ダイアモンドに閉じ込められていた氷-VIIの発見

12.03.2018

Photo: sciencealert

 

我々の日常生活で身近な存在である氷の結晶は立方晶系だが、氷の相図は複雑で実に11種類の結晶構造がある。高圧実験で全てが観察されているわけではなく、相転移現象の多くは分子動力学シミュレーションの世界でしか確認できていない。

 

地殻の深層部から見つかったダイアモンド結晶中に閉じ込められた氷-IVという地球の環境には存在しないはずの氷の結晶が発見された。天然に存在する氷-IVの発見は初めてで、地球の深部に水が存在する証拠となる(Tschauner et al., Science 359, 1136, 2018)。

 

氷-VIIは通常の氷の結晶(氷-I)より1.5倍密度が高い。ダイアモンドは共有結合性が強いため結合距離が伸縮しにくい。そのため高圧下で重点率の高い相に相転移して安定化する。氷-Iから出発して圧力をかけていくと氷-II、氷-III、V、VI、VIIというように高密度の結晶形をとる。

 

氷-VIIの特徴は密度が高いが、比較的安定で圧力を取り去っても(準安定相として)クエンチできることである。下図は氷-VII相の存在する圧力領域(A)と観測データと計算(斜線領域)による相図(B)。マントルの熱構造を+-300K変化させた場合には高温でも、ダイアモンドに氷VIIが(結晶構造を変えずに)閉じこめることが可能になる。

 

 

Credit: Science

 

氷-VIIは高圧下(24GPa)で存在するため、木星の衛星のイウロパなどの天体に多く含まれると考えられていたが、ダイアモンドアンビルを用いた高圧実験以外は地球には天然の氷-VIIは存在しないとされていた。

 

ネバダ州立大学の研究チームは地殻深部で形成されたダイアモンドに閉じ込められている氷-VIIを発見した。ダイアモンド格子は硬く変形しないためこの氷-VIIは閉じ込められた時の圧力を保ちつつ、地球表面に露出したと考えられる。このことから地表から660kmの地球深部は水が大量に含まれていたことが明らかになった。