燃料電池で走る自転車(FCB)

30.10.2015

Photo: itmedia.co.jp


都市部では車を排除する動きとともにレンタサイクルの導入が活発化している。オスロは全面禁止をマドリードは一部地域への乗りいれ禁止を計画している。NYCやパリではレンタサイクルが通勤の足になりつつある。温暖化が予想より急速に進んでいることや温室効果ガス削減に抜本的な対策が必要なことが加速の要因である。VW車の排ガス規制不正の騒動でデイーゼル車への不信が高まり欧州でもようやくPHVへの関心が高まっている。


自転車の難点は坂の多い地域。足腰を鍛える若者には好都合だが高齢者にはきびしい。しかし電動自転車の登場で救われた人もオオいのではないだろうか。その電動自転車もしくは電動アシスト自転車の中に燃料電池自転車が仲間入りした。製作したのは工業ガスメーカーのLindeという企業。工業ガス関連を幅広く手がけるグループ企業だが、燃料電池を見据えて社内に水素エネルギー部門を新たに立ち上げた。


日本で電動自転車といえばかなり大げさな構造で気軽に駐車してその場を離れる気にならない高価なものだが、欧州にはこの燃料自転車の前からアシストをするモーターユニットを販売していた。車輪に取り付ければモーターの駆動力がタイアに伝わり簡単に電動自転車が出来上がる。自転車以外にも中国のSegway類似品やボードにモーターを取り付けたモーターボードなど規制の少ない外国では公道を走れる車以外の乗り物が多い。


Lindeの燃料電池自転車(Fuel Cell Bike, FCBとでも呼ぶべきか)は水素ボンベと燃料電池が独立したデザインでモーターはペダルの部分に仕込まれているすっきりしたもの。MBであるが都会で乗っても調和するだろう。ネックは水素ステーションであるが、車(MIRAI)の水素ボンベの充填圧力が700気圧となっているが、150気圧で走る設定にすれば市販のボンベから充填で済ませられるので便利になる。


都会をLindeバイクが走るようになれば車を締め出したとしても、また公共交通機関のカバーしきれない路地でも、実用的な乗り物になるかもしれない。水素ステーションの代わりにGPSを埋め込んでサービス会社が位置とガス残量をモニターして、ガス欠になったら水素タンクを積んだサービス車を送りその場で充填することも可能になるだろう。


都会なら充填サービスは問題ないし、通常の車を締め出しても燃料電池車などゼロエミッションカーは乗り入れを許可されるだろう。水素社会が近いことを感じさせる製品だ。