてITERに参加した米国は2012年に財源難からMITトカマク予算を削除した。それでも議会が3年間の延長予算をMITにつけ成果を出した。
新興国ではエネルギー不足が深刻化しており、簡便に利用できる小型モジュール原子炉(SMR)への期待は相変わらず大きい。海中あるいは洋上に原子炉プラントを設置する計画はロシア、フランス、中国で進められているが、フランスのアレヴァ社はFlexblueと呼ばれる海中設置型SMRを提案している。
MITの研究グループが太陽エネルギーの革新的な貯蔵にtsながる技術を開発した。太陽エネルギーを化学エネルギーとして物質の自由エネルギーとして貯蔵するもので、太陽電池のように電気に変換して蓄電池に貯蔵したり熱エネルギーとして蓄熱するものではない。その利点はロスがなく高エネルギー密度で長期間の貯蔵が可能である点である。
南オーストラリア核燃料サイクル協議会、Nuclear Fuel Cycle Royal Commission (NFCRC)が核燃料貯蔵ハブの誘致計画を提案した。公聴会では賛否両論が沸き起こっているが、南オーストラリアの財政難は深刻でハブを誘致すれば財政を立て直すことができる。
6大エネルギー供給企業のなかの一社、E.Onはこの2月からガス料金を5.1%値下げする。しかし天然ガス価格はこの12カ月で32%価格が減少、2年間で45%値下がりしていることからすると小売価格への反映が鈍い。E.On社は発電コストが12カ月で13%、2年間で22%下がっているのにもかかわらず200万人の顧客に対して電気料金を値下げしない。
北カリフォルニアのフンボルト湾は自然環境が保存された風光明媚な湾で、休日にカヤックを楽しむ人の憩いの場である。ここに設置された原発は1976年に停止したが廃炉の費用は約530億円だが、誰がその費用を払うのかはっきりしない。
2015年12月23日、ウクライナでハッキング攻撃による初めての全停電が起こった。ウイルス攻撃により発電所の送電設備が送電網と切り離されたことによる史上初の全停電によってのハッキング攻撃による発電所と送電網へのサイバー攻撃が増加するとみられる。
エネルギーを倍の13TeVにパワーアップして第二フェーズの実験に取り組んでいる世界最大の円形加速器LHCが新しい粒子の可能性ともみられる兆候をみいだした。LHCに設置してある複数の検出器のうちの2システム(ATLASとCMS)で予想外の巨大な特異点を示すデータが得られた。
東芝の半導体、PC事業部の粉飾決算は7年間で1,500億円にのぼるが、実はそれ以外に東芝はウエスチングハウス社の買収後の連結決算で損失記載を意図的に避け、損失を隠していた。ウエスチングハウス社は2012年度に762億円、2013年度に394億円の減益損失を計上したが、連結決算でこれを計上しなかった。
パリのテロ事件の後、厳重な警戒にもかかわらず気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)の開催に反対するデモで逮捕者がでた。開発途上国、先進国の首脳がテロの危険を冒して、パリに集まり会議に臨んだ背景には合意を自国に有利な条件に持ち込もうとする背景がある。
セントルイスはミシシッピ川とミズーリ川が合流する地点にある人口35万の都市で黒人住民が多い。平和なこの街の住民が放射性廃棄物の影響で癌発生率に代表される放射線被曝による健康被害を受けている。廃棄物置き場が住宅地に隣接しているからだ。放射線レベルの高さに当局は公園を立ち入り禁止にした。健康被害を訴えている住民は2,700人にのぼる。
燃料電池で走る自転車(FCB)Lindeの燃料電池自転車(Fuel Cell Bike, FCBとでも呼ぶべきか)は水素ボンベと燃料電池が独立したデザインでモーターはペダルの部分に仕込まれているすっきりしたもの。MBであるが都会で乗っても調和するだろう。
ビルゲイツは2006年にマイクロソフト社のスピンオフ達のテラパワー社の起業を援助した。このほど中国原子力公社から資金援助を受けて開発を進めてきた新型小型原子炉の開発を加速させることを米中間の貿易交渉会議において発表した。
シェール革命とともに2009年のオバマが目指したガス・オイル掘削はまたたくまにアメリカをエネルギー資源輸出国とするほどの勢いで全米に広がった。これが8カ月継続しいまなお続く原油価格下落の一因となっている。
原発停止後に電力需要が火力発電でまかなえている事実と再生可能エネルギーの電力買い取りが増えたことで、再生可能エネルギーへの期待が膨らんだ。写真(衛星から見た欧州の夜景)の明るい都市部は電力使用が大きく原子力発電所の分布に重なる。
シェールオイル増産によって原油価格下落がもたらされた。しかしシェールオイル掘削事業の採算性の悪さとリスクの高さは、相次ぐ日本企業の投資失敗や稼働リグ総数の減少をみれば明らかだ。
アインシュタインは有名なルーズベルト大統領にあてた、ウランの核反応がもたらすエネルギーの応用のひとつである爆弾の製造が現実的になったことを知らせる手紙をかいた。こ科学者の個人的な(感情的な)決断が人類がパンドラの箱を開けるきっかけとなった。
原発への反撥は福島の事故以来、全国各地で高まりを見せ、単純な住民の投票を行えば多数を占めることは明らかである。一方で原子力政策の変更に抵抗する政府は原発再稼働に躍起となっている。
スペインは冷戦さなかの1966年にカタロニアと同じく地中海に面したアンダルシア州のパロマレスに、水爆を4基搭載した米軍機B-52が墜落した。積んでいた4個の水爆の3個がパロマレスに落下、1個は沖合に沈んだ。
平和に暮らす米国の田舎町に降ってわいたシェールガス掘削騒動を描いた映画"Promised Land"が公開される。
シェールガス(オイル)が期待はずれで投資失敗が相次いでいることはすでにここで取り上げたが、化石燃料総崩れとこれまでの期待を背負って来た原子力(核分裂)エネルギーが福島原発で見直しを迫られている。
マンション購入や一戸建て住居を新築しようとしている人は、屋上に大型体操電池パネルを設置による電力料金の実質値下げ広告を目にする機会が多くなったと感じているだろう。
ドラッカーの数々の名言は後から考えてなるほど、と思うが先に読んで賢い決断をする人は少ない。「日本企業の弱点は経営者にある」という言葉の重みに思い知らされる事象がある。
日本の 原子力利用は科学技術史的には米国より古い。陸軍が仁科博士率いる理研チームに原爆製造を委託したのは1942年マンハッタン計画スタートの前年である。 この研究は熱拡散法でウランを濃縮して広島型ウラン原爆を製造しようとしたが、一方海軍は京大チームに遠心分離によるウラン濃縮で原爆を製造する研究を支 援した
最近、欧州に新たな巨大科学プロジェクトが現れた。Extreme Light Infrastructure (ELI)である。ELIは複数の世界最高出力のレーザー施設を別々の場所(3カ所)につくり、これらを関連させて最終的には第4のレーザーを含めて施設を共同研究に開放するもので、加速器、放射光、X線自由電子レーザーのようなスタイルで光科学を推進する
最近、 戸建て住宅の広告に実質光熱費0円という表現が目立つようになって来た。これらの住宅の屋根には太陽電池パネルが全面に取り付けられ、売電20年保証と なっていたが、最近は電力会社が買い取りを停止する恐れがでたため、慎重な不動産会社は売電20年の文言は控えている。
大気中のCO2濃度の低減は(温室効果防止よりも)海洋酸性化を防止する上で重要課題となりつつあるが、枯渇する化石燃料を合成燃料で置き換える必要性からも研究開発が急速に加速している。オーストラリアのアデレード大学の研究グループは空気中のCO2を固定(還元)して燃料(メタン)にする新型触媒を開発した(J. Mater. Chem. A, 5 12990(2017))。
バークレイ研究所の研究グループは光合成より遥かに高いエネルギー変換効率で空気中の炭素(
CO2から)を燃料(エチレン、エタノール)に転換する技術を開発した(Gurudayal et al., Energy & Environmental Science 2017)。これまでの技術では完全な CO2還元には至らなかったが、この研究で初めてCO2からエタノールとエチレンを生成することができるようになった。
オーストラリアの生物学と計算機科学の共同研究グループはニューラル・ネットワークを使った気候変動に関する新しい研究で、現在の地球の気候変動にCO2の温室効果などの異常はないとする結果を得た(Abbot and Marohasy, GeoResJ 14, 36 (2017))。温室効果による地球温暖化説についてはこれまでも懐疑的な論文が多く発表されていたが、今回の研究でCO2の温室効果は決定的な否定となった。
フランスのパリ大学とアルゼンチンのコルドバ大学の研究グループはCO2からメタンを製造するカーボンニュートラル燃料製造技術を開発した(Rao et al., Nature online July 17, 2017)。新しい手法ではアセトニトリルに溶かしたCO2をトリメチルアンモニアで修飾した鉄ポルフイリン触媒により太陽光照射下でメタンに還元される。
原子力大国フランスに大きな変革が押し寄せている。2015年に社会党が多数を占める議会は、政府が原発依存率を2025年までに75%から50%に引き下げる法律を可決した。法律の数値目標を達成するため、新政権の環境大臣は2017年10日にフランスの脱原発を図るため最大で原発の1/3を停止する可能性があることを示唆した。
フォスフォレン・グラフェン接合による高性能マイクロ・スーパーキャパシタ
中国科学アカデミーの研究グループは単ステップでエネルギー密度1500mW/cm3、エネルギー密度11.6mWh/cm3)に代表されるマイクロ・スーパーキャパシタの製造技術を開発した(Xiao et al., ACS Nano online June 19 (2017))。
プラズマ閉じ込めによる核融合による発電システムの実用化にはITERのような巨大なトカマク炉は必ずしも必要でないことが明らかになりつつある。研究によれば磁場閉じ込め装置のスケールとプラズマ発生と出力費には関係が薄いという。これはこれまでプラズマ閉じ込めの効率は容器が大型になるほど増大すると考えられてきた従来の開発方針が覆される。
LIイオンバッテリーはいまのところそのエネルギー密度において競合相手がいない。しかし①充電時間が長い(EVの標準が80%充電に30分)、②充放電サイクルに制限がある(約500回)、③発火の危険性などの重大な欠点もある。パーデユー大学の研究グループは一瞬で充電が完了する固体電解質膜無しの新型バッテリーを開発し充電時間の問題を解決した。
貯蔵できるクリーンエネルギーとして注目される水素は、太陽エネルギーによる水分解で製造できる。MITの研究グループは空気中の水分を光触媒で分解して水素を製造できるコート材料が開発した(Daeneke et al., ACS Nano, June 14, 2017)。
ブルックヘブン国立研究所とバージニア工科大学の研究グループは光吸収と電荷発生を行うルテニウム金属錯体とロジウムを触媒として水素を発生する錯体分子を結合した人工光合成多核錯体分子を合成した。研究グループは水素発生効率を調べ、水素発生効率と持続性がルテニウム金属の数に依存することをみいだした(J.A.C.S. June 1, 2017)。
金属触媒は表面積を大きくすることで反応効率を上げることができる。そのため最近はナノ構造を積極的に取り入れることで性能向上が著しい。NIMSを中心とした国際研究チームはロジウム金属触媒の性能を高めるナノポーラス構造体の作成技術を開発した。
日本の大学を中心とした研究チームが新しく開発されたRuO2/γ-Al2O3触媒を使いて、アンモニアと酸素から室温で水素を製造する技術を開発した。アンモニアの触媒表面への吸着は発熱反応であるため、室温でも触媒表面温度は上昇し酸化が自動的に進行する。アンモニア分子のRuO2ナノ粒子表面への科学吸着及びγ-Al2O3表面への物理吸着の発熱で酸化反応を促進することがポイントで、室温で外部エネルギーに頼らない水素製造法として注目される。
中国の北京大学の研究グループはこのほどPd-Ni-P3元系ナノ粒子がアルコール型燃料電池の酸化反応を促進し、従来のPd/C触媒より効率が約7倍向上することを示した(Nature Comm. 8:14136(2017))。
太陽電池の変換効率を上げる工夫は物質固有のエネルギーギャップを適当に選ぶか多重セル構造で太陽光のスペクトルをできる限り変換することが主流であった。神戸大の研究グループは太陽光スペクトルの低いエネルギーの光を使って変換効率50%以上が可能であることを示した(Nature Comm. 8:14962 2017)
Liイオンバッテリーの性能を左右するボトルネック、グラファイト電極は精力的に研究開発が行われてきた。このほどカリフォルニア大学リバーサイド分校の研究グループはシリコンを陰極材料に採用するナノ技術でLiイオンバッテリーの陰極材料に起因する劣化問題を解決した。
色素増感型太陽電池とLiイオンバッテリー技術の融合でひとつのデバイスで発電から蓄電をこなすための研究を紹介する。カナダの電力会社の研究グループはLi金属を負極材料として、Liリン酸化合物を用いたLiイオンバッテリーに色素増感で増強された正孔で脱Liを行い、負極の還元反応を行う光充電Liイオンバッテリーの実証に成功した(Nature Commun. 14643(2017))。
2017年4月に英国で9回目となる気候変動に関する国際会議(ICCC)(http://on-climate.com/2017-conference)が予定されている。2017年は気候変動説の根拠となる地表気温データの信憑性が揺らいだ事で地球温暖化仮説のターニングポイントとなると同時に、米国新政権の環境保護政策の全面的な見直しは手痛い打撃となる年でもある。
サムスンがiphone7の対抗馬として力を入れたGalaxy Note7は発火事故が相次いで回収された。サムスンのブランドに傷が付き営業的にも手痛い打撃となった。Liイオンバッテリーに特有の潜在的な危険性についてすでに記事にかいたが、787、Note7、iphoneと発火事故が続いたが、今度は機内でヘッドフォンのLiイオンバッテリーが火災を起こした
テスラEVは破竹の勢いでEV旋風を引き起こし、パナソニックと共同出資でテスラEV50万台分の生産量を有するLiイオンバッテリー工場(ギガファクトリー)が建設中である。テスラ社はEVの要となるバッテリーの利用で再生可能エネルギーを電力網に組み込むためテスラ・エナジー社を創設し蓄電システム事業に参入した。
過去数10年間、再生可能エネルギーによる発電量は増大し続けており、化石燃料火力との競争力が増しているが、その欠点は安定性にありベース電源となり得ないとされてきた。蓄電能力の向上でこうした一般論も過去の話になろうとしている。チェコの首都プラハの北部のレサニーに新型バッテリーの生産ラインが建設され、高性能バッテリー生産が始まる
湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council)はイランのブーシェフル原子炉から放射線源が紛失したこと警戒感を強めている。器材は車での移動中に盗難にあった。テロに利用される恐れの他に環境汚染のリスクを憂慮している。
オークリッジ国立研究所の中国人を中心とする研究チームが貴金属の代わりに銅ナノ粒子をグラフェン上の電極として、電気化学的にCO2から酸素を除いて燃料(エタノール)に変換する技術を開発した。原理的には年間38億トンにのぼる温室効果ガスから燃料が合成できるという夢のエネルギーが手に入ることになる。
再生可能エネルギーの中で中心とされてきた太陽光も風力もそれぞれ固有の問題を抱え、普及が進まない。またバイオ燃料もCO2排出量の優位性が否定され化石燃料の代替燃料としての地位を失いつつある。一方で地熱や波力発電はクリーンで安定な自然エネルギーとして注目されている。
風力発電の効率の決め手であるタービン形状は技術開発が進められ、ここ数10年でエネルギー変換効率は向上し、太陽光発電と並んで代表的な再生可能エネルギーとなった。これまでの漸進的なタービンの改良に対して、最近九州大学の研究グループによって提案された「風レンズ」は画期的といえる。風レンズはタービンブレードを取り囲む円形の筒で、内径は下流側で絞り込まれている。
ミシガン大学の研究グループは2005年から2013年までのフイールドデータを使ってCO2収支を調べた結果、大気中の炭素(CO2)量が光合成の炭素取り込み量とバイオ燃料の燃焼や腐敗を含めて植物が排出する炭素の両方に依存するという「カーボンサイクル」を考える必要があるという結果が得られた。
イリノイ大学はタングステン2セレン化物のナノフレークを触媒として用いることによって、炭化水素鎖の合成ガス(水素ガスとCOの混合)を作り出すことに成功した。この触媒は従来のものに比べて12,000倍高い効率を有している。実際にはコスト比で20-30分の1とし、人工葉の実用化に一歩近づいた。
ビルゲイツ、DEショー、中国人のリー・カシンなどの超富裕層が原子炉開発に資金援助を行っている。ビルゲイツのテスラパワーは燃料が燃え尽きたら自然に停止する安全な小型原子炉を東芝と開発している。小型原子炉は工場から運ばれて設置するので大規模工事が不要で、封じきり型なので、汚染事故の危険のない安全性が売り物である。
米国にある99基の原子炉の60%は建設後、設計寿命である30年をとうに超えた老朽機である。米国の原子炉の建設は1975年頃にラッシュを迎え、ベビーブーマーのような年齢ヒストグラフのピークを作っている。それから30年が経過して新規建設で更新が望まれるところだが、環境保護と経済的理由で新規建設はさっぱり進まない。
アイスランドのヘリシェイデイ発電所はCO2を石に変えて地球に戻す計画に取り組んでいる。世界初となるCO2を岩石に変換する試でみは、CO2を玄武岩に吸収させてから硬い岩石に変成するが、予想以上にその速度が速いことがわかった。
2015年8月にインドのコーチン国際空港が太陽発電で空港電力の完全なオフグリッド化を果たした。全部で46,000枚のソーラーパネルの発電量(12MW/日)は空港全体の電力消費をまかない、2040年までに300,000トンのCO2排出量削減となる。コーチン国際空港は1999年から稼働しているインドで三番目に大きい国際空港である。
天然ガス火力発電のキーテクノロジーはガスタービンである。GEが開発した新設のCO2を用いる新型タービンはコンパクトながら10,000戸の家庭に電力を供給できる。燃焼ガスの代わりに超臨界CO2で駆動される新型タービンはクリーンで効率の良さが特徴である。
1000MW以上の大型原子炉の建設コストの高騰と建設の遅れは世界的な傾向である。ビル・ゲイツが東芝と共同で進める300MW級の小型原子炉は県んせつコストと工期を短縮できるとして注目を集め、中国がビル・ゲイツに資金提供しているほか米エネルギー省もNuScale Power(などの小型原子炉製造企業に支援を行っている。小型化はコストや環境負荷も小さく、分散配置すればリスクも分散させることができる。
NASAは火星まで7日間で到達できる推進理力を得るために中性子に頼らない新型核融合(Aneutronic Fusion)を開発している。現在運転を目指して研究開発が進められている核融合炉は原子炉の代わりに核融合炉でタービンを回す効率が悪いものであるが、この装置では電子を発生するので発電効率が高い。この電力を電磁推進に使用できるので惑星間飛行などの推進力源として期待されている。
W7-Xはマックスプランクプラズマ物理研究所が2014年に完成したステラレータ型核融合炉である。ITER建設が進められる中で独自に開発する理由はW7-Xの特性がもしかするとトカマクより実用炉に適しているかもしれないからである。
年明け早々、アメリカ本土の送電網へのサイバー攻撃が起こるリスクが高まったとして元NSA長官のアレクサンダー将軍が警告し、国防総省も送電網の安全保障のための方策を講じるとしている。このためDARPAが攻撃を受けた場合の送電網の安全保障を確保するシステムを立ち上げることになった。
アフガニスタンとイラク派兵での米国の戦死者は13年間で6,800人だが、核兵器と原子力関連の作業、一般の放射線機器の取り扱いで被爆による健康被害(癌や内臓の疾患)で亡くなった人の数はこの4倍にのぼる。2万7,000人の放射線による健康被害の犠牲者がでていることが明らかとなった。
2050年、世界人口は90億人となる。世界中には20億台の車が溢れ、食糧需要とエネルギー需要も倍増する。しかし地球上の食糧・水資源と石油・天然ガスなどの化石資源も有限で、倍に増産するのは不可能である。さらに90億人が地球環境を悪化させる。
FSVやエネファームなどの燃料電池は水素を燃料とするゼロエミッションのエネルギー源として期待されている。燃料電池の燃料を都市ガスから水素に転換させて効率化をはかるため、「ソーラー水素」に関する研究開発が急がれている。2015年に日本初のマイルストーンとも呼べる研究開発成果が報告された。
英国のキャメロン政権は国益と密接な関係にあるはずの原子炉建設を中国に一括して任せることに合意した。習近平の訪英で決まったトップセールスの一環だが、英国は独力で独自の原子炉を開発して来た米国、ロシア、フランスと並ぶ原子力先進国であったはずだ。その英国が初めて原子炉を導入する発展途上国のようにターンキー方式(原子炉の中身に立ちらないブラックボックス運転)で原子炉を稼働させることになる。
ドイツの再生可能エネルギーがエネルギーミックスで78%を占めるようになった。日本が原発停止の穴埋めを含めて火力に頼っている数値とほぼ等しい。ドイツの再生利用エネルギーは311以前から進行していたが、原子力の23%を置き換えてここまで達したのは福島の事故後の政治判断であった。
2015年10月21日は映画Back-to-the-Futureの2作目でデロリアンに乗って未来を訪れる日である。トヨタは映画の主人公であるマーテイ(マイケル・フォックス)とデローリアンの発明者であるドク(クリストファー・ロイド)を起用して未来の車社会を描いたCMを製作した。
2013年12月には中国原子力公団(CNNC)が建設費を融資する条件で、パキスタン政府と1,100MW原子炉2基を65億ドルの契約を結んだ。パキスタンのカラチは地震の多いことで有名であると同時に、パキスタン海軍の艦船を乗っ取ったアルカイダ拠点からも遠くない。
原油を国内消費にまわせば、輸出量が減り原油市場での競争力が低下する。そこで中東はドバイモデルから脱却し、再生可能エネルギーで製品を生産するクリーンエネルギー都市(マスダルやKAECなど)を建設する方向に転じた。
Uranium 1というロシアのウラン採掘会社はカザフスタンのウラン鉱山の利権を一手に握るが、このたびロシアの原発企業ロスアトムに買収されて、核燃料から原発建設までを一貫して請け負う巨大企業が誕生した。もちろんロシア国営企業である。カザフスタンは世界のウラン生産量の27%を占めるが、カナダ企業を買収したことで、世界1位のウラン採掘グローバル企業となる。
ビルゲイツはテラパワー社を率いて安全な次世代原発を開発して電力不足の地域を無くす壮大な計画に取り組んでいる。ビルゲイツの推進する次世代原発は軽水炉でなく高速炉と呼ばれる型式のものである。高速炉とはその名前の通り高速中性子(Fast Neutron)で核分裂反応を起こすもので日本の高速増殖炉「もんじゅ」もそのひとつである。
中国がいま原子炉開発に力をいれている。その理由はふたつある。まず自国内の電力不足が深刻化していること。このため原子炉を建設して電力事情を改善する計画を立てた。もうひとつの理由は途上国向けに経済性と安全性を両立した原子炉の需要が増大しているからだ。
米国エネルギー省は次世代型の小型原発開発に力をいれている。しかし設計上の問題、安全性、経費の面で10年スケールの遅れがでると政府関係者が語った。今後の開発続行と試験に1-2億ドルの経費がかかるとしている。
シェールガス・オイルの掘削が新しいテクノロジーの連携で著しい効果を上げ採掘の生産性が飛躍的に上がったことが、「シェールガス革命」と呼ばれる、アメリカ国内の化石燃料の強敵な生産につながったとされる。
サウジアラビアはロシアの国営原子力総合企業ロスアトム社と今後20年間に計画している原子炉16基、約1,800万kWの電子力発電所のトータルシステムにおける協力協定を結んだ。これにより2040年までに17GWの電力供給が可能となる。
テスラ社のEVはリチウムイオンバッテリーで航続距離が日産リーフの倍の500km以上で、高性能スポーツカー並みの運動性能と美しいデザインで人気が高い。リチウムイオンバッテリー事業の拡大をパナソニックとともに目指しているが、家庭用バッテリーシステムの需要を見越しての販売となった。
311以降の原発停止による電力危機を救ったのは火力である。その代償として燃料購入費は年間3.6兆円にもおよび、貿易赤字に貢献することとなった。
スリーマイル島事故以来、新規建設が滞っていた原子炉の新規建設を認可したことで、現在、全米で5基の第3世代原子炉AP1000が建設中である。しかし環境団体や地元の反対で受注業者(ウエステイングハウスエレクトリック)が訴訟問題に追い込まれ、建設計画が18カ月も遅れている。
需要の減速と供給過多が相乗的に働いて原油価格下落となっている。もちろん前者はアジア(中国)の経済成長の減速とアメリカのシェールオイルの極端な増産の寄与が大きい。
サウジアラビアのアブドラ国王(91)が年末に首都リアドの病院に入院した。高齢であるため健康状態はここ数年注目されていたので、驚くべきニュースではないにも関わらず、サウジアラビアのタダウル株式市場は31日に6.5%と大きく下落した。
原油価格下落についてメデイアはその原因と背景について、ほぼ一致した見解をとっている。それはしかし表面的すぎるかも知れない。まず原油価格の下落は基本的に需要の減少と供給過多の相乗効果としている。
ここに来て、原油価格は1バレル当たり50ドルを超え、回復の兆しを見せているようにみえる。17 日時点には、WTI は1バレル当たり53.53ドル、 Brentは62.53ドルである。だが、市場における供給過剰状況は解消されていない上、原油在庫の増加は今後、原油価格に下方圧力を与えることになる。
この月 のレギュラーガソリン看板価格が164円/Lを突破し、ハイオク価格を思わせることになった。8月からの価格トレンドは一変して下がり続けているが、9月 以降の下げ率が尋常ではなくなり、原油下落の記事が目につくようになった。11月には150円/Lを下回り半年で15円/Lという下落が止まらない。
これまでもオクラホマ州に多発する地震がシェールガス・オイル掘削によってもたらされた地下水で地滑りが起こるとした見方が多かったが、ついに地質調査所が中央と東部アメリカの地震マップを公表した。
原油価 格下落の原因のひとつの供給過多は米国が国策として強引に進めて来たシェールオイル/ガスの増産にある。米国のシェールオイル掘削はアパラチア東部、ロッ キー東部、そしてテキサス南部とカリフォルニアが主な掘削地域で、その中でもテキサス州のイーグルフォード・シェールオイル・ガス田は、良質な軽質原油を 産出しており、北米において最も有望な鉱区の一つであると言われていた。
価格の 安定を目指すための生産調整を見送ったOPEC。ベネズエラ、イラン、ナイジェリア、アルジェリアなどの諸国が価格安定を目指す減産を要請したものの、 OPECで圧倒的な決定力を持つサウジアラビアは、減産の要請を退けた。アメリカのシェールオイル生産者との戦いを挑んだのである。
米国は2008年9月のリーマンショックにより、世界規模の金融危機を招いた。米国発の経済危機は世界各国の経済成長に大打撃を与えて来た。圧倒的な金融緩和で(統計的には)持ち直したかのようにみえるが、実態はどうなのか。金融危機を救えても、実体経済はついてこない。