カーボンナノチューブで太陽エネルギーを貯蔵

29.02.2016

Image: MIT News 

 

再生可能エネルギーの筆頭格である太陽エネるぎー利用の発電能力は(日中に限られるために)ベース電源として適さないとされる。しかし大容量の蓄電池あるいは新しいエネルギー貯蔵が可能になれば話は別である。

 

このほどMITの研究グループが太陽エネルギーの革新的な貯蔵にtsながる技術を開発した。太陽エネルギーを化学エネルギーとして物質の自由エネルギーとして貯蔵するもので、太陽電池のように電気に変換して蓄電池に貯蔵したり熱エネルギーとして蓄熱するものではない。その利点はロスがなく高エネルギー密度で長期間の貯蔵が可能である点である。

 

 

Source: MIT News 

 

フルバレン・ジルテニウムという物質が最も有力とされるが研究チームは研究が進めばさらに効率の良い(多くのエネルギーを貯蔵できる)物質が見つかる可能性があるとしている。

 

研究チームが新たに開発した物質はカーボンナノチユーブをベースとしてアゾベンゼンと組み合わせるもので、単独にはないエネルギー貯蔵の能力が生まれることを見出した。

 

この物質は低コストでありながらこれまでの物質よりエネルギー密度が10,000倍も大きく、リチウムイオン電池に匹敵する。太陽光を照射すると光エネルギーが物質が高い自由エネルギーを持つ準安定相となり結合エネルギーに貯蔵される。基底状態に戻りエネルギーを放出するには熱励起のほか触媒でも良い。より低いエネルギー状態に系が移る時に自由エネルギーの差に相当する熱エネルギーが放出されるので、熱源として利用することができる。元の状態に戻さなければ安定にエネルギーが貯蔵できる。

 

何と言ってもこの方法の利点はエネルギーを変換するプロセスがないためエネルギー損失がないことである。しかし電気エネルギーへ変換するには熱源でタービンを回す従来型の発電システムか熱電素子発電のように損失を伴うことになる。フルバレン・ジルテニウムの研究では準安定層のエネルギー障壁の最適化が問題となった。すなわち障壁が高ければ相転移が難しく長期間貯蔵できるが放出の際に余分の熱励起が必要になり、逆に低すぎると安定な長期貯蔵に支障をきたす。

 

 

 

しかし研究チームは候補となる新物質の開発指針が得ており、カーボンナノチューブとアゾベンゼンの組み合わせに期待が高まっている。近い将来、太陽電池パネルや蓄熱装置の代わりに新型太陽エネルギー貯蔵システムがなるかもしれない。