Environments/Security

携帯端末の電磁波出力リストをドイツが公表

イツの脱原発の決断は福島第一事故の影響だけではない。チェルノブイリ事故の影響でドイツ国内の土壌や牧草を汚染された苦い経験や、国内の河川の放射能汚染で、食品の放射能汚染を厳しく規制している。また世界で最も電磁波の健康被害に厳しいドイツの研究機関が、携帯電話のマイクロ波が脳に与える影響を警告していた。そのドイツが携帯端末の電解強度をメーカーとモデルごとに公表した。メーカーや機種に依存する携帯電話の電磁波の影響を最小限に抑えたい人にとっては、今回の公表は参考になるだろう。

速する地磁気の磁極シフト

厳密な真北は移動している。過去の地球の歴史には磁極が入れ替わる磁極逆転現象も起きている。磁極は常に移動しており、ふらふら移動したのちに戻ってくる”Polar Wandering”現象が起きている。しかし地球の北磁極はここ数十年で非常に速く移動したため、磁石の方位に誤差が生じている。そのためNOAAの磁極点の更新が予定よりおよそ1年早く行われた(Witze, Nature 565, 143, 2019)。

気象予報技術の進歩

ペンシルベニア州立大学とマサチューセッツ工科大学の地球科学研究チームは、天気予報技術の進歩を解説し、予測の正確さが改良されていることをハリケーン予報で実証した。論文は気象予測技術がどのようにして実現したかを説明した上で、将来実現可能な技術を展望した。(Alley et al., Science online Jan. 25, 2019)。

小氷期による冷却が続く太平洋深海

ウッズホール海洋研究所とハーバード大学の研究チームは、小氷期による深海の寒冷化を見出した。(Gebbie et al., Science 363, 70, 2019)。19世紀末のHMSチャレンジャーの観測地と20世紀末の観測データを海洋循環モデルと組み合わせると、太平洋深海は小氷期の影響で冷却されており、1750年以来の地球全体の熱収支は25%下方修正されることがわかった。

超高温高圧化の水素の挙動が明らかに

エジンバラ大学の研究チームはパルスレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルで、10~150 GPaの圧力および6000 Kまでの温度で水素の光学特性を調べた結果、 2400Kおよび141GPaでの透過スペクトルは、吸収性水素が半導体性または半金属性の性質で、対象となった圧力範囲では絶縁体-金属一次転移がみられない、すなわち金属水素が実現しない代わりに”Dark hydrogen”と呼ぶ半金属的な中間体が存在することが明らかになった(McWilliams et al., Phys. Rev. Lett. 116, 255501, 2018)

気候変動へ地域ごとの寄与~放射強制力

産業革命以降の人間活動が温室効果のような地球表面の温暖化に貢献したとして、気候変動に対処するために、国や地域が寄与した割合に応じて、排出ガス削減目標が定められ、炭素税が課せられる。しかしコロラド州立大学の研究チームによれば、気候変動は表面温度のわずかな変化では到底表現できない複雑な複合効果で、国ごとに規制量を決めるのは、時間スケールの長い放射強制力評価が必要だとしている(Murphy & Ravishankar, PNAS online Dec. 17, 2018)。

「いつおこるかわからない」地磁気逆転

地球の長い地質学的歴史のなかで、磁極は安定しているとはいえない。地球の磁場は突然に(予兆なく)弱くなったり、磁極が完全に逆転することさえある「いつおこるかわからない」カタストロフイックな事象なのである。岩石の古磁気の解析によれば、地球の磁極は、過去数百万年の間に、磁極反転は数100回もあった。磁極のエクスカーションと呼ばれる不安定状態では地球の磁場は弱まり、ドリフトするが最終的に極は最初の位置に戻る。

台風の規模が年々増大する理由

2018年の台風19号は今まで記録された最も強い熱帯低気圧のひとつであるが、1980年代から太平洋の大型台風の割合が増加している。南京大学の研究チームの研究によると、地球上層の温度変化は太平洋の強い台風の増加を招き、今後数10年間に強い台風が発生する可能性が高いことを示唆している(Wu et al., Earth’s Future online Oct. 10, 2018)。

マリアナ沈み込み帯における地球深部への水輸送

ワシントン大学の研究チームのマリアナ沈み込み帯に関する新しい研究では、地球の水循環の従来の知見を大幅に修正する結果となった。プレートテクトニクスを介して地球の内部に流入する水量は過小評価されていたことがわかった。実際には、この調査によるとマリアナ沈み込み帯の水量は、定説より約4倍も大きいことが明らかになった(Cai et al., Nature 563, 389, 2018)。

活発化する太平洋沿岸の火山噴火と地震活動2018

2018年に頻発する地震活動や火山活動が太平洋岸に集中している。これらがリングオブファイヤーと呼ばれるプレート境界に一致していることは明らかだが、個別の事象として独立性が強調されてきたが、2018年の一連の地震と火山活動はリングオブファイヤーで起きていることから、両者の関係性が際立つこととなった。

カテゴリ6ハリケーンが現実になる日

より暖かい気候でハリケーンのもたらす降雨量が増え、水害が拡大する。現在の温暖化の傾向が続くならば、20世紀末までに最高の風速が230mphにもなる可能性がある。竜巻で言えばF-4のカテゴリ6ハリケーンが現実味を帯びてきた。ハリケーンというと縁遠い印象だが、勢力の強い低気圧現象が強大化する原因は共通で台風やモンスーンにも当てはまる。

癌治療で術後の化学療法は回避できる

最新のビッグデータに基づいた調査研究で乳癌について化学療法への危惧が証明されることになった。患者のリスクアセスメントに遺伝子検査を使用した研究早期乳癌の最も多くみられる女性患者の大半は、化学療法を安全に回避することができることがわかった。

合成オピオイドが脳に与える影響

合成オピオイドと天然のオピオイドの両方が神経細胞表面のオピオイド受容体に結合して活性化する。これまでは両方のタイプの分子が同じ細胞系を標的としていると考えられてきたが、しかし新しい研究で活性化細胞内受容体の位置が天然オピオイドと合成オピオイドとで異なることがわかった。

地震で倒れないピサの斜塔の謎が解明される

ピサの斜塔はイタリア観光の名所として知られる。訪れる多くの観光客は片手で斜塔を支えるポーズでトリック写真をとって行く。しかし何故、ピサの斜塔は、中世以来この地域に起きた強い地震でも生き残ったのかは謎に包まれていた。この度ブリストル大学の地震工学と地盤の専門家を含む16人の建築工学研究グループがその解明に挑んだ。

セメントのクリープ現象の微視的メカニズム

米国の公共建築学会の調べでは2025年までに必要なインフラ整備には45兆ドルと見積もられている。金属材料の疲労破壊を最小限に抑える技術で寿命を延ばすとともに安全性が担保できる。カリフォルニア大学(アーバイン校)の研究チームは材料設計の段階で疲労破壊を避けることを目的として、新しいシミュレーション技術を開発した(Marshedifard et al., Nature Comm. 9: 1785, 2018)。

LED青色光で発癌リスクが増えるメカニズム

波長の長い電磁波の紫外線の有害性も大きいが、最近、紫外線帯に接する可視光の短波長領域(青色光)がLED光が人体に悪影響を及ぼすとする研究が発表された。スペインの研究グループは2,000人の癌患者と正常な人に対して夜間人工光(LED)照射効果を比較した結果をまとめた。

太陽光とナノハイドロゲルによる水浄化法

テキサス大学オースチン校の研究チームは高分子-ゲルハイブリッド物質(ハイドロゲル)と太陽光を用いた低コストでコンパクトな新しい水浄化装置を開発した。ハイドロゲルは水分子を吸収する高分子の網状構造で、コンタクトレンズに用いられるハイテク材料である。(Zhao et al., Nature Nanotechnology online Apr. 02, 2018)

気候変動と紛争の関係性は成立するか

気候変動を世界各地の紛争と関連づけ、気候変動を強く印象付ける議論がある。メルボルン大学の研究チームは気候変動と紛争の関係に関する過去の論文は気候変動と紛争の関係性を論じた論文には偏向した対象についての事例が多く、事実が湾曲されているとしている(Adams et al., Nature Climate Change online Feb. 12, 2018)。

温和だった始生代からの地球気候

太古からの地球の気候に関しては様々な説があるが、ワシントン大学の研究チームの最新の研究で、これまでの予想に比べて数10億年間に渡って地球の気候ははるかに温和なものであったことが明らかにされた。研究チームのシミュレーションによれば、数10億年前の始生代の平均気温が現在と大差ないもので、海洋のpH数値も現在との差が1以下となる範囲であった(Krissansen et al., PNAS online Mar. 07, 2018)。

ウラン同位体で検証された海洋無酸素事変2OAE2の酸素枯渇

海洋無酸素事変2OAE2)は大量絶滅など地質時代の境界に起きた境界事変のひとつで、地球の歴史を解明する上で境界事変は重要な手がかりとして最近、注目を集めている。ニュージーランドのオタゴ大学の研究チームは海洋無酸素事変を引き起こす要因となった大気中に放出された炭素量を地球気候モデルを使って再現した結果、大気のCO2量が地球環境に重大な影響を与えることを見出した(Clarkson et al., PNAS online Jan. 22, 2018)。

塵がもたらした新生代後期の地球寒冷化

新生代後期にあたる約500万年前から約258万年前までの鮮新世の気候変動は将来の地球の気候を予想する上で、重要な手がかりになる。クレムゾン大学の研究チームは270万年前(新生代後期)の寒冷化が起きた原因はアジア大陸から巻き上げられた大量の塵が、北太平洋にかけて上空を移動したことが原因とする研究結果を発表した(Nie et al., Science Advances 4, eaao6977, 2018。

国連が誇張した地球温暖化ワーストシナリオ

エクセター大学の研究は増え続けるCO2排出量の現実を反映させ、CO2排出量が2倍となる場合の気温上昇を予測した。IPCCの予測では1.5-4.5度Cとなる気温上昇は下方修正され2.2-3.4度C、もっとも確率が高いのは2.8度Cとなった。つまり気温上昇の幅が狭まり、6度Cという極端な気温上昇はあり得ないことになる。

回復していなかった低緯度地域上空のオゾン層

人間を紫外線から守るオゾン層はフロン規制の効果で、極地上空にできたオゾンホールと呼ばれる欠乏箇所が消えたと考えられていた。しかしオゾン層の修復は緯度に強く依存しており、低緯度地域の上空のオゾン層では修復されていないことが欧州の研究チームによる最新の研究で明らかになった(Ball et al., Atmos. Chem. and Phys. 18, 1379, 2018)。

再び注目される地球の磁極逆転

磁極シフトが進み地球磁場が完全に逆転する状況に変わりはないとする警告をニューズウイークをはじめ多くのメデイアが取り上げたため再び注目を集めることとなった。磁極シフトが2012年以降、移動速度を早めたとなれば逆転の兆候と解釈されても不思議ではない。

最新研究がオゾン層の危機を警告

オゾン層の危機が叫ばれてモントリオール協定でフロン使用が禁止になった後、オゾン層の減少に歯止めがかかり危機は去ったと思われていた。しかし東アングリア大学の研究グループは、モントリオール協定で規制されなかったフロン以外の物質によって、再びオゾン層が危機が迫っていることを明らかにした(Oram et al., Atmospheric Che. Phys. 17, 11929, 2017)。

脱炭素社会への切り札となるCO2還元触媒

CO2を還元してカーボンニュートラル燃料や高分子製造材料を製造する技術が普及すれば、化石燃料を使用せずに済む。また貯蔵できるエネルギーを空気から製造することで同時にエネルギー危機も防げる理想的な未来技術になり得る。トロント大学の研究チームはCO2を還元してポリエチレンの原料となるエチレンに変換する触媒開発に成功した(Luna et al., Nature Catlyst online Jan. 15, 2018)。

欧州の放射性核種汚染でロシアが原子力事故を否定

欧州各地で2017年9月に観測された放射性核種(ルテニウム106)の地表濃度の異常な上昇した。放出源はウラル山脈近くのロシアもしくはカザフスタンの疑いが濃厚である。一方21日、ロシアは管轄する核施設では原因となる原子炉事故は報告されていないこと明らかにした。

2020年に誕生する海上独立国家

海上都市の構想の歴史は古く、ドバイ沖の海上都市サバー・アル・アマドを筆頭に多くのプロジェクトがある。中には独立国家を目指すものもあるが、2020年に最初の海上独立国家がタヒチ沖に実現する。

HIV-1の最後の未決定蛋白が構造決定される

アラバマ大学の研究チームはAIDSを発症させる逆転写酵素を持つRNAウイルス(レトロウイルス)のHIV-1の未決定構造を決定した(Murphy et al., Structure, 2017 今回決定されたのはHIVウイルスがヒトに感染して増殖するメカニズム解明に不可欠な蛋白gp41の細胞質尾部の構造である。

ホーキング博士の2600年地球滅亡説の真意

2600年に地球が火の玉となって人類は滅亡するから他の惑星しなけれならないというのが本当なら、火星移住計画の推進派にとっては願っても無い警告だが、2600年に何が土嚢な理由で起きるのだろうか。

WHOがスマートフォンとオーデイオ機器の健康被害を警告

WHOはスマートフォンやオーディオ機器の過剰使用で、10億人以上の若者が聴覚障害を起こす危険性があるとして新しい安全基準を提案し、電磁波健康被害リスクを警告した。聴覚を保護するために、WHOと国際電気通信連合はオーディオ機器の製造と使用に関する拘束力のない国際規格を発表した。WHOは先に電磁波による健康被害を認めており、スマートフォンやWiFi機器についても過剰使用を警告している

南大西洋で弱まる地球磁場

地球磁場の北磁極移動が加速しているなかで、もうひとつ注意しなければならない地球磁場の異常が、チリからジンバブエまで広がる広大な「南大西洋異常」である。この地域では、磁場が非常に弱いためヴァンアレン帯が地球に接近し宇宙線シールドが弱く、この地域での高い宇宙放射線が衛星の電子機器を破壊する恐れがある。地磁気異常の解明は磁極の弱体化と磁極逆転についての理解につながると考えられている。

大強度短パルスレーザーによる雷の制御

リヨン大学の研究者チームは世界で初めて、雷雲に高出力パルスレーザーを照射して人為的に放電を起こすことに成功した。研究チームはニューメキシコ州の山頂上で、フェムト秒レーザーパルスを使って避雷針の役目を持つプラズマフィラメントを作ろうとした。フィラメントの寿命が短すぎるため、落雷は発生しなかったが、レーザーパルスで雷雲自体に放電が起きた。

AIで地震の理解は進むのか~仮想地震学

リングオブファイヤーを形成する太平洋沿岸の火山地域地震と火山活動が活発化している。カルテックの地震研究チームはAIを使って、複雑な地震波を識別し、強度、速度、方向をリアルタイム評価を目指しているが、ほかにもスタンフォード大、Google-ハーバード大、MIT、ロスアラモス国立研究所でAIの地震警報システム開発が活発化している。

光合成の効率化で農作物の収穫量を倍増

植物は光合成によって太陽光をエネルギーに変換する。しかし、地球上のほとんどの作物は非効率な光合成を補うために、光呼吸と呼ばれるエネルギーのかかるプロセスをつくりだしたが、これもまたエネルギー効率が低い。イリノイ大学の研究チームは、光呼吸プロセスの改良で農作物の収穫量は40パーセント生産性が高くすることができることを明らかにした(Eisenhut et al., Science 363, 32, 2019)。

連続するインドネシアの津波と海底地滑りの脅威

インドネシア政府によると、12月22日、スンダ海峡に面するジャワ島やスマトラ島の沿岸で津波が発生し、222人の死者、28人の行方不明者を出した。この津波の特徴は地震が観測されなかったことで、海底の地滑りと高潮が引き起こしたもので、アナク・クラカタウ火山の活動によって海底で生じた地滑りが海面を上昇させて津波となった。リングオブファイアーの中でも特に注意が必要なアナク・クラカタウ火山の活性化が懸念されている。

契約雇用増大が警告する研究能力の衰退

契約職員が増えているのは先進国共通の傾向だが、研究者の雇用にも同様の問題があるとしたらどうだろうか。インディアナ大学の研究チームのデモグラフイー分析によると、高等教育機関で科学者としてのキャリアを追求する人々の半数は、5年後にこの分野から脱落するという深刻な現状が明らかにされた(Milojevic et al., PNAS online Feb. 16, 2018)。

長期予測が可能になったエルニーニョ現象

エルニーニョと呼ばれる海面温度の温暖化現象とラニーニャと呼ばれる冷却現象は、世界中の気象や気候に影響を与える。韓国の浦項大学の研究チームは、大西洋の海面温度の変化から、地球の表面温度に重大な影響を与えるエルニーニョとラニーニャ現象による極端な気候変動を1年以上前に予測できることを示した(Park et al., Scientific Reports 8: 14957, 2018)。

癌発症とマイコプラズマ感染の関係

メリーランド大学医学部(UMSOM)のヒトウイルス研究所(Institute of Human Virology、IHV)は、マイコプラズマに感染した細胞の蛋白質DnaKがDNA損傷に応答し修復する能力を妨害する癌発症の起源と関係することを発見した(Zella et al., PNAS online Oct. 29, 2018)。

後期更新生期の「真の極移動」は氷河期の原因か

ライス大学の研究チームは、ハワイ諸島の位置を含む太平洋の調査に基づいて、地球自転軸に相対的にグリーンランドが北極に向かって移動した大陸の再配列が、約320万年前に始まった新生代氷河期の原因となった可能性があることを見出した(Woodworth et al., Geophys. Res. Lett. online Oct. 19, 2018)。

NASA衛星データが警告する太陽極小期

太陽黒点がほとんど観測されなかった2018年は、11年周期の太陽活動が衰退し太陽極小期を迎えていることを示している。地球上の高空の温度変化は、気候変動を含む地球上の気象に大きな影響を与える可能性は低い考えがちだが、NASAは地球の大気の変化を計測する衛星観測に基づいて、黒点の欠如が地球の寒冷気候に結びつく恐れがあるとして警告している。地球の大気中の粒子運動エネルギーを上昇させ地球を加熱する紫外線が減少し地球が冷却されるからである。

水不足アトラスが警告する水資源危機

スエーデンのアアルト大学の研究チームが国際応用システム分析研究所(IIASA)と共同で作成したインタラクテイブマップ、水不足アトラス(Water Scarcity Atlas)は、全世界の水資源の調査研究に基づいて最新の水不足分布を可視化し、家庭および産業用水の未来危機を警告している。

過少評価されていた海洋の吸収熱量

カリフォルニア大学(サンデイエゴ)の研究チームは、世界の海洋が、1991年から2016年にかけて毎年、1.33±0.2×1022ジュールの熱量を吸収していたことを明らかにした。この数値はIPCC最終評価報告の推定値(4度Cの温暖化)よりも60%以上高く、1991年以来10年ごとに6.5度Cで温暖化していた。これは地球表面の平方メートルあたり0.83±0.11ワットのエネルギー不均衡(入力と出力エネルギーの差)に相当する(Resplandy et al., Nature 563, 105, 2018)

ヒトの寿命と収入の意外な関係~金持ちより貧乏人は長生きする?

コペンハーゲン大学の研究チームの富裕層と最貧困層の平均寿命に関する新しい研究結果はそれらの間に大きな違いがあるとする従来の理解に相反する。研究チームによれば、以前の研究で想定されていたように、人々は必ずしも貧しいままでいるとは限らない。さまざまなレベルの社会の人々の平均余命を所得クラス間の移動性を考慮して解析した結果は、現実には富裕層と貧困層の人生の差はそれほど大きくない。

中国がチベットで世界最大規模の人口降雨

ジオエンジニアリングとは高空から微粒子を散布して、人口の雲を作り日射量を減らすことで地球を冷却、人工雨で砂漠化を防ぐ技術である。環境保全や効果に付いて賛否両論が渦巻く中で、水不足で砂漠化が進んでいる中国は本格的なジオエンジニアリングに取り組んでいる。中国は、チベット高原で歴史上最大となる人工雨実験を計画している。

米国が遺伝子治療実験の規制を緩和

かつては遺伝子編集技術が成熟していないとして、規制の必要性を認めてきた米国の保健当局は、現在では特別なリスクを伴わない新しい治療法になっているとして、遺伝子治療実験の特別な規制を排除する。米国国立衛生研究所の特別監視委員会は、遺伝子治療の全適用を見直さず、水曜日に提案された変更に応じて、より広範な項目の諮問機関となることで実質的に規制が弱まる

2018-2022も予測される異常熱波

異常気象が続いている2018年だが、異常な酷暑は近年でも突出していることに驚いている人が多い。たしかに2018年の夏、世界的な熱波が北半球を覆い尽くしている。その原因については複数の仮設があるが、CNRSの研究チームは新しい方法を用いて、シミュレーションを行い2018年が特殊なのではなく、今後数年間は酷暑の夏を迎えると予測している(Sevellec et al., Nature Comm. 9: 3024, 2018)

農作物への負の効果となるジオエンジニアリング

カリフォルニア大学バークレー校の研究チーム新しい研究によると、微粒子を大気中に噴霧して太陽光を遮蔽し地球を冷却し、気候変動の温暖化効果に対抗することは、地球温暖化による作物被害を相殺するものではないことが明らかになった(Proctor et al., Nature online Aug. 08, 2018)。

2018年世界的な酷暑の原因に複数の仮説

レディング大学の研究チームによると、最近観測されることが多くなった熱波の原因となるものにはいくつかの主要な理論があるという。

酸欠になる大洋の危機

トロント大学とカリフォルニア大学サンタクルス校の海洋科学研究チームは最新の研究に基づいて不気味な警告を発している。研究チームは、世界的な炭素排出が現在のれーとで増加し続けると、海洋の多くの魚が危険にさらされる可能性があるとしている。

九州の霧島と姶良で証明された活火山同士の関係性

活発化する日本の火山活動だが、気象庁の複数の火山爆発に関連性がないといういたって冷静な発表の一方で、マイアミ大学研究チームは、九州南部の火山活動の急激な変化は火山22km(13.7マイル)離れた火山同士の関係性を初めて確認した。 2つの火山(姶良カルデラと霧島)の観測によると、2011年に霧島の噴火に至る数ヶ月間に共通の地下マグマ供給源を介して2つが結ばれたことが示された。

ヨセミテの花崗岩が書き換える地球の地質史

カーネギー研究所(ワシントン)の研究チームは、ヨセミテ国立公園の花崗岩には、これまで考えられていたよりずっと低い温度で結晶化する鉱物が含まれていることを見出し、それが地球の地質学的歴史を書き換えることを明らかにした(Ackerson et al., Nature online June 27, 2018)

これから始まるビッグチル(寒冷期)の脅威

地球温暖化といわれるにもかかわらず、20162月から20182月の2年間で、世界の平均気温は0.56℃低下した。これに次ぐ平均気温の下降傾向は2年で0.47°C下がった時期(1982-1984)である。(NASAゴダード宇宙研究所データベース)。

異常気象を引き起こすジェット気流の渋滞

シカゴ大学の研究チームが、最新の研究で地球を巡る大気の流れであるジェット気流がある地域で滞ることが最近の異常の原因であることを明らかにした。研究チームによると、ジェット気流には高速道路にた終えられ、オーバーロードで渋滞のように気流が滞ると異常気象が発生する(Nakamura and Huang, Science online May 24, 2018)。

キラウエア火山でM6.9地震

活発していたキラウエア火山だがそれを裏付けるように、4月4日午後12時33分にM6.9の火山性地震が、キラウエア火山の南側に発生した。この地震は1975年のM7.1の地震以来最大となる。

一方、キラウエア火山から流れ出す溶岩流が住宅地域を襲い、パホアの町の近くにあるライラニ県の地区などが危険にさらされたため、一部地域の避難指示が出された。

乳房組織の老化で増大する乳癌リスク

これまでの研究で女性の乳房組織が老化によって変化することが知られていた。ヒトは年齢とともに異なる細胞に成長する能力を持つ多能前駆細胞が増加するが、これが癌発生につながる場合があると疑われていた。ノルウエイのベルゲン大学の研究チームは年齢によって変化する乳房組織(多能前駆細胞の増加)が癌発症のメカニズムの一つになることを見出した(Fanny et al., Cell Reports 23, 1205, 2018)。

大量絶滅後の生態系復活に時間を要した理由

アリゾナ大学とNASAの研究チームは大量絶命の原因と生物の復活に時間がかかった理由を調べた。この研究では、これまでの研究では海洋中の酸素欠乏が大量絶滅に関係していると考えられているため、海洋の生態系に注目した。研究チームは新たに炭酸塩中のウラン同位体から酸素欠乏を推定する手法を用いて、海洋中の平均値を推定した結果、大量絶命が突発的な海洋の酸素窮乏と関係する事が明らかにされた(Zhang et al., Science Advances 4, e1602921, 2018)。

ダイアモンドに閉じ込められていた氷-VIIの発見

地殻の深層部から見つかったダイアモンド結晶中に閉じ込められた氷-IVという地球の環境には存在しないはずの氷の結晶が発見された。氷-IVの発見は初めてで、地球の深部に水が存在する証拠となる(Tschauner et al., Science 359, 1136, 2018)。

温暖化に矛盾する気象ビッグデータ~極渦で寒冷化する米国南部

ダートマス大学の研究チームの研究によると米国南東部の暖気ポケットの寒冷化は大西洋と太平洋の気温の変化の影響が大きく、地球平均気温の上昇と逆に低下していることがわかった(Prtridge et al., Geophys. Res. Lett. online Feb. 06, 2018)。研究によると1950年代から米国上空のジェット気流が「暖気ポケット」の出現とともにうねる「極渦」現象が見られるようになった。

大気中のCO2除去に積極的なアイスランド

パリ議定書から米国が脱退し削減交渉に暗雲が立ち込めている。排気量規制が失速しつつある現在、大気中のCO2を取り除くアプローチに関心が集まっている。排気量の過半数を占める米国と中国はいずれも規制に消極的で必要とされる排気規制が現実的でないためである。

MOFを用いた超高速イオン透析技術

全世界で20億人が飲料水不足にあえいでいる。海水から飲料水を製造する海水淡水化技術は水資源の確保に重要である。モナッシュ大学の研究グループはこのほどMOFを用いてサブナノポーラス膜を開発し、従来の技術より高速に淡水化する技術を開発した(Zhang et al., Science Advances, 4 eaaq0066, 2018)。

湖底の堆積物から明らかになった大地震の周期性

南米チリの湖底の堆積物コアを分析した国際研究チームは大地震の発生に周期性が高いことを見出した。小規模の地震を含めれば周期性はさらに高まり、しかも周期性が増大していることも明らかになった(Moemaut et al. Earth and Planetary Sci. Lett. 481, 9, 2018)。

酸素欠乏海域の増大は地球環境の危機

大気中のCO2濃度の増大は海水の酸性化をもたらし漁業に深刻な打撃を与えるが、一方では海水中の酸素濃度も地域によっては減少傾向が続いている。酸素濃度は海水に生息する生物にとって致命的な悪影響を持つ。過去50年にわたって海水の酸素濃度は減少傾向にあり、低酸素濃度領域が1950年当時比べて10倍に拡大した。

地球寒冷化が世界経済に与える脅威

2017年には27%にあたる96日間に渡って無黒点の状態が継続した。2015年には無黒点の日数は無かったが、2016年には9%になり2017年には27%となった。太陽活動が低下すれば放出エネルギーも低下するから寒冷化は避けられないが、寒冷化が食糧危機と感染症の流行で世界経済と強くリンクしている。太陽活動の長周期(約300年)は経済活動周期と一致している。

藻が地球の危機を救う日

本格的な藻の食料や化粧品の原料への応用は遺伝子編集ツール(CRISPR)の進歩で現実味を帯びてきた。エジンバラ大学の研究グループは藻の遺伝子編集技術を改良し、新薬開発への応用を目指している(Ferenczi et al., PNAS online June 12, 2017)。

抗体のせいで2回目の感染が危険なデング熱

世界的なデング熱流行はまだ記憶に新しいが、幸い日本ではそれほど多くの犠牲者を出すことなく、いつしか忘れ去られようとしている。本当に感染リスクは消えたのだろうか。米国とニカラグアの研究グループによれば一度感染した幼児は二度目の感染の方が症状が重く、危険なことを最新の研究で見出した(Katzelnick et al., Science online Nov. 02, 2017)。

海底炭素貯留の安全性を調査するEU

STEMM-CCSStrategies for Environmental Monitoring Carbon Capture and Storage)と呼ばれるこの研究は英国の研究グループによって行われ、論文として公開されている(Alendal, J. of Geophys. Res. online July7, 2017)。研究では海底貯留からの漏洩を検出して漏洩場所を無人潜水艇で特定する手法を提案している。

紫外線照射で皮膚癌になるメカニズム

コーネル大学の研究グループは癌発現につながる遺伝子変異を研究し、紫外線照射でできるメラニンよりメラニン形成細胞であるメラノサイト(幹細胞)が支配的になると、皮膚癌幹細胞が活発化することをみいだしたMoon et al., Sell Stem Cell online Oct. 12, 2017