スパイクタンパク質が血液疾患を引き起こす

2021/5/10

 

 米ソーク研究所とカルフォルニア大学サンディエゴ校、中国の西安交通大学の研究者たちの共同研究によって、 SARS-CoV-2感染(COVID-19)は呼吸器疾患ではなく血液疾患であることが確認された。ウイルスのスパイクタンパク質が血管細胞に損傷を与え、これまで説明ができなった脳卒中、心筋梗塞、腎臓疾患、血栓など肺とは関係ない合併症がなぜ起きているのかが解明された。

 

 ソーク研究所は生物医学系の研究所で、ポリオワクチンの開発者であるジョナス・ソーク博士が設立した研究所である。これまで6名のノーベル賞受賞者や数多くの生物医学系学術賞の受賞者を輩出している研究所として有名である。

 

SARS-CoV-2感染(Covid-19)は血液疾患

 2021年40月30日に医学誌Circulation Researchで "SARS-CoV-2 Spike Protein Impairs Endothelial Function via Down-regulation of ACE 2"( SARS-CoV-2のスパイクタンパク質はACE 2のダウンレギュレーションにより血管内皮細胞の損傷を引き起こす)と題する論文を発表した。

 

 この論文は、スパイクタンパク質が血管細胞に損傷を与えるメカニズムの明確な確認と詳細な説明を初めて示した研究である。ウイルスが存在しなくても、スパイクタンパク質は単独でACE 2のダウンレギュレーションにより血管内皮細胞に損傷を与え、ミトコンドリア機能への損傷を結果的に引き起こすことを明確に証明したのである。

 

ソーク研究所の発表によると、

 「研究者たちはSARS-Co-2の古典的なスパイクタンパク質の冠に囲まれた「疑似ウイルス」を作りだしたが、これには実際のウイルスが含まれていなかった。この偽ウイルスにさらされた実験動物の肺と動脈は損傷を受けた。これにより、スパイクタンパク質だけで病気を引き起こすことを証明した。組織サンプルは肺動脈壁を裏打ちする内皮細胞に炎症が起きたことを示した。」

 

 「次に、チームはラボでこのプロセスを複製、健康な内皮細胞をスパイクタンパク質にさらした。スパイクタンパク質が細胞の受容体ACE2に結合することによって細胞が損傷することを示した。この結合で、ミトコンドリア(細胞のエネルギーを再生する細胞小器管)へのACE2の分子シグナル伝達を破壊し、ミトコンドリアが損傷して断片化する原因となった。」

 

 「以前の研究では、細胞が SARS-CoV-2ウイルスにさらされた時に同様の効果が示されたが、今回は細胞がスパイクタンパク質単独にさらされた時にも損傷が起きることを初めて示した研究である。ウイルスの複製能力を取り除いても、スパイクタンパク質がACE2に結合することで血管細胞に大きな損傷を与える効果があることを確認したのである。」

  

 この論文は米国のVAERSや欧州のEudoraVigilanceに報告されているワクチン接種後の有害事象や副作用がなぜ起きているかの説明にもなる。副作用として最も多かったのが神経系疾患、血液・リンパ系の障害と心臓障害であった。その他にも呼吸器疾患とは関係がない他臓器の疾患が報告されている。この論文の結果を踏まえてワクチン接種の中止と見直しが必要ではないかと思われる。

 

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