新型コロナウイルス感染の中国最新状況 Part 1

30.01.2020

 

 中国国家衛生健康委員会と中国疫病対策予防センター(中国CDC)は毎日、新型コロナウイルスの最新状況の情報を提供している。現状を把握するため確認された感染者数と死者数の情報に注目が集まる。しかし、これ以外に、疑いがある症例、経過観察に置かれている件数、回復し病院から退院した件数の情報は、現状と今後新型コロナウイルスがどのように拡大していくかの重要な情報となる。

 中国国家衛生健康委員会の発表によると29日時点で、死者が新たに37人増え、計170人、感染者は新たに1,737人確認され、計7,711人が確認されている。新たに重症患者が131人増え、21人は回復し病院から退院、疑いがある症例が12,167件と報告された。感染者との接触があり、経過観察対象となった88,693人のうち2,364人は経過観察対象から外され、81,947人が感染の疑いで経過観察にある。

 

 確認された感染者とは、WHOのプロトコルにより2回の感染症遺伝子検査(PCR test)で陽性となった症例である。疑いのある症例(陽性と定される症例)は、1回目の検査で陽性の結果をだしたが、2回目の検査をまだ受けていない又は結果待ちの症例である。

 カナダでは26日に、新型コロナウイルス感染の「陽性と推定された症例」を確認したことが報告された。1回目のPCR検査はオンタリオ州保健局で行われ、陽性の結果がでた段階で感染者として認定された。その後、カナダ公衆衛生局の国立微生物学研究所で2回目の検査が行われ、陽性と出た結果、正式に確認症例となった。

 

 中国で使用されているPCR検査に問題がなければ、中国の疑いのある症例も同じように「陽性と推定された症例」を感染症例としてみることができる。実際の感染者は7,711人ではなく、19,878人であると考えられる。また、81,947人が経過観察の対象になっているのも今後、感染症例の拡大につながる可能性が高い。

回復が難しい
 新型コロナウイルスに感染して回復し病院から退院する件数が非常に少ないことも注目点である。これまで、計124人しか回復、退院していない。一度感染すれば、回復が非常に難しいことを示している。高齢者の感染者が多いことが回復を難しくしている可能性はあるとはいえ、回復は難しいといえる。

 北京の衛生当局は、北京において29日時点で、感染者は101人、死者1人が確認され、新たな流行段階(エピデミック)にあると明らかにした。感染者のなかには、回復した人が再び感染したケースや若い年齢の感染者が増加しており、これまでの高齢者から幅広い年齢の感染症例が拡大していると報告している。