抗体のせいで2回目の感染が危険なデング熱

07.11.2017

Photo: onlymyhealth

 

世界的なデング熱流行はまだ記憶に新しいが、幸い日本ではそれほど多くの犠牲者を出すことなく、いつしか忘れ去られようとしている。本当に感染リスクは消えたのだろうか。米国とニカラグアの研究グループによれば一度感染した幼児は二度目の感染の方が症状が重く、危険なことを最新の研究で見出した(Katzelnick et al., Science online Nov. 02, 2017)。

 

多くの場合、最初のデング・ウイルス感染によるデング熱発症は症状が軽く大事には至らない。大多数の人にとっては2回目の感染でも同様である。しかし3番目に分類される人々は2回目の症状が重くデング・ショック症候群を誘発する。

 

 

Credit: CDC

 

デング・ショック症候群にかかると血管からの失血で体液が失われ、器官不全を引き起こし死に至る。この原因についてはこれまで意見が分かれていたが、一説には最初の感染によってつくられた抗体が関与するとされていた。

 

今回の研究ではマナグアの2-14歳の8,000名の患者から採取した血液を12年にわたって毎年調べ、抗体反応を調べた。その結果、感染していない幼児、1度感染した幼児、2回以上感染した幼児に分けて、抗体を詳しく分析した結果、抗体レベルが適切である場合には、デング・ショック症候群を発症しないことがわかった。抗体レベルが高い場合には発症する確率が7.64倍高くなる。

 

 

 

この研究によって幼児がデング・ショック症候群を発症しないためには1回の感染に抑える必要があることがわかり、デング熱による犠牲者を減らすことに役立つと期待される。