国家収入の80%を原油輸出に頼っているサウジアラビアは原油価格の減少で財政難に陥り、サルマン国王による独裁体制への反撥が高まっている。構造改革に迫られるサウジアラビアはモハメド皇太子(国防大臣)が原油依存から脱却を目指して打ち出したビジョン2030が波紋を投げかけている。
ウクライナ問題で西側諸国が2014年に初めて対ロシア経済制裁を発動して以来、3回目の制裁延長が7月末に終了した。アメリカは25日にロシアが去年の大統領選に関与したとされる問題で、新たな制裁強化を科す法案を、上院に続き議会下院でも可決した。しかし、これまでロシアへの制裁に協調してきたEU(特にドイツ)は制裁への強い反対姿勢を表明し26日には、対ロシア経済制裁がEUのエネルギー投資を制限、ヨーロッパの企業や経済に影響を与えるとして、対抗措置を講じると警告している。
異例の勅令でサウジアラビア次期国王に指名されたサルマーン皇太子
アブドゥルアズィーズ・イブン・サウード初代サウジアラビア国王の孫で、現サルマーン国王の甥、王位継承順では次の国王となるムハンマド・ビン・ナーイフ皇太子(57歳)は突如、王位継承権と内務大臣のほか、全ての役職を剥奪された。代わりに王位継承順第1位(皇太子)に昇格したのが、現サルマーン国王の実子ムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子・国防大臣(31歳)である。
サウジアラビアはイランとの国交断絶の条件が中心となる最終宣告をカタールに突きつけた。中東でサウジアラビアと米国の脅威となっているイランの政治的・経済的影響力の拡大を阻止する動きであるが、カタールとイランの関係は切り離せない共存関係である。
5日に始まった「反カタール」連合によるカタールとの国交断絶の背景には、①化石燃料資源の格差、②カタールのイランとの深まる関係、③中東の中でのサウジアラビアの脅威となっているイランの勢力と影響力の拡大、④サウジアラビアの財政悪化、⑤メディア帝国アル・ジャジーラ放送の影響力の拡大などがある。
世界各国の中央銀行や政府系投資ファンドは、過去最高のペースで米国債を売却している。なかでも、サウジアラビアは中国やロシアを上回って、これまで過去最大の米国債を売却している。
オバマ大統領は20日にサウジアラビアを訪問したが、それは国王や王室関係閣僚の出向かいがない、地元メディアの報道がない、両国の関係悪化を表したものであった。9/11の情報公開を巡り、関係悪化を改善するための訪問であったはずだが、サルマーン国王は湾岸協力会議の首脳との会合を優先、オバマ大統領との会合を後回しするといった軽視した扱いをしたのである。
米国議会で9/11でサウジアラビア政府が関与したことを示す情報公開について論争が行われているが、サウジアラビアは米国外交戦略の失敗と政治力の弱体化が中東における混乱や不安を引き起こしたと主張している。情報公開を巡る一連の騒動は、サウジアラビアへの安全保障の見返りに、すべての原油をドル建て決済とするペトロダラー体制の崩壊の始まりが背景にある。
世界は今原油価格の下落の渦に飲み込まれている。昨年の余剰原油だけで英国あるいはタイの全消費量が賄える。価格の下落は過剰供給が止まない限り続く。過剰な原油は投資家の不安を募らせ市場を冷え込ませた。原油価格の下落に伴い過去6か月の過剰生産量は半減したが100万バレルもの原油が市場では法外な安値で取引されている。
2015年の9月にはまだシェールガス生産はまだまだいけるという楽観的な見方が関係者の中にはあったが、統計にはっきりと北米のシェールガス生産がピークを超えたことが鮮明になってきた。米国経済を左右するエネルギー市場にはシェールガス減産の影が忍び寄るが投資家はそれに気がつかない。すべてのブームには終わりがある。シェールガスも例外ではない。
シリアのゴラン高原で、イスラエルが一方的に併合した地域に原油埋蔵が発見されてから3ヶ月。ジェイコブ・ロスチャイルド、ルパート・マードックなどの株主やディック・チェイニーを顧問とする米ジニー・エナジー社が1月から発掘を始めたことでシリア紛争が解決に向かうどころか、ゴラン高原を巡り、イスラエルとの紛争が起きる可能性を招くこととなった。
6大エネルギー供給企業のなかの一社、E.Onはこの2月からガス料金を5.1%値下げする。しかし天然ガス価格はこの12カ月で32%価格が減少、2年間で45%値下がりしていることからすると小売価格への反映が鈍い。E.On社は発電コストが12カ月で13%、2年間で22%下がっているのにもかかわらず200万人の顧客に対して電気料金を値下げしない。
ロシアで新興国首脳、有力知識人や経済界のビジネスリーダーたちが集まって経済情勢を議論する、サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム(欧米のダボス会議のロシア版とも言われる会議)が6月16 〜20に開催された。今回注目されたのがサウジアラビアのサルマン副皇太子とプーチン大統領の会談である。
これまでもオクラホマ州に多発する地震がシェールガス・オイル掘削によってもたらされた地下水で地滑りが起こるとした見方が多かったが、ついに地質調査所が中央と東部アメリカの地震マップを公表した。
原油価格下落の原因のひとつの供給過多は米国が国策として強引に進めて来たシェールオイル/ガスの増産にある。米国のシェールオイル掘削はアパラチア東部、ロッキー東部、そしてテキサス南部とカリフォルニアが主な掘削地域で、その中でもテキサス州のイーグルフォード・シェールオイル・ガス田は、良質な軽質原油を産出しており、北米において最も有望な鉱区の一つであると言われていた。
米国は2008年9月のリーマンショックにより、世界規模の金融危機を招いた。米国発の経済危機は世界各国の経済成長に大打撃を与えて来た。圧倒的な金融緩和で(統計的には)持ち直したかのようにみえるが、実態はどうなのか。金融危機を救えても、実体経済はついてこない。
この月のレギュラーガソリン看板価格が164円/Lを突破し、ハイオク価格を思わせることになった。8月からの価格トレンドは一変して下がり続けているが、9月以降の下げ率が尋常ではなくなり、原油下落の記事が目につくようになった。11月には150円/Lを下回り半年で15円/Lという下落が止まらない。
12月のOPEC 総会を前に、21日にウィーンでロシア、ブラジル、カザフスタン、コロンビア、メキシコの非加盟国5カ国を含むOPEC技術専門家会議が開かれた。会議の目的は、原油価格の下落と原油市場への対応を協議することで、12月のOPEC総会の動向を唸らすものである。サウジアラビアの財政赤字が膨らむなか、財政破綻を避けるために減産や原油価格の下限設定という方針転換に踏み切ることが避けられない状況に追い込まれている。
サウジアラビアのサルマン皇太子は25日、再生可能エネルギーのみに依存する未来都市を建設するとともに温厚なイスラム国家を目指すことを宣言した。新しい未来都市ネオムに5,000万ドルの国費を投じて、イノベーションハブとして世界から投資家を呼び込む構想である。
2015年2月に原油価格は平均で$54.9/バレルと8カ月ぶりに上昇傾向となり、下げ止まりともとれる状況となった。3月に入ってもわずかな上昇傾向が続き現在、WTI先物は$53.98/バレルで推移している。
需要の減速と供給過多が相乗的に働いて原油価格下落となっている。もちろん前者はアジア(中国)の経済成長の減速とアメリカのシェールオイルの極端な増産の寄与が大きい。
サウジアラビアのアブドラ国王(91)が年末に首都リアドの病院に入院した。高齢であるため健康状態はここ数年注目されていたので、驚くべきニュースではないにも関わらず、サウジアラビアのタダウル株式市場は31日に6.5%と大きく下落した。
原油価格下落についてメデイアはその原因と背景について、ほぼ一致した見解をとっている。それはしかし表面的すぎるかも知れない。まず原油価格の下落は基本的に需要の減少と供給過多の相乗効果としている。
ここに来て、原油価格は1バレル当たり50ドルを超え、回復の兆しを見せているようにみえる。17 日時点には、WTI は1バレル当たり53.53ドル、 Brentは62.53ドルである。だが、市場における供給過剰状況は解消されていない上、原油在庫の増加は今後、原油価格に下方圧力を与えることになる。
シェール革命とともに2009年のオバマが目指したガス・オイル掘削はまたたくまにアメリカをエネルギー資源輸出国とするほどの勢いで全米に広がった。これが8カ月継続しいまなお続く原油価格下落の一因となっている。
シェールオイル増産によって原油価格下落がもたらされた。しかしシェールオイル掘削事業の採算性の悪さとリスクの高さは、相次ぐ日本企業の投資失敗や稼働リグ総数の減少をみれば明らかだ。
オバマ政権のグリーンエネルギー政策は化石燃料はシェールオイル増産で温室ガス抑制とは無縁のものだし、3マイル島以来新しい原発が建設されていなかった原発も脱原発ではなく大規模な発電所まで建設の機会を狙うものであった。
原油価格の下落の原因のひとつは米国のシェールオイル/ガスの極端な増産にある。2000年前半に天然ガス価格が上昇するとこれに呼応するように、水圧破砕や水平坑井といった技術により、シェールガス生産はより高い収益をあげるようになった。
平和に暮らす米国の田舎町に降ってわいたシェールガス掘削騒動を描いた映画"Promised Land"が公開される。
ドラッカーの数々の名言は後から考えてなるほど、と思うが先に読んで賢い決断をする人は少ない。「日本企業の弱点は経営者にある」という言葉の重みに思い知らされる事象がある。
311以降の原発停止による電力危機を救ったのは火力である。その代償として燃料購入費は年間3.6兆円にもおよび、貿易赤字に貢献することとなった。