2015年もさらなる原油価格の下落が続く

Feb. 18, 2015


 

 ここに来て、原油価格は1バレル当たり50ドルを超え、回復の兆しを見せているようにみえる。17 日時点には、WTI は1バレル当たり53.53ドル、   Brentは62.53ドルである。だが、市場における供給過剰状況は解消されていない上、原油在庫の増加は今後、原油価格に下方圧力を与えることになる。


 

解消されない原油の供給過剰

 原油価格が下落している中、米国の原油生産量は増加傾向にある。2014年11月までの1年間、主にシェールオイルによる原油生産量は前年度比で15%も増加したのである。原油坑井掘削リグ稼働数は、昨年10月の1,609基から1,056基と35%減少しているにも関わらず、原油生産量は減少していない。非効率のリグは稼働停止しているが、原油生産量は今後も増加すると予測されている。



 米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)の最新の発表では、2015年度の原油生産量は2014年度より8.13%高い、平均して1日当たり930万バレル (bbl/d)となると予測を出している。1月の生産量は、1日当たり920万バレルであったことから、予測範囲内で増産されていることになる。



 サウジアラビアをはじめ、OPEC諸国, ロシアも減産に踏み切らない姿勢を続けている。その中、需要はさらに低下すると予測されている。OPEC原油の2015年度需要は過去12年間でもっとも低い水準になると予測されている。


 国際エネルギー機関 (IEA)もまた、2015年度の世界原油需給予測を大幅に下降修正した。需要の低下は主に、中国経済の成長減速、ヨーロッパ諸国経済の低迷、そうしてロシアなどの原油生産国における原油需給の減少である。原油供給は需給より大幅に、1日当たり400,000バレルも上回る状況になると予測している。



原油貯蔵能力の上限近くまで在庫が増える

  世界最大の原油在庫が保管されている、米国オクラホマ州クッシングの原油在庫では、原油貯蔵能力の上限まで在庫が増えている。現在の増加ペースが続くとなれば、3~4ヶ月で貯蔵能力が限界に達すると推定される。

 

 このクッシング原油在庫は原油貯蔵ハブとも呼ばれ、原油の受け渡し、出荷地点であり、世界の石油会社が原油を保管している場所である。クッシングにおける原油需給情勢により、原油価格の決定において基準となる指標原油の中の一つである、北米の指標原油WTI (ウエスト・テキサス・インターミディエット)が決まるのである。

 

 IEAによれば、2015年末までに、世界中で原油在庫は陸上と洋上を合わせて3億バレルになると予測している。原油貯蔵能力の上限を超えると、増産された原油は市場に出ることになり、供給過剰状況はさらに悪化、原油価格がさらに下落することが推定される。

 

 ゴールドマンサックスグループのゲーリーコーン氏や投資調査会社Aゲーリーシリングのシリング氏は、原油価格は1バレル20ドルを下回る予測をしているが、果たしてどこまで下落するの誰にもかわからない。また世界経済にもたらす負のインパクトは計り知れない。