自閉症と大気汚染(NO)の関係

20.11.2018

Photo: spectrumnews

 

自閉症とワクチンや農薬の成分である化学薬品の因果関係(注1)が疑われているなかで、母親が妊娠中に汚染された都市に住んでいた子供は、自閉症を発症する可能性がより高いかもしれないという新たな研究結果が発表された。5歳未満の132,000人以上のカナダの子供を対象とした調査によれば、より高いレベルの大気汚染にさらされた人々は、自閉症の傾向が高くなる。

 

(注1)GMOには欠かせないモンサント社の看板除草剤「ラウンドアップ」の成分であるグリホサートイソプロピルアミン塩(グリシンのN原子にリン酸メチル基が配位)に、子供の自閉症発生率と相関が著しくこのままで行けば2025年には子供の2人に1人は自閉症になるという研究結果がある。

 

自閉症の原因は特定されたとはいえないが、新しい研究は大気汚染からくる細かい毒性の粒子に関わる点で、化学薬品の役割を再認識させるには十分である。

 

ブリティッシュコロンビア州のサイモンフレーザー大学の研究チームによる今回の研究は、薬物汚染と自閉症の因果関係を立証するもので、子供の自閉症リスクは子宮内のすべての妊娠で増加するという明確な証拠が得られた。

 

研究チームは母親が妊婦であった期間の排気ガスの量と自閉症の割合を比較した結果、妊娠中に排気ガスによる大気汚染に曝された女性は、自閉症児を産む可能性が高いという結論を得た。

研究チームの注目した化学物質のひとつは、NO(注2)であった。実際、欧州ではデイーゼル車の排気ガス中に含まれるNOxによって、毎年5,000人以上が自然死でない(寿命を全うしない)死因で亡くなっている。

 

(注2)燃料が燃焼すると不完全燃焼でNOが生成される。自動車やトラックからの排気は、特に都市や高速道路に集中している有害物質の主要な発生源となる。

 

 

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自閉症は少年に多く女子の4倍の頻度であるので、女子にはこのリスクの関連性は見られなかったが、男子では、自閉症のリスクは、環境におけるNOの10億分の1(ppb)の増加ごとに9%増加した。

 

症状は通常、生後2年まで明らかにならない自閉症は特定の国と地域で近年、上昇しており、世界統計の上位5カ国は、香港、韓国、米国、日本、アイルランドで、10,000人中の発生数はそれぞれ、372人、263人、222人、181人、153人である。トップの香港では27人中1人、5位のアイルランドでも65人中1名となる。

 

研究チームは2004年から2009年までバンクーバーのすべての出生を分析した結果、そのうち1,307人(1%)が自閉症であった。母親が妊娠中の環境汚染レベルと自閉症数を比較したところ、NOが重要な要因であることがわかった。この結果は大気汚染の上昇と、世界中の自閉症症例の増加との関係性と矛盾していない。

 

米国では、自閉症率が2000年の150人中1人から2012年の68人中1人に増加した。カナダでも同様の状況が確認されており、世界人口の約1%が自閉症であると推定されている。NO以外にも疑惑の化学物質モンサント社の看板除草剤「ラウンドアップ」の成分であるグリホサートの濃度が上昇しており、局所的な大気汚染も含めれば、世界的な自閉症発症の増加傾向は環境汚染(大気、土壌、農産物、飲料水)と相関があることが検証されたといってよい。欧州で内燃機関自動車(ICE)を禁止する動きが加速していることは、CO2問題よりも緊急度が高いNO(NOx)対策であるといえるかもしれない。