H E A D L I N E 

ヘッドライン

フィンランドで最低所得の実験的実施が始まる

 

  フィンランドは1月1日から市民2000人を対象に、ヨーロッパ初の「ベーシックインカム」(統一最低所得)を試験的に始めた。参加者は成人1人につき月額560ユーロ(約6万9000円)が支給される。このプログラムは2年間続き、参加者は失業手当又は生活保護を受けている25~58歳の失業者から無作為に選ばれた。

 

 フィンランド政府は、「ベーシックインカム」で貧困当事者への支援、雇用状況の改善、現給付制度を廃止し「ベーシックインカム」に一本化する財政コストの削減策として導入を2年間検討してきた。特に、8.1%と高い失業率は、現給付制度が大きく影響しているとされる。

 

 現失業手当や社会保障制度では、収入の上限制限がある。収入額で受け取る社会保障額が減らされるのに対して、「最低所得」制度では、収入とは関係なく決まった最低所得を受けることが保証される。支給額を受け取りながら正規雇用、自営業、パートタイムの仕事や臨時の仕事をすることも可能となる。


Week of 16.01.2017から

パリ中東和平会議で焦点となるパレスチナ問題

フランスが主催するパリ中東和平会議には、世界72ヵ国と国際機関(EU, 国連、アラブ連盟)の代表が参加している。この会議はイスラエルとパレスチナ自治区との平和交渉に向けた政治的環境を整えることを目的としている。2016年12月23日に国連で採択された「イスラエルとパレスチナが平和かつ安全に共存する2国共存案の重要性を改めて示す」とした国連安保理決議2334号を重視し、より幅広く国際社会においてパレスチナ国家承認への動きが活発化している。

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米軍のポーランド派兵で緊張が高まるロシア国境

政権移譲を数日後に控えたオバマ大統領は1月12日、NATO演習の一環として、ロシア国境に近いポーランド領地に派兵した。プーチン大統領はこれに鋭く反撥し、この派兵はロシア国境防衛を強化するものでロシアの利益と安全保証を損なう懸念を表明した。

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ダボス会議2017に異変

スイスの高級スキーリゾート地ダボスで、1月17~20日に世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が開催される。ダボス会議の3,000名の参加者には、世界の大手多国籍企業1,000社から約1,800名のビジネスリーダーの他、世界の指導者、経済人、メディア関係者、セレブが出席する予定である。今年のダボス会議の注目は、 中国の習近平国家主席が中国の国家主席として初めて出席することである。

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ドイツ主導の政策で早まるEU崩壊

ドイツは、欧州連合(EU)参加国が財政赤字を対国内総生産(GDP)の3%以内まで削減するEUの財政枠組みに従うよう求めてきた。しかし、景気減速や国民の反対で、財政緊縮策の実施は難しく、EUのなかでの分裂は深刻化している。

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地球内核の第3の元素はシリコン

地球のコア(内核)の85%が鉄、10%がニッケルであるが、残りの5%がどの元素なのかは解明されていなかった。このほど東北大の研究チームが地球の内核を構成する鉄、ニッケルにつぐ第3の元素がシリコンであることを突き止めた。

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EVの真価が問われる2017年

EVの世界的な動向に最も影響を与えたのはテスラEVであることは誰でも認めるだろう。EVに関する詳細は専門記事に譲り、ここでは世界的なEVの展開が加速する理由を考えてみたい。EVといってもテスラEVは動力性能を犠牲にしたエコカーではない。EV概念を覆す新鮮さと数々の先進的な装備が若い世代を魅了し、まるで車の世界のiPhoneのようにシェアを伸ばした。

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311地震のメガスラストの挙動が明らかに

カナダの地震研究者グループが日本の研究者グループと共同して、収束型境界の衝上断層(メガスラスト)の沈み込みについて詳しい海底面の調査と数値解析でモデルを最適化し、40kmに及ぶ断層の溝近傍で62mに及ぶ断層滑りの存在を確認した。この研究により実測結果を説明できる断層滑りのモデルが確立した(Nature Commun. 14044 (2017))。

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MITが鋼鉄の10倍の強度を持つポーラスグラフェンを開発

MITの研究チームがフレーク状のグラフェンを圧縮・溶融して微細な穴を持つナノ構造体とすることで、鋼鉄の10倍の強度を有する軽量・高強度材料を開発した。2次元構造を持つグラフェンは軽量で機械強度が高い上に高電気伝導度を持つ次世代材料として注目されていたが、これまで特徴を生かして高強度材料として用いることが困難であった。

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最近の記事

Week of  09.01.2017から

フィンランドで最低所得の実験的実施が始まる

フィンランドは1月1日から市民2000人を対象に、ヨーロッパ初の「ベーシックインカム」(統一最低所得)を試験的に始めた。参加者は成人1人につき月額560ユーロ(約6万9000円)が支給される。このプログラムは2年間続き、参加者は失業手当又は生活保護を受けている25~58歳の失業者から無作為に選ばれた。

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ジュリアン・アサンジ氏が否定するロシアの関与

ウィキリークスの創始者であるジュリアン・アサンジ氏は、ロンドンの駐英エクワドル大使館で、ロシアの米大統領選への関与に関してインタビューに応じた。アサンジ氏はオバマ政権とアメリカのメディアのロシアによるサイバー攻撃、ハッキングでトランプ氏が大統領に選ばれたという主張は、「明らかに、ドナルド・トランプ氏の大統領としての合法性を認めない企てである。」と述べた。

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ビットコイン価格急騰の背景

2017年年明け、ビットコインの価格は3年ぶりに1,000ドルを超え、コインデスクによると1日に1,021ドルをつけた。2016年は比較的緩やかな上昇傾向にあったビットコイン価格は、10―12月期には急騰している。その背景には、通貨安、地政学的不安、既存の貨幣への信用の低下、安全資産として広く認識されたことがあげられる。

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銃乱射テロで騒然とするイスタンブール

大晦日のケルンの集団暴行事件で幕が開けた2016年は、その後も欧州では多くのテロ事件が勃発し。ISとの戦争終結も見えてきた年末であったが、2017年早々トルコのイスタンブールで銃乱射テロにより多くの外国人を含む39名が犠牲となった。

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ロシアの米国大統領選への関与疑惑の真相 Part 2

トランプ氏は選挙人投票で大きな混乱はなく、正式に勝利が確定した。それでも主要メディアはロシアの米国大統領選への関与疑惑の報道を続けているが次第に疑惑を否定する事実が明らかになってきた。

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モンテ・パスキの国有化に踏み切るイタリア政府

モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)による50億ユーロの資本増強の自力再建計画は、欧州中央銀行(ECB)が設定した期限(12月22日)までに達成できず、失敗に終わった。ECBは資本増強期限の延期許可を与えなかったため、イタリア政府は22日に公的資金による銀行救済に踏み切った。

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ロシアの米国大統領選への関与疑惑の真相 Part 1

ロシアがハッキングとサイバー攻撃を仕掛けて、米大統領選でクリントン氏に大打撃を与えトランプ氏を当選させたと結論付けた米中央情報局(CIA)の報道が大きな波紋を呼んでいる。CIAの情報だけでなく、米主要メディアの報道に対して多くの疑問がある。

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2016年の気温上昇はエルニーニョの影響

2016年の平均気温が過去平均から外れていることで地球温暖化が早まった証拠とするのは早計である。長周期的には太陽活動の減少による寒冷化に向かっており、より短期的(2015-2016年)にはエルニーニョ現象による効果の寄与が大きいからだ。実際、エルニーニョ現象のピークが過ぎてからは平均気温も過去平均に向かって収束している。

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光触媒の水素発生効率が100% に

水分解反応は水分子を酸素とプロトンに分解する負極反応とプロトンから水素を生成する正極反応の4電子2反応プロセスである。この中の還元プロセス(水素発生)の可視光によるエネルギー変換効率はこれまで60%止まりだったが、このほどイスラエルの研究グループが効率100%を達成した(Nano Lett. 16 (2016) 1776)。

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イリジウムNEXTによる次世代衛星ネットワーク

衛星電話を運営するイリジウム社は2016年12月1日、時期計画としてイリジウムNEXT計画を公表した。イリジウムNEXTはバックアップを含めて81基体制の静止衛星で地球全体を覆い地球上の全ての場所で衛星通信を可能とする。

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3D微細化による超高性能バッテリー

スタンフォード大学の研究チームは定電圧で水を酸素と水素に分解する新しい水分解単触媒を開発した(Nature Comm. June 23, 2016)。新型触媒はリチウムイオンバッテリーの技術を電気分解の触媒に利用して低コスト触媒コストの開発に成功を収めたがその原理は他の化学反応にも応用できるとしている。

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新型触媒で水がクリーンエネルギー源に

イリノイ大学の研究グループはスーパーキャパシタ並みの電力密度(7.4 mW cm-2 μm-1)の3Dマイクロバッテリーを開発した。その構造は模式的にはトップのイメージのように立体的に正極材料(LiMnO2)を被覆したNiと負極材料(NiSn)の積層ブロックを交互に並べたものである。

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サハラ沙漠に降った雪

2016年の北半球は酷寒の冬を迎えているが、サハラ砂漠(アイン・セフラ地域)の降雪がメデイアを賑わしている。1979年以降で初めてとされるこの地域の降雪は長周期太陽活動の低下によるミニ氷河期と関連づけられるのかが注目される。

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東欧発のバッテリー革命~ナノ科学で高性能化

過去数10年間、再生可能エネルギーによる発電量は増大し続けており、化石燃料火力との競争力が増しているが、その欠点は安定性にありベース電源となり得ないとされてきた。蓄電能力の向上でこうした一般論も過去の話になろうとしている。チェコの首都プラハの北部のレサニーに新型バッテリーの生産ラインが建設され、高性能バッテリー生産が始まる。

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T  R  U  T  H  in trends

トレンドの裏側にある真実 

モンテ・パスキの損失隠しで訴えられるドイツ銀行

 

 

 イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(ポンテ・パスキ)銀行がドイツ銀行と野村ホールディングスと共謀して損失を隠し、財務虚偽報告に関与したとする裁判が2016年12月15日にミラノで始まった。欧州で破綻危機を迎えている2行が関わっている裁判である。

 

 モンテ・パスキはこの件で、10月に司法取引を行い1000万ユーロの放棄および60万ユーロの罰金を支払うことで合意した。そのため裁判の被告には含まれていない。一方、ドイツ銀行と野村はデリバティブ(金融派生商品)取引を利用して、モンテ・パスキの損失隠し及び2008~2012年の虚偽決算報告への関与と市場操作で訴えられている。

 

 裁判は、モンテ・パスキが最後の手段ともいえる50億ユーロの資本増強計画に取り組んでいる最中に行われている。このため裁判の報道で投資家が影響を受けないとは言い切れない。


TECHNOLOGY with IMPACT

 社会を変える注目技術

 

癌細胞の正常分裂を阻害する酵素蛋白を発見

 

 癌細胞の特徴は正常細胞に比べて成長が早いことである。この性質は放射線治療で癌細胞で折りたたまれていない(無防備の)DNAを特異的に破壊して、癌細胞を死滅させる原理となっている。

 

英国癌研究所、ケンブリッジ大学、ダブリン大学の研究チームがこのほど有糸分裂時にBuBR1と呼ばれる酵素蛋白が癌細胞の細胞分裂時に攻撃して破壊することを発見した。BuBR1分子が染色体を複製して細胞分裂した細胞が未熟な状態に置かれ死滅することを見出した(Molecular CellDecember 8, 2016)。

 

BuBR1分子(注1)は分裂後に修飾染色体が複製されて定位するのを妨げる機能を持つ(。BuBR1分子を細胞から抜き取り変異させたものと置き換えると有糸分裂が時間を制御できなくなり、分裂後の細胞の染色体が均等に配置されない。研究グループはBuBR1のABBA配列と呼ばれる部分が染色体の分裂タイミング制御の役割を持つことを発見した。


 

Pick Up TRENDS 

特集コラム 

欧州銀行危機

欧州銀行監督局(EBA)によるEU加盟国の大手51の銀行を対象にしたストレス・テスト(健全性審査)の結果が29日公表される前に、ドイツ銀行の2四半期決算が発表された。純利益、経常収益は大幅に減少して破綻危機が始まっている。これから先、ドイツ銀行が抱えているデリバティブ商品の一部が満期を迎えていることで、破綻が加速する可能性が高い。イタリア銀行の不良債権処理についても、再建案へ政府の関与を巡り政治的混乱が生じている。

活発化する欧州再編成への動き

財政的には不利とされるにもかかわらず、EU離脱に英国民の多くが同調する原因は労働者の機会不均等と不満によるところが大きい。移民の雇用率は英国市民より高水準にあり、EUからの移民に特別の優遇政策がとられていることへの国民の不満が高まっている。EU離脱により移民が出身国に依存しない雇用機会を得る「公平性」が実現する。移民政策や対ロシア制裁による交易の落ち込みなど、EUの政策と国内政策が矛盾する事例が相次ぎEUの結束力が弱まる一方である。

欧州の難民危機

シリアを筆頭に中東の難民は戦争で生命を危険にさらされて欧州に避難したというのは間違いである。10,000人への聞き込み調査によれば、戦争から逃避してきた難民は全体のわずか13.7%にすぎない。ほとんどの難民は経済的理由、すなわち安定な就職先を求めて、欧州への移住を希望している。しかし欧州への移民・難民は各国の扱える範囲を大幅に超え国民に不安を与え、社会・経済を混乱させるに至った。移民・難民の急激な増加で欧州の不安定性が増大し、多様性の受け入れに危惧を持つ国民が増え結果的にEUの結束力が弱まった。


エネルギー科学最前線

大気中の二酸化炭素は温暖化の原因とされ、その排出量規制を巡り世界中の国と企業が血眼になって低減策を模索している。排出量規制に歯止めがかからないため、大気中のCO2を取り込み植物に習って光合成を人工的に行うことにより、空気中の炭素から燃料(アルコール)を合成する研究開発が活発化している化石燃料が欠乏しこれまで期待の大きかった原子力エネルギーとバイオマス・エネルギーが失速して、2050年に倍増するエネルギー需要を満たすことが難しくなってきたからである。そのため原子力から核融合実用炉への移行と、大気中のCO2を使って人工燃料とする人工光合成の研究が期待されている。

遺伝子工学的先端治療法

近年、遺伝子工学的先端治療法の進捗が著しい。各国で重要性が認識され基礎科学の最重要課題の一つとして潤沢な研究開発資金が注ぎ込まれた結果、成果が出始めている。英国癌研究所、ケンブリッジ大学、ダブリン大学の研究チームがこのほど有糸分裂時にBuBR1と呼ばれる酵素蛋白が癌細胞の細胞分裂時に攻撃して破壊することを発見した。BuBR1分子が染色体を複製して細胞分裂した細胞が未熟な状態に置かれ死滅することを見出した(Molecular Cell December 8, 2016)。

期待される先端デバイス

実用化が近い先端デバイスを紹介する。英国ブリストル大学のキャボット研究所の研究グループは高レベル放射性廃棄物から5,000年間電力を供給できる半永久バッテリーを製造する技術を発表した。研究チームは黒鉛型原子炉の使用済み核燃料棒の炭素から、半永久的な寿命を持つダイアモンド・バッテリーが製造できる。ダイアモンドは室温量子計算機素子の材料としても注目されている。またカーボンナノチューブのICチップ実用化も近い。21世紀はカーボンデバイスの世紀となる可能性が高くなった。



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