T  I  M  E  L  I  N  E

Geopolitics/Economy

政治色を強める「黄色いベスト」運動

フランスのマクロン大統領は「黄色いベスト」による政権批判デモの沈静化策として、燃料税増税の中止に続き、10日に最低賃金の引き上げ、残業代やボーナスへの非課税化、毎月の年金額が2千ユーロ(約26万円)未満の年金受給者への社会保証増税の撤回などを発表した。しかし、最新のOdoxa世論調査では59%がマクロン大統領の「譲歩策」を評価しないと答え、54%は抗議デモの継続を支持している。

Dec. 13, 2018

世界中で増大傾向にある国外移住希望者

 欧州や米国など世界の先進国で移民の問題が深刻化しているなか、ギャラップ社が世界規模で行った世論調査、ギャラップワールドポールによると、世界中で約7億5000万人以上(世界人口の15%)が可能であれば自国を永久に離れ、他の国への移住を希望している。

Dec. 11, 2018

メイ政権のEU離脱案の否決で現実味を帯びるノルウエイモデル

英国のメイ政権が欧州連合(EU)と交渉の末に合意した離脱案の英下院での採決は11日に迫っている。現状では英国に不利なEU離脱条件に議会は難色を示し可決が危ぶまれている。EUとの離脱に関して合意に達することができなければ、英国はEUとのいわゆる”ノルウェーモデル”を検討する可能性がある。

Dec. 10, 2018

5Gの覇者を目指すクアルコム

5G認可を巡ってFCCが安全性の根拠開示を求められている中で、2019年度前半から5G商用通信を予定している通信大手企業ベライゾンはAT&Tとスナップドラゴン・テクノロジー・サミットにおいて、クアルコムのX50モデムを搭載したサムスンのプロトタイプ端末を使って5Gネットワークの運用を実演した。しかし5Gの覇者を狙うクアルコムの思惑はスマートフォン市場のほかにある。

Dec. 09, 2018

米上院議員が5Gの安全性についてFCCに検証要求

新しいテクノロジー導入は安全性が受益者の利便性とサービス事業利益の代償となる危険性をはらんでいる。コネチカット上院議員、リチャード・ブルーメンサル氏は米国内の5G認可を巡って、連邦通信委員会(FCC)に5Gの(人体に対する)安全性の根拠となる証拠の提出を求め、国立科学技術政策研究所(NISLAPP)もこの提案を支持している。

Dec. 06, 2018

世界一高税先進国となったフランス

経済協力開発機構 (OECD) が発表した2018年度先進国34カ国各国のGDP率としての税歳入ランキングで、初めてフランスは「世界1の福祉国家」と言われてきたデンマークを抜き、「世界1の税金国家」となった。

Dec. 06.2018

自転車とスクーターのシェアサービスに暗い影

自動車を個人が所有する時代が終焉を迎えようとしているかのようなシェアサービスの台頭であるが、都市では車よりも小回りがきく自転車やスクーターのシェアサービスの人気が高い。前者は中国で急激な成長を見せたが、成長が急激すぎて回収が追いつかず放置された自転車が社会問題になっている。一方スペインのマドリードでは電気スクーターのシェサービス企業が当局に業務ライセンスを拒否されるなど、便利なはずのシェアサービスが世界各国で様々な問題を引き起こしている。

Dec. 05, 2018 

フランス全土に広がる反政府抗議の潮流

今回のデモの背景は単なる燃料増税だけではない。きっかけとなった今回の増税前に段階的な増税で国民の負担が限度を越えるところまできたために、富裕層に配慮するマクロン大統領への不信感がつのり、政府の転覆を目指した革命前夜のような状況をつくりあげた。

Dec. 04, 2018

ブレクジット議会投票を控えて風前の灯火のメイ政権

メイ首相が欧州議会(通称ブリュッセル)から譲歩を求めるべきだとして、来週の議会投票が危ぶまれている。英国に不利なEU離脱条件を改善するように、保守党が再交渉を要求すれば、来週の月曜日に行われる予定の議会投票は、延期される可能性があるからだ。そうなれば、政府は12月11日の日付の2日前の金曜日に投票を断念せざるを得ない。

Dec. 03, 2018

国内EVの位置情報を監視する中国政府

中国の大都市ではテスラEVをみかけることが多くなった。一流ホテルにはテスラの充電ステーションも設置されている。それでもテスラEV所有者は、テスラが常に中国の正確な位置情報を中国政府に送信している事実を知らない。監視されているのはテスラEVだけではない。中国政府は、中国のすべてのEVメーカーに位置情報を送信するよう義務付けた。これで習近平政権が自国民を監視・追跡する設備整備に新たにEV位置情報が加わった。

Nov. 30, 2018

フランス国民に支持される反政府デモ

17~18日のフランス市民による大規模な抗議デモに続き、24~25日の週末もフランス全土で抗議デモが行われた。規模は前週の約半分の106,000人ではあったが、デモの中心はパリ市内となり、シャンゼリゼ通りには約8,000人が集結、警察と激しく衝突した。道路のバリケードは放火、高級ブランド店のショーウィンドウは破壊され、信号機も破壊されて、シャンゼリゼ通りは騒然となった。デモ隊の行動はエスカレートして暴徒化した現状には沈静化の兆しがみえない。

Nov. 27, 2018

漁業水域をめぐるフランスと英国の争い

ブリュッセルで開かれたEU-英国の貿易交渉で、フランスのマクロン大統領は、英国がEU離脱後にEUとの交渉がまとまらない場合、英国の漁業水域がアイルランドの国境内(EEZ)に留まる可能性を示唆した。背景には英国とフランスのノルマンデイ海域の「帆立貝戦争」などの漁業権争いとアイルランド問題がある。

Nov. 26, 2018

フランスで激化する反政府デモ

地球温暖化対策の一環として、フランス政府は2017年から内燃機関(ICE)への燃料増税と炭素税を段階的に実施してきた。ICEへの課税をEVなど低CO2排出車への切り替えの促進策としているフランス政府に対し、ガソリンと軽油価格の高騰やこれまでの政府エネルギー政策への不満で、17~18日フランス全土2000カ所で市民による大規模な抗議デモが行われた。

Nov. 21, 2018

自閉症と大気汚染(NO)の関係

自閉症と農薬の成分である化学薬品の因果関係が疑われているなかで、母親が妊娠中に汚染された都市に住んでいた子供は、自閉症を発症する可能性がより高いかもしれないという新たな研究結果が発表された。5歳未満の132,000人以上のカナダの子供を対象とした調査によれば、より高いレベルの大気汚染にさらされた人々は、自閉症の傾向が高くなる。

Nov. 20, 2018 

カリフォルニア山火事による放射能汚染リスク

ロサンゼルスの山火事の犠牲者は増えるばかりで、行方不明者を含めれば相当な人的被害がでるとみられる。また富裕層住宅の多いパラダイス地区は焼け野原と化した。しかしウースリー山火事が別次元の汚染を広げるリスクについては報道されていない。近くで火災が発生したサンタスザーナ野外実験所では過去に液体推進ロケット燃焼試験や原子炉が設置されていたことから、化学物質と核物質で土地の汚染が激しいからである。

Nov. 16, 2018

2040年から内燃機関自動車(ICE)販売を禁止したスペイン

2018年11月13日、スペインはディーゼル車とガソリン車の販売を、2040年から禁止することを決めた。社会党党首ペドロ・サンチェス首相は、スペインが2050年までに経済を完全に脱炭素化するエネルギー移行法案の草案に、2040年から内燃機関自動車(ICE)の販売禁止を含めた。

Nov. 14, 2018

欧州軍構想を巡って深まる米仏の溝

パリで開催された世界大戦休戦記念祝賀会の前日、フランスのマクロン大統領とトランプ米大統領の主張の違いが表面化し、米仏の協調関係に影を落とす結果となった。マクロン大統領は、核兵器不拡散条約(INF)から撤退するというトランプ大統領の方針を引用して、EUは中国、ロシア、さらには米国から欧州を守るために欧州軍の整備の必要性を説いたことが火に油を注いだ。

Nov. 12, 2018

ソロスが中米移民キャラバンを支援する理由

イツだけでなく欧州自体の弱体化につながった欧州への大量移民の流入に際して、人道主義を名目に移民を先進国に移動させようとする特定の支援団体の物質的、金銭的援助が大きく関わっている。今回の中米移民キャラバンにもジョージ・ソロスのオープンソサエティ財団や一部企業が支援している。

Nov. 08, 2018

中間選挙でトランプ津波は起きるか〜Part 1

米中間選挙を巡って民主党が期待する「ブルー・ウエーブ(民主党勢力拡大の波)に対し、トランプ政権支持者の共和党は「レッド・ウエーブ(共和党勢力拡大の波)」を期待している。連邦議会の上院では共和党が多数派を維持することが確実となったが下院でも「トランプ津波」で多数派となる可能性が高い。鍵となるのが、民主党による選挙不正と妨害の規模、黒人やヒスパニック有権者の動向である。

Nov. 06, 2018

中米移民キャラバンの国境越えを実力阻止する理由

現在メキシコに入った移民グループは、米国への入国や入国を意図しており、中でもメキシコとテキサス州の国境を突破しようとしている。数千人の移民(キャラバン)の国境越えを阻止するため、米陸軍工兵部隊は有刺鉄線のフェンスと、テキサス州の米国とメキシコの国境に沿って敷設した。

Nov. 05, 2018

翳りのみえてきたスマートフォン市場

かつてはシーズンモデルが飛ぶように売れたPC市場だが、いまスマホ市場が凋落の影が忍び寄っている。世界のスマートフォン売上高は、9月までの期間、かつてない4四半期連続で減少し、メーカー各社が売上を伸ばすには、魅力的な新技術の投入が必要になってきている。

Nov. 03, 2018

ダークウエブはホワイトナイトになれるか

一般のウェブサイト同様、コンテンツ、ソフトウェア、HTML、JavaScriptなどの標準的なウェブ技術で構築されるダークウェブは違法薬物薬を販売したり、盗んだ情報を交換したり、Googleがクロールできないインターネットの闇サイト数は脅威的な速度で増殖している。ダークウエブは犯罪に使われるイメージが先行したため、現代社会の脅威となりつつあるとされる。しかしダークウエブは諸刃の刃であり、ホワイトナイトの素質を有していることはあまり知られていない。

Oct. 31, 2018

孔子学院に潜む中国のソフトパワー

中国政府は、孔子学院という文化交流団体を世界各国に大規模に設立しようとしている。このアカデミックな響きをもつ「研究所」は、海外の大学で中国語と文化の交流という名目で、実際には中国共産党宣伝部が教育環境に介入していることが懸念され、孔子学院への批判も徐々に高まっている。

Oct. 28, 2018

旧ソ連邦諸国の経済成長減速が明らかに

ロシア国立研究大学高等経済学院CBTSは2004年から2016年の間にCIS諸国の製造業の経済指標を比較して、CIS諸国の産業発展を一緒に分析するだけでなく、プロジェクトでの各国の役割を評価した結果、CISすべての国における長期的な着実な成長に向けた世界的なマクロ経済の減速を示し、この地域のほとんどの経済発展が後退しているという結果が得られた。

Oct. 27, 2018

中南米移民キャラバンに潜むテロリスト

中南米出身者の移民キャラバンが、米国との国境を目指している中で、グアテマラのジミー・モラレス大統領はその中に、ISISの武装勢力を含む、100人のテロリストがグアテマラで逮捕されたことを発表した。モラレス大統領はまた、暴力組織MS-13のメンバーを含む1,000人以上も逮捕されたことを明らかにした。

Oct. 24, 2018

カショギ氏殺害事件で揺らぐサウジアラビア王位継承

サウジアラビア政府は20日、ジャーナリストのジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ総領事館内で殺害されたことを認めた。殺害疑惑を否定してきたサウジアラビア政府だが、殺害から20日後に一変して殺害を認めたうえで、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の事件関与を否定したが、現サウジアラビア体制交代の圧力は避けられない状況に追い込まれている。

Oct. 23, 2018

英国がエコカー助成を縮小する理由

このほど英国政府はエコカー新車を購入するための財政的インセンティブを大幅に削減することを決めた。補助金のひとつであるプラグインカー・グラントは11月9日から金額が改定され、現行のEV補助金(カテゴリー1)は4,500ポンドから3,500ポンドへ減額、2,500ポンドのPHV補助(カテゴリー2, 3)は完全になくなる。一見すれば補助金カットは英国が声高に推進する自動車のゼロエミッション化に逆行するようにみえる補助金縮小の理由は何なのか。

Oct. 21, 2018

欧州市民の過半数以上はEUを必要としていない

EUのシンクタンクの「Friends of Europe」の最新世論調査によると、3人に2人はEUがなくなっても、生活は必ずしも悪くならない、また49%はEUが重要な存在ではないと考えている。ブリュッセルに本部を置くFriends of Europeの調査は9月に、全てのEU加盟国に渡り10,960人を対象に行われた。各加盟国の人口に比例して、その国の一般市民が調査の対象となった。

Oct. 17, 2018

落日のFacebookが鮮明に

Facebookの個人情報大量流出事件では過去最大となる2,900万人のアカウントがハッキングされたが、最大5,000万人の個人情報流出リスクがあるという。数あるSNSの中で登録者数では圧倒的であるFacebookだが、SNSでは主役であるはずの若者の人気が低迷している。最近行われたネット人気投票ではトップ50から圏外に脱落し、ネットの世界では落日を迎えていることが明らかになった。

Oct. 15, 2018

南米に飛び火したポピュリズム

アメリカ、欧州に続き南米でも反体制、ポピュリズムの波が忍び寄せている。7日に実施されたブラジル大統領選挙では、極右の社会自由党のジャイル・ボルソナーロ下院議員は得票率46.43%で首位に、政治体制を維持してきた最大左派の労働党のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長は29%に留まった。当選に必要な過半数を獲得できなかったことから、両候補者は10月28日に決選投票を迎える。

Oct. 09, 2018

EVシフトにビジョンが描けない理由

EVの世界的な販売台数は前年比で50%増加したが、新規登録件数はわずか1%であった。統計的には微々たる市場を巡ってEVの楽観的なビジョンが目立つ。政府やメーカー幹部が主張するEVシフトは原理的にも統計的にも現実性に欠けることが明らかになりつつある。これまでの統計に反映されたEV販売の動向は、補助金効果のもとでの幻影であった。

Oct. 08, 2018

情報流出ICチップによる中国の技術盗用

トランプ大統領が中米貿易戦争の発端となった中国による米国技術盗用には企業や研究所に送り込まれたスパイによるものだけでは説明がつかないほど、大量、大規模なものであった。すでに中国の製造する電子端末には情報流出のハードウエアであるいわゆるバックドアが仕込まれていたが、ICチップとしてPCに組み込まれて組織的・意図的な大量情報流出が行われていたことが明らかにされつつある。

Oct. 05, 2018

イタリアが新年度予算を巡って欧州委員会と対立

EUの行政執行機関である欧州委員会は、2009年の債務危機以降、各加盟国の翌年予算案の審査を行ってきた。今年も予算案提出期限である10月15日を前に、イタリア、フランス、スペインの予算案を巡り、欧州委との対立は避けられない状況にある。

Oct. 03, 2018

Facebookの個人情報大量流出の次に来るもの

SNSが本質的に持つ構造上の脆弱性はその社会的インパクトと表裏一体であった。ハッカーがFacebookの5,000万件の個人アカウントにアクセスできるデジタルトークンの流出は、SNSに対する根本的な疑問を投げかけた。

Oct. 01, 2018

米国の脅威となる不法移民の実態

不法移民の問題は何年もの間、論争の焦点となっている。米国民の雇用と安全を脅かす存在になったにも関わらず、保守とリベラルの思想対立の一つである。アメリカ国土安全保障省の2017年調査では、不法移民数は約1,110万人で、アメリカ人口の3.5%を占めると推定される。この数値は国勢調査局の社会調査のデータに基づいて推定したものであるが、不法移民の推定数字は実態を反映しているのかは、これまで明らかではなかった。

Sep. 25, 2018

欧州のディーゼル車公害問題が深刻化

ドイツの自動車メーカーフォルクスワーゲングループの一角であるポルシェ社がディーゼル車の製造・販売を停止したことがメデイアを賑わしている。発端はVWのディーゼルゲートだが、すでにほかの大手メーカーにも飛び火し幹部の責任が追及されている。しかし現実にはもっと深刻な健康被害が欧州全土に広まっている企業の公害問題として捉えるべきであり、ポルシェ社の決定は「免罪符」的な意味合いを持つ。

Sep. 24, 2018

出口のみえない米中貿易戦争の行方

トランプ政権は9月24日から、対中制裁として中国からの2千億ドル相当の輸入品を対象とする10%の追加関税を発動する。米中協議に進展がなければ、2019年1月1日から関税は25%に引き上げられる。さらに、中国が報復措置を採った場合、約2670億ドル相当の中国輸入製品に追加関税をただちに発動するとしている。

Sep. 18, 2018

9/11から17年で何が変わったのか

今年は9/11同時多発テロ事件から、17年の節目を迎えたが、この17年で何が変わったのだろうか。テロ組織のアルカイーダ撲滅を目指して始めたはずの「テロとの戦い」は終わりが見えない戦いとなり、アルカイーダはむしろ以前より勢力を増している。また社会は混乱し数100万人規模の難民が欧州に殺到した。17年過ぎた米国では、9/11関連の癌を罹患している人は約1万人に達し、その人数は増加している。

Sep. 16, 2018

欧州議会がEU著作権保護法案を可決

欧州議会は、Googleなどの巨大IT企業に強制力のあるEU著作権保護法案を可決した。賛否両論の渦巻く法案は一旦は否決されたものの438 対226で合意され、個々のEU加盟国が実施することになる。

Sep. 14, 2018

スェーデンでもポピュリズムの波

9月9日にスェーデン総選挙が行われる。投票日を前に、全ての世論調査は、反移民、反既存政治、EU懐疑派の極右派政党スウェーデン民主党(Sweden Democrats)への支持率の上昇、大躍進することが予想されている。現在、支持率では第3位だが、中道右派の穏健党(Moderate Party)を抜き第2位の政治政党になるのは確実とみられ、1933年以降約65年間最大与党として政治体制を続けてきた社会民主労働党(Social Democrats)を抜き、スェーデン最大の政党になる勢いを見せている。

Sep. 09, 2018

増大するハッジ(巡礼)期間の感染症リスク

毎年、9月のハッジと呼ばれるイスラム教の巡礼期間中は、何百万人ものイスラム教徒がサウジアラビアのメッカへの巡礼を行う。イスラム教徒にとって、ハジは神聖な宗教的義務であり、信仰の重要な行為である。しかしサウジアラビアにとって、この期間の巡礼は感染症リスクが高まるため予防措置に追われ、警戒を強める試練でもある。

Sep. 06, 2018

過去最大規模となる人身取引の実態

難民の支援を行っている仏NGOFrance Terre d’AsileFTDA)によると、年間320億ドル(約35200億円)に及ぶ規模の人身売買、人身取引が世界中で行われている。違法取引の中でも、近年麻薬密売や偽札ビジネスに続き、人身売買、人身取引は利益の高い密売となっているため、増加しているとしている。密入国あっせんのビジネスは過去最大規模である。

Sep. 03, 2018

金融面でも米国からの独立色を強めるドイツ

ドイツのマース外務大臣は米国から独立した、欧州独自の金融決済システムを構築する必要性を21日、独ビジネス紙のHandenblattで指摘した。主要同盟国が脱ドル化を提唱するのは初めてである。EUにNATO以外の欧州防衛軍(EU軍)の設立を積極的に進めるドイツは、経済面でも米国の影響力を受けない枠組みを模索し始めた。

Aug. 28, 2018

米国ミレニアル世代に忍び寄る社会主義

議会を前に、ベネズエラのマドゥロ大統領は8月2日、これまで進めてきた社会主義政策の失敗を認めた。一方、米国では最大の世代であるミレニアム世代の過半数以上が社会主義や共産主義を支持、その支持はオバマ政権中から拡大傾向にある。

Aug. 23, 2018

ドイツ大手自動車メーカーのリコール連鎖

降って湧いたようにドイツ3大自動車メーカーの主力車種に数10万台規模のリコールが発表された。デイーゼルゲートのみならずEVにまで及んだリコールの中には環境基準に反した規則違反から設計ミスによる発火の危険性に至る安全性の問題があった。ドイツ車のブランド力を損なう一連のリコール措置が相次いだ背景には何があるのだろうか。

Aug. 22, 2018

カーシェアサービスの台頭~車を所有する文化の終焉

その国の近代化と経済成長に果たし、現在も経済牽引に欠かせない自動車産業に暗い影が迫りつつある。EVや自動運転など既存技術のシフトを余儀なくされ、デイーゼルゲートをきっかけにした自動車産業の不正への批判が強まっているが、それだけでもない。若者を中心に車購入のモチベーションとなる「車を所有する文化」に投資する意欲が薄れたことが将来性が危ぶまれている。このことを実感しているのは自動車メーカー自身だろう。

Aug. 20, 2018

スエーデン各地に同時多発する暴動

スェーデンの複数の都市で13日、若者の集団により計100台の車が放火され、警官に投石するなどの暴動が起きた。全身黒服でマスクをした若者たちが、ソーシャルメディアを通じて連絡を取り合い、一斉に複数の都市で犯行に及んだ。

Aug. 17, 2018

トルコ通貨危機の背景 Part 1

トルコ通貨のリラは12日大暴落し、史上最安値を更新した。経済政策の失敗、大幅な金融刺激策、インフレの上昇、貿易赤字の拡大などで2018年1月からトルコリラは33%と大きく下落していた。ここに来て、米国との関係の悪化で、トルコリラはさらに下落、トルコは金融危機を避けられない状況にある。

Aug. 13, 2018

批判が高まるモンサントの除草剤グリホート

EU執行機関である欧州委員会は、当初、除草剤の使用許可を10年間更新することを勧告していたが、欧州議会が2022年までにグリホサート使用停止に関する拘束力のない決議案を承認したことを受けて、健康被害への脅威が増大していることを考慮した新提案を公表した。

Aug. 09, 2018

アップルに続く市場価値が1兆ドル越えのIT企業

アップルは歴史的な市場価値1兆ドル相当の評価を得たが、株価に基づいて5大企業の評価額リストをまとめた。アマゾンは890億ドル、グーグルの親企業アルファベットは8,560億ドル、マイクロソフトは8,280億ドル、Facebookは5,130億ドルと評価されている。

Aug. 07, 2018

中国系技術者による米国GE社の先端技術盗用

米連邦控訴裁判所によると、木曜日、連邦裁判官は、ゼネラル・エレクトリック(GE)社の先端技術盗用の罪で起訴され10万ドルの保釈金で保釈され米中部の中国系技術者鄭氏(56歳)を、GPS監視下に置き、同時に国外逃亡を防ぐためパスポートの没収を命じた。

Aug. 03, 2018

自動車関税を巡り対立するドイツとEU

米政府は安全保証上の脅威を理由に5月にEUからの鉄鋼・アルミニウム製品にそれぞれ25%と10%の課税を発動した。これに対抗して、EU側は食品、衣類、洗濯機、モーターバイク、電池などを含む米国からの代表的な輸入品に28億ユーロ(約3,680億円)相当の報復関税を発動し、その結果貿易問題の対立が激化している。

July 26, 2018

放置される数千台のテスラモデル3の謎

テスラ社マスクCEOはTwitterで、念願だった週あたり5,000台の量産型モデル3生産目標を達成したこと、および高額なモデルS、Xも合わせて2,000台のラインに乗ったことで、週あたり7,000台の生産規模を超えたことを認めた。数千台のモデ3が納車されずに放置されている事実が明らかになり、マスクCEOが出荷台数でなく工場ゲートを越えた台数と表現したこともあり、謎の大量放置が話題となっている。

July 25, 2018

米国・イラン衝突の危機

トランプ氏は、5月に行われた国際原子力機関(IAEA)の2015年の国際協定から、米国が離脱した後に、イランの石油輸出を禁止している。これに対し、イランは、米国が要求しているように、他の国が石油の購入を止めれば、主要な石油輸送ルートを阻止するという強硬策に出る可能性ができた。

July 24, 2018

ソーシャル・メディアによる世論操作

オックスフォード・インターネット研究所(https://www.oii.ox.ac.uk/)の最新の報告書によれば、この問題は大規模に拡大していることが明らかになった。インターネット上のフェイクニュースを防ぐ目的で新しい法律を導入した多くの民主主義政府の努力にもかかわらず正式に組織されたソーシャルメディア操作が行われている国の数は、世界28カ国から48カ国に増えている。

July 23, 2018

世界に存在する現代奴隷の実態

オーストラリアの人権団体「ウォーク・フリー・ファンデーション」が毎年発表する「世界奴隷指数」によると、「現代の奴隷」状況を余儀無くされている人々が世界で約4,030万人に上る。「現代奴隷」には、性労働や児童労働のため人身売買された人、生れながらにして奴隷状態にある人、強制労働者、強制結婚などを含む、脅し、脅迫、暴力、権力による強制などで拘束され奴隷状況にある人々を指す。

July 20, 2018

英国が独自にステルス戦闘機を開発する理由

英国が計画している次世代戦闘機テンペストのモックアップモデルが7月16日から始まっているファーンボロエアショーで発表された。英国のウイリアムソン国防長官は、現在配備されている欧州共同開発の戦闘機タイフーンの後継機となるテンペストは有人でも無人機として運用できる世界初の試みになることを強調した。

July 19, 2018

アンドロイド独占でEUがGoogleに罰金

欧州連合(EU)は今週、米国の大手IT企業Googleに、数10億ユーロ規模のアンドロイド上の独占に対し罰金を課す決定を下した。AFPによれば、今週水曜日、GoogleがサムスンやHuaweiのような携帯電話メーカーと結託して、市場での支配的地位を得たことが独占禁止法違反に当たるとして罰金を決定した。

July 18, 2018

自国に不利なEU離脱交渉を進めるメイ政権

メイ英首相は12日に英国政府のブレグジット、離脱後のEUとの関係に関する基本方針を明らかにした。EU離脱担当相のデービス氏とボリス・ジョンソン外相が相次いでの抗議辞任で政治情勢が混乱を見せている中で、公表をした基本方針は内容が離脱を骨抜きにする内容であり、メイ首相の強引なプロセスが問題視されている。

July 13, 2018

メイ内閣崩壊の危機

EU離脱推進派の中心人物であるボリス・ジョンソン英外相は9日、テリーザ・メイ首相のブレグジット方針に反対して辞任した。2016年から英国政府のブレグジット交渉を担当してきたデイビッド・デイビスEU離脱担当相の辞任に続き2人目の閣僚の辞任となり、メイ内閣は崩壊の危機にある。

July 10, 2018

ブレクジット担当大臣の辞任でメイ政権に暗雲

ブレクジット担当大臣のデイビス氏辞任はメイ政権に衝撃を与えた。 メイ首相はチェッカーズ(首相別荘)サミットでEUとの今後の関係に関する協議を重ね、EU離脱のソフトランデイング戦略は内閣の支持を得たものの、ボリス・ジョンソン外務大臣が「話にならない」とした計画となり、その後保守党から将来の見通しが不透明として反対意見が強まっていた。

July 09, 2018

欧州議会がEU著作権保護法案を否決

欧州議会は75日、世紀の悪法として批判が多かったEUの著作権保護法案を拒否した。この法案はインターネットのミーム機能など重要機能に規制がかかるとして、米国の大手IT大手だけでなく、インターネットの自由を擁護するユーザーも強く抵抗していた。法案にはフランスのストラスブールで開催された欧州議会で、議員ら318人が反対、278人が賛成、31人が棄権したため大差で否決された。

July 06, 2018

欧州に押し寄せるアフリカからの難民

欧州に流入した中東からの難民は2015年をピークに減少しているなか、アフリカからの経済的難民が増加している。2013~2016年の間にアフリカ全土から約50万人の難民が主に経済的逃避を理由に欧州に流入した。2018年は前年度よりアフリカからの難民は増加、欧州を目指す第二の難民の波に多くの欧州諸国は警戒している。

July 02, 2018

カリフォルニア州が目指す個人情報保護法

カリフォルニア州知事は消費者が個人情報を管理できる全米で最も厳しい個人情報保護法に署名した。この法律は、企業が顧客から収集した個人情報、収集した理由、およびそれを受け取った第三者のカテゴリーを、要求に応じて顧客に公開する強制力を持つ。

June 29, 2018

米国のオンライン小売業者に課税義務

米国の最高裁判所は5-4の僅差で、小規模オンライン小売業者に対して、消費税の義務を明確にした。この判断でオンライン業者への課税を義務付けたサウスダコタ州の訴えが認められた。この決定で将来のオンラインショッピング商品の価格上昇は避けられないとみられる。

June 25, 2018

メルケル政権の終焉 Part 6

EU首脳会議(28~29日)を前に、メルケル独首相の呼びかけで、24日に移民問題に関する欧州連合緊急会議が行われた。メルケル政権の連立パートナーであるキリスト教社会同盟(CSU)のゼーホーファー内相と移民・難民保護政策を巡る対立でメルケル政権安定が揺らいでいる。

June 26, 2018

Science/Technology

「いつおこるかわからない」地磁気逆転

地球の長い地質学的歴史のなかで、磁極は安定しているとはいえない。地球の磁場は突然に(予兆なく)弱くなったり、磁極が完全に逆転することさえある「いつおこるかわからない」カタストロフイックな事象なのである。岩石の古磁気の解析によれば、地球の磁極は、過去数百万年の間に、磁極反転は数100回もあった。磁極のエクスカーションと呼ばれる不安定状態では地球の磁場は弱まり、ドリフトするが最終的に極は最初の位置に戻る。

Dec. 13, 2018

契約雇用増大が警告する研究能力の衰退

契約職員が増えているのは先進国共通の傾向だが、研究者の雇用にも同様の問題があるとしたらどうだろうか。インディアナ大学の研究チームのデモグラフイー分析によると、高等教育機関で科学者としてのキャリアを追求する人々の半数は、5年後にこの分野から脱落するという深刻な現状が明らかにされた(Milojevic et al., PNAS online Feb. 16, 2018)。

Dec. 11, 2018

長期予測が可能になったエルニーニョ現象

エルニーニョと呼ばれる海面温度の温暖化現象とラニーニャと呼ばれる冷却現象は、世界中の気象や気候に影響を与える。韓国の浦項大学の研究チームは、大西洋の海面温度の変化から、地球の表面温度に重大な影響を与えるエルニーニョとラニーニャ現象による極端な気候変動を1年以上前に予測できることを示した(Park et al., Scientific Reports 8: 14957, 2018)。

Dec. 10, 2018

MITが提案する再生可能エネルギー貯蔵

MITの研究チームは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを貯蔵し、そのエネルギーを必要に応じて電力網に送り返すシステムの概念を提案した。このシステムにより、太陽光発電が稼働する日中や、風力発電に十分な風が強いときだけでなく、24時間いつでも電力を供給するようになれば、再生可能エネルギーを主電源とすることができると期待される。

Dec. 07, 2018

癌発症とマイコプラズマ感染の関係

メリーランド大学医学部(UMSOM)のヒトウイルス研究所(Institute of Human Virology、IHV)は、マイコプラズマに感染した細胞の蛋白質DnaKがDNA損傷に応答し修復する能力を妨害する癌発症の起源と関係することを発見した(Zella et al., PNAS online Oct. 29, 2018)。

Dec. 05, 2018

ポストCMOSを目指すインテルの切り札MESOデバイス

インテル社とカリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、現在のトランジスタ技術を超えて、地球上のすべてのコンピュータに応用できる新しいタイプのメモリとロジック回路の開発を進めている。このスピントロニクスデバイスは、スイッチングに強相関酸化物とトポロジカル絶縁体の磁気スイッチングで、CMOS技術と比較して優れたスイッチングエネルギー(10~30倍)、低いスイッチング電圧(5倍)ロジック密度(5倍)を実現する(Manipatruni et al., Nature online Dec. 03, 2018)。

Dec. 04, 2018

フラッシュメモリよりも1000倍速い相変化メモリ(PCM)

アリゾナ州立大学の研究チームは、液体、ガラスおよび結晶状態の間の相変化をメモリとする相変化(PCM)材料が現在のフラッシュメモリよりも1000倍も速いランダムアクセスメモリ(RAM)として、安価で高速、高密度、大容量の不揮発性ストレージに有望であることを提案した(Wei et al., Science Advances 4, eaat8632, 2018 )。

Dec. 02, 2018

有機系太陽電池で世界最高効率を達成

エアランゲン大学(FAU)の材料科学研究チームは、有機(非フラーレン)ベースの単接合太陽電池の世界最高効率を達成した。分子構造の最適化で、1平方センチメートルの表面積で12.25%のエネルギー変換効率を達成した(Fan et al., Nature Energy online Oct. 22, 2018)。

Nov. 29, 2018

後期更新生期の「真の極移動」は氷河期の原因か

ライス大学の研究チームは、ハワイ諸島の位置を含む太平洋の調査に基づいて、地球自転軸に相対的にグリーンランドが北極に向かって移動した大陸の再配列が、約320万年前に始まった新生代氷河期の原因となった可能性があることを見出した(Woodworth et al., Geophys. Res. Lett. online Oct. 19, 2018)。

Nov. 2018

台風の規模が年々増大する理由

2018年の台風19号は今まで記録された最も強い熱帯低気圧のひとつであるが、1980年代から太平洋の大型台風の割合が増加している。南京大学の研究チームの研究によると、地球上層の温度変化は太平洋の強い台風の増加を招き、今後数10年間に強い台風が発生する可能性が高いことを示唆している(Wu et al., Earth’s Future online Oct. 10, 2018)。

Nov. 25, 2018

ミリ波帯で家庭での超高速通信が可能に

ETHチューリッヒの研究チームは、ミリ波帯を介して伝送されるデータを光ファイバの光パルスに直接変換できる変調器を開発した。研究チームの開発した光変調器は、自動車のレーダーに使われるミリ波帯のマイクロ波通信で高いデータ伝送速度を実現した。これによって家庭の高速インターネット回線が低コストで実現できるようになると期待されている。

Nov., 22, 2018

マリアナ沈み込み帯における地球深部への水輸送

ワシントン大学の研究チームのマリアナ沈み込み帯に関する新しい研究では、地球の水循環の従来の知見を大幅に修正する結果となった。プレートテクトニクスを介して地球の内部に流入する水量は過小評価されていたことがわかった。実際には、この調査によるとマリアナ沈み込み帯の水量は、定説より約4倍も大きいことが明らかになった(Cai et al., Nature 563, 389, 2018)。

Nov. 19, 2018

NASA衛星データが警告する太陽極小期

太陽黒点がほとんど観測されなかった2018年は、11年周期の太陽活動が衰退し太陽極小期を迎えていることを示している。地球上の高空の温度変化は、気候変動を含む地球上の気象に大きな影響を与える可能性は低い考えがちだが、NASAは地球の大気の変化を計測する衛星観測に基づいて、黒点の欠如が地球の寒冷気候に結びつく恐れがあるとして警告している。地球の大気中の粒子運動エネルギーを上昇させ地球を加熱する紫外線が減少し地球が冷却されるからである。

Nov. 16, 2018

マルチダブレットモデルが反物質がない理由を説明

ヘルシンキ大学の研究チームはマルチダブレットモデル(2ヒッグスダブレットモデル)と計算機ミュレーションで、「なぜ宇宙には反物質よりも普通の物質が圧倒的に多いのか」という疑問に応えようとしている。このシミュレーションは、ビッグバン以降の宇宙創生条件を調べる新しい方法で、素粒子物理の残された基本的な質問に答えることができると考えられている。

Nov. 14, 2018 

GPSに依存しない量子ナビゲーション

今日のナビゲーションシステムの多くは、地球を周回する衛星からの信号を送受信するGPSなどのグローバルナビゲーション衛星システムに依存している。インペリアルカレッジロンドンの研究チームは外部信号に依存しない自己完結型のシステムとなる量子加速度計の開発に成功した。

Nov. 12, 2018

大気中のCO2還元触媒はエネルギー危機の救世主となるか

ハーバード大学のローランド研究所の研究チームは、再生可能エネルギー(電力)を使ってCO2COに還元技術を高度化し実用化システムを開発した(Zheng et al., Joule online Nov. 08, 2018。研究チームが開発したシステムは石炭火力発電所やCO2を多く生産する他の産業と接続すれば、排出されるガスの約20%にあたるCO2を原料として、廃棄物からカーボンニュートラル燃料や化学物質を生産することができる

Nov. 08, 2018

過小評価されていた仮想通貨マイニングのエネルギー消費

現在流通している数100種類の仮想通貨のマイニング作業で、世界中で膨大な数のサーバーが、24時間体制で稼働している。ケンブリッジ大学の研究によると、ビットコインなどの仮想通貨のマイニングには、金採掘のの3倍のエネルギーを消費することがわかり、従来の推定(金採掘の1/20)過小評価であることがわかった。

Nov. 06, 2018

水不足アトラスが警告する水資源危機

スエーデンのアアルト大学の研究チームが国際応用システム分析研究所(IIASA)と共同で作成したインタラクテイブマップ、水不足アトラス(Water Scarcity Atlas)は、全世界の水資源の調査研究に基づいて最新の水不足分布を可視化し、家庭および産業用水の未来危機を警告している。

Nov. 04, 2018

過少評価されていた海洋の吸収熱量

カリフォルニア大学(サンデイエゴ)の研究チームは、世界の海洋が、1991年から2016年にかけて毎年、1.33±0.2×1022ジュールの熱量を吸収していたことを明らかにした。この数値はIPCC最終評価報告の推定値(4度Cの温暖化)よりも60%以上高く、1991年以来10年ごとに6.5度Cで温暖化していた。これは地球表面の平方メートルあたり0.83±0.11ワットのエネルギー不均衡(入力と出力エネルギーの差)に相当する(Resplandy et al., Nature 563, 105, 2018)

Nov. 02, 2018

ヒトの寿命と収入の意外な関係~金持ちより貧乏人は長生きする?

コペンハーゲン大学の研究チームの富裕層と最貧困層の平均寿命に関する新しい研究結果はそれらの間に大きな違いがあるとする従来の理解に相反する。研究チームによれば、以前の研究で想定されていたように、人々は必ずしも貧しいままでいるとは限らない。さまざまなレベルの社会の人々の平均余命を所得クラス間の移動性を考慮して解析した結果は、現実には富裕層と貧困層の人生の差はそれほど大きくない。

Oct. 30, 2018

実用化が近づく放射冷却原理の水冷システム

コロラド大学ボールダー校とワイオミング大学の研究チームは、放射冷却で昼夜連続で稼働する水冷システムを実用化した。これによって夏期の発電プラントの負荷を減らし、家庭、企業、公益事業および産業への効率的で、環境にやさしい温度制御が可能になると期待される(Zhao et al., Joule online Oct. 26, 2018)。

Oct. 29, 2018

ナノ結晶強誘電体メモリへ前進

磁気メモリの代わりに強誘電体メモリを使用すると、発熱がないためエネルギーが節約できる。またナノスケール強誘電体メモリが実現できると、メモリ密度の限界を越えることも同時に可能になる。しかし実用化を阻む問題は、サイズを小さくすると強誘電体特性が消滅することであった。グローニンゲン大学の研究チームは、ナノスケールの強誘電体を作る材料として酸化ハフニウムが使えることをみいだした。

Oct. 23, 2018

深海設置型洋上風力発電の将来性

海底に固定されたオフショア風力タービンは、海底面深度の制約を受け、比較的浅い沿岸域でのみ使用できる。これに対し浮動式海洋プラットフォームは、ほとんどの海洋環境に建設され設置できる可能性がある。海洋生物にとってより環境にやさしく建設コストの安い風力発電の潜在的な発電能力は高いが、沖合の深海部への設置で発電能力が数倍高まり、再生可能エネルギー転換が加速される。

Oct. 22, 2018

軍用AI契約を巡るIT企業のジレンマ

マイクロソフト社の従業員は、100億ドルのペンタゴン契約をめぐる論争のために同社の入札計画に反対を表明した。ブログサイト「ミディアム」に掲載された手紙に従業員は、マイクロソフト社に「技術を築くことで害や人の苦しみを引き起こすことはないと期待していると訴えた。

Oct. 18, 2018

原子スケールの並列メモリスタによるニューラルネットワーク

南カリフォルニア大学の研究チームは、ベクトル - 行列乗算を行うことが新しいタイプの化合物シナプスによるシナプス大量プログラミング(注2)を実証した。この化合物シナプスでは、単原子レベルの超薄膜窒化ホウ素メモリスタ素子を配置したことで、正確な動作を達成した(Esqueda et al., J. App. Phys. 124,152133, 2018)。

Oct. 17, 2018

ハイブリッド癌細胞バイオイメージング

マドリッド大学の研究チームはこれまで個別に使われてきた磁気共鳴画像法(MRI)、コンピュータ断層撮影法(CT)、蛍光光学画像法(OI)の3つの異なるタイプのバイオイメージングをこれらの手法を同時に使用して腫瘍を位置決めするハイブリッドナノプラットフォームを開発したSanches et al., Appl. Mater. & Interfaces 10, 31032, 2018)

Oct. 09, 2018

アイルランドがFacebookの調査を開始

9月28日に明らかになったFacebookの個人情報大量流出は単にメールアドレスなどの情報が漏れたというわけではなく、セキュリティの鍵となるデジタルトークンという上位の情報流失であった。これは毎月22億人以上のユーザーを抱えるSNSの数千万のアカウントに影響を与えた。これが重大なセキュリテイ上の過失だとして、アイルランドの情報管理当局は、Facebookが新しいEUのプライバシー規制に準拠しているかどうか、正式な調査を開始したと発表した。

Oct. 04, 2018

バイオマスがカーボンニュートラルでない理由

ジョン・デチコ(John DeCicco)教授を中心とした研究チームは、森林や草原のような未踏の緑地は、二酸化炭素を封じ込めることで温室効果ガス(炭素)サイクルに重要な貢献をしているとして、バイオマスとして植物を大量に消費する政策の危険性に警鐘を鳴らしている(DeCicco and Schlesinger, PNAS 115, 9642, 2018)。

Oct. 03, 2018

高効率酸素発生(OER)触媒

水中の酸素と水素の結合を壊すすなわち水分解は、持続可能な方法で水素を作り出すキーテクノロジーとなるが、経済的な実用技術には至っていない。イリノイ大学の研究者チームは、金属化合物と過塩素酸という物質を混合した電極触媒材料を用いた酸素発生の新型触媒を開発した。

Oct. 01, 2018

2段階電気化学還元でCO2から燃料製造

デラウェア州立大学触媒科学技術センターの研究チームは、二酸化炭素(CO2)の電気分解効率を上げるための新たな2段階プロセスを発見した。これによって空気中のCO2を還元して液体燃料製造技術の実用化につながると期待されている(Jouny et al., Nature Catalysis online Aug. 20, 2018)。

Sep. 26, 2018

ダイアモンドナノ結晶を用いた高効率磁場測定デバイス

ダイアモンドはGeSiと同じ典型的なIV族の元素だがエネルギーギャップが大きいため絶縁体であるが、ドーピングによってワイドギャップ半導体の物性を持たせることができる。カリフォルニア大学バークレイ分校の開発チームは、窒素をドープしたダイヤモンドで磁場検出器の電力を大幅に削減する新しいデバイスを開発した。このデバイスは低コストで、エレクトロニクス、地球磁場計測、さらには生命体を対象とした磁場測定方法が変革される可能性がある(Labanowski et al., Science Advances online Sep. 05, 2018)。

Sep. 23, 2018

光ガルヴアニ効果でペロブスカイト物質の特性を向上

22%のエネルギー変換効率に達した鉛ペロブスカイトは、太陽電池材料やスピンエレクトロニクス材料として注目されている。フリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲンFAU)の研究チームは、スピン偏極ベクトルと電流の方向の相関を実証し、これを利用してキャリア寿命を増大しエネルギー変換効率がさらに改善できる可能性を示した(Niesner et al., PNAS 18, 9509, 2018)。

Sep. 21, 2018

水素社会化を加速する欧州

欧州では新規原子炉建設の遅れやドイツの脱原発とデイーゼルゲート問題に後押しされ、水素社会を目指す動きが加速しつつある。25カ国からのエネルギー関係者は、水素技術の研究を増やし、工場に電力を供給し、自動車を運転し、家を暖めるための日常的な水素利用を加速することに合意した(AP)。欧州諸国は、欧州の炭素排出を削減するために、化石燃料の代替として水素の使用を増やす計画を支持している。

Sep. 19, 2018

CO2からの燃料製造にブレークスルー

コロンビア大学の研究チームは、表面増強ラマン分光法(SERS)を用いて、電極 - 電解質界面でCO2が活性化されるプロセスを調べ、太陽エネルギーでCO2から燃料を製造する(人工光合成)触媒設計を試行錯誤のパラダイムから合理的なアプローチにシフトさせ、代替可能で安価で安全かつ貯蔵可能な再生可能エネルギー普及につながる技術を開発した(Chernyshova et al., PNAS online Aug. 17, 2018。

Sep. 14, 2018

蛋白質の進化における構造的容量要素と疾患の関係

生命が30億年以上前に始まったときにどのようにしてランダム(混沌)の中から秩序(生命)が生まれたかは、放電スパークによるとされ謎に包まれたままである。モナシュ生物薬学研究所の研究チームは、多くの異なるタイプのヒト疾患、特に様々な癌に関連する変異蛋白質の「構造的容量要素(Structural Capacitance Elements)」を特定した(Li et al., J. Mol. Biology 430 3200, 2018)。

Sep. 14, 2018

可視光の85%を吸収する光電極

北海道大学電子科学研究所の研究チームは、従来の方法の11倍の光エネルギーを変換する、金および金ナノ粒子層と30ナノメートルの半導体薄膜の多層構造で可視光の85%を吸収する光電極を開発した(Shi et al., Nature Nanotechnology online July 30, 2018)。

Sep. 12, 2018

人工光合成が実用化に前進

先進国では総じて原発の新規建設は困難で、発電と供給能力を大幅に引き上げなければEV化は現実的ではない。環境保全と安全性において理想的なクリーンエネルギー源は植物の光合成メカニズムを模倣した人工光合成である。エネルギー変換効率が低いため実用化は困難とされて来たが、最近の進歩で人工光合成のエネルギー変換効率が向上して、着実に実用化に近づいている。

Sep. 04, 2018

中国がチベットで世界最大規模の人口降雨

ジオエンジニアリングとは高空から微粒子を散布して、人口の雲を作り日射量を減らすことで地球を冷却、人工雨で砂漠化を防ぐ技術である。環境保全や効果に付いて賛否両論が渦巻く中で、水不足で砂漠化が進んでいる中国は本格的なジオエンジニアリングに取り組んでいる。中国は、チベット高原で歴史上最大となる人工雨実験を計画している。

Sep. 03, 2018

燃料電池用の非白金系単原子触媒

ワシントン州立大学の研究チームは、燃料電池用に低コストの単原子触媒を開発する指針を確立した。これは単原子触媒の効率的な開発を可能にし、クリーンエネルギー技術をより経済的に推進できると期待される。

Aug. 31, 2018

ヒッグスボゾンのボトムクオークへの崩壊の観測に成功

CERNの大型ハドロンコライダー(LHC)による発見から6年後、ヒッグスボゾンのボトムクォークとして知られる基本粒子への崩壊が初めて観察された。LHCでの二つの検出器チーム、ATLASとCMSによる今回の発見は、ヒッグスボゾンの背後にある量子場(ヒッグス場)がボトムクォークにも質量を与えるという仮説と整合することが示されたことになる。

Aug. 29, 2018

活発化する太平洋沿岸の火山噴火と地震活動2018

2018年に頻発する地震活動や火山活動が太平洋岸に集中している。これらがリングオブファイヤーと呼ばれるプレート境界に一致していることは明らかだが、個別の事象として独立性が強調されてきたが、2018年の一連の地震と火山活動はリングオブファイヤーで起きていることから、両者の関係性が際立つこととなった。

Aug. 28, 2018

クーロン効率100%の高エネルギー密度Li・酸素バッテリー

Liイオンバッテリーの高エネルギー密度化を目指して、空気中の酸素と化学反応してエネルギーを生成するLi・酸素バッテリー(リチウム空気バッテリー)の開発が世界中で競争的に進められている。ワーテルロー大学の研究チームは、リチウム - 酸素バッテリーの最も困難な問題の中の2つを解決し、ほぼ100%クーロン効率(充放電効率)で動作する高エネルギー密度のLi・酸素バッテリーの開発に成功した(Xia et al., Scence 361, 777, 2018)

Aug. 24, 2018

ロッキード・マーチン社が提案する深宇宙飛行居住モジュール

近未来人類は巨大な円筒形の宇宙船で、4人の宇宙飛行士を収容し、深宇宙へ送り込むことになる。ロッキード・マーチン社は、NASAとの契約に基づいた深宇宙飛行の宇宙飛行士の居住区モデルをケネディ宇宙センター公開した。

Aug. 20, 2018

米国が遺伝子治療実験の規制を緩和

かつては遺伝子編集技術が成熟していないとして、規制の必要性を認めてきた米国の保健当局は、現在では特別なリスクを伴わない新しい治療法になっているとして、遺伝子治療実験の特別な規制を排除する。米国国立衛生研究所の特別監視委員会は、遺伝子治療の全適用を見直さず、水曜日に提案された変更に応じて、より広範な項目の諮問機関となることで実質的に規制が弱まる。

Aug. 17, 2018

2018-2022も予測される異常熱波

異常気象が続いている2018年だが、異常な酷暑は近年でも突出していることに驚いている人が多い。たしかに2018年の夏、世界的な熱波が北半球を覆い尽くしている。その原因については複数の仮設があるが、CNRSの研究チームは新しい方法を用いて、シミュレーションを行い2018年が特殊なのではなく、今後数年間は酷暑の夏を迎えると予測している(Sevellec et al., Nature Comm. 9: 3024, 2018)

Aug. 16, 2018

擬似衛星となるエアバスの高高度ドローン

スペースX社が先導したロケット再利用技術や小型ロケット開発は衛星の起動投入ミッションの低コスト化の鍵となる。一方で、気球やドローンなどの高空擬似衛星技術でさらなる低コスト化が期待できる。

Aug. 13, 2018

農作物への負の効果となるジオエンジニアリング

カリフォルニア大学バークレー校の研究チーム新しい研究によると、微粒子を大気中に噴霧して太陽光を遮蔽し地球を冷却し、気候変動の温暖化効果に対抗することは、地球温暖化による作物被害を相殺するものではないことが明らかになった(Proctor et al., Nature online Aug. 08, 2018)。

Aug. 09, 2018

骨髄移植のための幹細胞治療法が可能に

ストワース研究所の研究チームはヒト臍帯血(HUCB)から血液形成を形成する幹細胞で増殖する技術を見出した。この開発は、より多くの人々にこれらの細胞を利用できるようにすることができ、白血病、血液疾患、免疫系疾患、および癌のような患者や適切な骨髄適合がない人でも幹細胞治療への道が開かれた。

Aug. 06, 2018

非現実的な火星移住計画に挑戦する理由

今年2月にスペースXは、ファルコン・ヘビーロケットで火星の周回軌道にテスラEVを打ち上げることで、火星移住ミッションへの一歩を踏み出した。一方、火星の地下に塩水湖が発見され火星に生命体が存在する可能性が出てきた。湖は南極極冠の1.5km下にあり、直径は少なくとも20kmになる。

Aug. 03, 2018

酸欠になる大洋の危機

トロント大学とカリフォルニア大学サンタクルス校の海洋科学研究チームは最新の研究に基づいて不気味な警告を発している。研究チームは、世界的な炭素排出が現在のれーとで増加し続けると、海洋の多くの魚が危険にさらされる可能性があるとしている。

Aug. 02, 2018

新型光触媒として期待される2次元物質ヘマテン

ブラジルのカンピナス大学の研究チームは通常の鉄鉱石からヘマテンと呼ばれる2次元物質を抽出した。この材料は3原子層分の厚みで、優れた光触媒特性を有している(Balan et al., Nature Nanotechnology 13, 602, 2018)。

July 29, 2018

2018年世界的な酷暑の原因に複数の仮説

レディング大学の研究チームによると、最近観測されることが多くなった熱波の原因となるものにはいくつかの主要な理論があるという。

July 25, 2018

細胞老化とテロメア構造の関係が明らかに

テロメアは、すべてのヒト染色体の末端にあるDNAセグメントで人間が年をとるにつれ、テロメアの長さは自然に減少していく。テロメアの短縮が、細胞分裂を止めることで細胞老化が生じる。シドニー大学の研究チームはテロメアの構造変化が細胞の老化を引き起こすことを発見した。癌から老化および心臓病に至るまで様々な細胞の健全な状態に影響を与える要因が解明できると期待されている。(Van Ly et al., bioRxiv, July 21, 2018 )。

July 23, 2018

トポロジカル絶縁体の電流誘起スピンの可視化に成功

Google、Microsoft、IBMなどの企業は、世界で最初の実用的な量子計算機を開発するために激しい競争を繰り広げており、そのための材料を模索している。シンガポール国立大学の研究チームは、量子コンピューティングをより現実に近づける新しい方法を実証した。(Liu et al., Nature Comm. 9:2492, 2018)。

July 18, 2018

九州の霧島と姶良で証明された活火山同士の関係性

活発化する日本の火山活動だが、気象庁の複数の火山爆発に関連性がないといういたって冷静な発表の一方で、マイアミ大学研究チームは、九州南部の火山活動の急激な変化は火山22km(13.7マイル)離れた火山同士の関係性を初めて確認した。 2つの火山(姶良カルデラと霧島)の観測によると、2011年に霧島の噴火に至る数ヶ月間に共通の地下マグマ供給源を介して2つが結ばれたことが示された。

July 16, 2018

複合金ナノ粒子で効率化する水分解

ルトガー大学の研究チームは半導体でコーティングされた星型の金ナノ粒子(下図)が、他の方法よりも4倍以上効率的に水分解で水素を生成することができることを明らかにした(Atta et al., Chem, online July 12, 2018)。これにより太陽エネルギーの貯蔵効率が向上し、再生可能エネルギーの利用促進につながると期待されている。

July 13, 2018

カテゴリ6ハリケーンが現実になる日

より暖かい気候でハリケーンのもたらす降雨量が増え、水害が拡大する。現在の温暖化の傾向が続くならば、20世紀末までに最高の風速が230mphにもなる可能性がある。竜巻で言えばF-4のカテゴリ6ハリケーンが現実味を帯びてきた。ハリケーンというと縁遠い印象だが、勢力の強い低気圧現象が強大化する原因は共通で台風やモンスーンにも当てはまる。

July 12, 2018

ドイツの送電網が増強される理由

現在のドイツの送電網の長さは約35,000kmである。再生可能エネルギー源から発生する電力を必要な場所に送電するために、約5,300kmの送電網延長が必要である。カールスルーエ工科大学(KIT)と送電網を管理する企業(TenneT)は、従来の短距離送電網の電源ケーブルの代替として超伝導技術のR&Dを共同で開始した。

July 09, 2018

都市の規模に依存する移住パターン

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの研究チームによる最新調査によれば、小都市にすむ人々は大都市からの人々よりも移住する可能性が高い傾向にある(Curiel et al., PLOS one online July 6, 2018)。この研究では都市規模に基づいて移行の流れを説明できることが明らかになった。

July 08, 2018

祝宴の儀式が文明の創生期に果たした役割

野生を文明に変えるすなわち社会形成には多くの人々が協力して働く必要がある。過去数十年にわたり、考古学的には、この協力のおかげで世界中の異なる地域で文明が生じたと考えてきた。アリゾナ州立大学の研究チームは、人々が協力して働くために「祝宴の儀式」が重要な役割を演じたことを見出した(Stanish et al. PNAS online July 2, 2018)。

July 05, 2018

光合成のエネルギー効率が過小評価される理由

カリフォルニア大学デービス校の研究チームの新しい研究は意外にも、光呼吸がエネルギーを無駄にせず、土壌から吸収された硝酸塩をタンパク質に変換する硝酸塩同化を促進することを示唆している(Bloom and Lancaster, Nature Plants online July, 02, 2018)。

July 04, 2018

米国の原子力時代の終焉

カーネギーメロン大学の研究チームは最新の論文で、現在の米国内の原子力発電所を調査した結果を発表した。この30年間米国発電の約20%が原子力によるが、これらの原子炉は老朽化しており、低コストの天然ガスとの競争とともにそれらを維持するコストは、今日の電力市場において競争力を喪失し原子力の未来は悲観的である(Morgan et al., PNAS online July 2, 2018)。

July 03, 2018

貴金属を使わない水分解触媒

水分解で水素と酸素を生成するためには外部エネルギーと1つは水素生成反応、もう1つは酸素生成反応のための2種類の触媒が必要となる。新型触媒は鉄と二リン酸ニッケルを用いることで、外部エネルギー(電力)量を低く、水素生成の指標である高電流密度を達成した(Yu et al., Nature Comm. 9:2551, 2018)。

July 02, 2018

ヨセミテの花崗岩が書き換える地球の地質史

カーネギー研究所(ワシントン)の研究チームは、ヨセミテ国立公園の花崗岩には、これまで考えられていたよりずっと低い温度で結晶化する鉱物が含まれていることを見出し、それが地球の地質学的歴史を書き換えることを明らかにした(Ackerson et al., Nature online June 27, 2018)

June 29, 2018

電気化学が切り札となる炭素捕捉テクノロジー

ローレンス・リバモア国立研究所の研究チームは、大気からCO2を吸収して溶液中に保持するために鉱物との化学反応と組み合わせて、電気分解で水素を製造するアプローチに着目して、電気化学的手法が炭素捕捉の本命となるとする論文を発表した(Rau et al., Nature Climate Change online June 25, 2018。

June 26, 2018

ヒトT細胞の生物模倣に成功

生物模倣T細胞は、癌や自己免疫疾患を治療するためのより効果的な薬物への鍵となると同時に、ヒトの免疫細胞の理解につながる。生物模倣T細胞はまた、癌または免疫不全を有する人々の免疫系を高めることに有効である。UCLAの研究チームは、ヒトT細胞のほぼ完全な機能を持つ生物模倣Tリンパ球(T細胞)の開発に成功した。

June 27, 2018



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