アイスランドで明らかとなった新型コロナウイルスの特徴

07.04.2020

 

 アイスランドは、人口36.4万人のうち約5%の症状のある人と症状がない一般市民を対象に新型コロナウイルスの検査を実施した。検査の結果、SARS-CoV-2ウイルス(病名COVID-19)の特徴に関する注目すべき情報が明らかとなった。

 検査対象となったのは症状のある、疑いのある人が半数、あとの半数は症状のない、自発的に検査を受けたいと申し出た一般市民であった。今回アイスランド保健省がバイオ医薬品会社のデコード・ジェネティック(deCODE Genetics)に検査を委託して行ったものである。

二種類に同時感染
 アイスランドで世界で初めて、新型コロナウイルスに感染した患者から同時に二種類のウイルスに感染したことが確認された。この感染者からは変異していない菌株と変異した欧州の菌株が検出された。しかし、この二重感染者から感染した人は変異したウイルスしかもっていなかったことから、変異したウイルスは感染力がより強い可能性があるとの見方がでている。

 この二重感染患者から採取されたサンプルから見つかった変異は、国際的なデータベースによると、アイスランド以外では見つかっていない変異であることも指摘されている。この症例以外にも、アイスランドで確認された感染者600人のウイルス遺伝子配列の分析によると40種類の変異体が見つかっている。

 

 アイスランドで流行している新型コロナウイルスは欧州のオーストリア、イタリアと英国から持ち込まれたものである。この3つの地理的起源となる菌株で突然変異が起きたとされる。現在アイスランドでの感染者は人口の約1%にとどまっており、陽性者のうち半数は症状がない。

 

 中国の北京大学と中国科学院の上海パスツール研究所の研究でも、ウイルスは2種類あると発表している。中国では新型コロナウイルスが一種類とされたが、その後L型とS型の2種類のウイルス株が発見された。当初武漢市で感染拡大した、重症化しやすいL型は70%を占め、30%はより弱いS型であったが、1月以降はS型が中心に広がっていると報告されている。