水不足アトラスが警告する水資源危機

04.11.2018

Credit: Water Scarcity Atlas

 

スエーデンのアアルト大学の研究チームは国際応用システム分析研究所(IIASA)と共同で、水不足アトラス(Water Scarcity Atlas)(注1)は、全世界の水資源の調査研究に基づいて最新の水不足分布を可視化したインタラクテイブマップを作成し、家庭および産業用水の未来危機を警告している。

 

(注1)水不足アトラスは水使用量削減の可能性と水利用可能性に関する世界的なデータを分析し、ISIMIP(国際部門間影響モデル比較プロジェクト)の一環として世界各地の研究グループによってモデル化され可視化したもの。世界規模で水不足に取り組む研究者のためのプラットフォームとなるパブリケーションデータベースとデータセットデータベースを公開している。データベース拡充のために関連研究者がこのアトラスに自分の仕事を寄付するように奨励している。オープンリソースとして地球規模の水不足に関心を持つ人なら誰でも最新の研究を最新の状態に保つことができる。

 

ヨーロッパの平均的な人は1日当たり3000~5000リットルの水を使用している。世界の限られた水資源は、人口が増加し、気候変動が南北世界全体に干ばつを引き起こすため、重要な課題となった。すでに水の消費量を減らすためのさまざまな方法が研究開発されているが、水資源不足の脅威を解消するところまでには至っていない。

 

アアルト大学の研究チームは、研究者だけでなく一般の人々に研究成果を伝えるために、限られた水不足で発生する問題とそれらを解決する方法をインタラクティブなグローバルマップで示すことを試みた。

 

水不足アトラスは過去100年間に水不足がどのように進化したかを視覚化し、今世紀の残りのシナリオを提示する。また食生活や食物の損失の変化など、さまざまな要因が世界中の水資源にどのように影響するかを調べることができる。

 

水の使用が増えると、持続可能な資源へのアクセスがより困難になる一方で、肉を食べたり、食べ物の浪費を避けたりすれば、水の使用を減らすことができる。環境と人間のニーズのバランス、とりわけ十分な水がない場合には、協力して、農家や水道ユーザーが新しい技術を採用し、効果的な管理体制を確立するることが重要になる。

 

トップに示した2001-2010年期間の水不足地域は下の1991-2000年期間に比べて、増加している。水不足は砂漠地帯に限られた地域的な問題から、グローバルな問題となりつつある。将来予測を立てて地域に適した対策を立てなければならない。

 

 

Credit: Water Scarcity Atlas