米上院議員が5Gの安全性についてFCCに検証要求

06.12.2018

Photo: freestatefoundation.blogspot.com

 

 新しいテクノロジー導入は安全性が受益者の利便性とサービス事業利益の代償となる危険性をはらんでいる。コネチカット上院議員、リチャード・ブルーメンサル氏は米国内の5G認可を巡って、連邦通信委員会(FCC)に5Gの(人体に対する)安全性の根拠となる証拠の提出を求め、国立科学技術政策研究所(NISLAPP)もこの提案を支持している。

 

高まる5Gの健康被害への関心

 米国では大手キャリアが5G商用化に名乗りを上げている中で、5Gネットワークで使用される高域周波数電磁波の健康影響に関する関心が高まっている。NISLAPPは家庭、オフィス、学校に近接した地域に新たに5G帯のRFアンテナを設置することに反対し、FCCの「5Gの安全性」の根拠となる科学的な証拠の提出要求を支持した。

 

 米国国家毒性プログラム(National Toxicology Program)で支援された多くの研究がRF電磁波と癌発症との関連性を認め、4Gについての安全性の議論が高まっているが、現在の無線周波数安全に関する規制の大部分は1996年に採択されたもので、2Gおよび3Gを念頭に置いたもので、4G、5Gと続く高周波数化の流れに対応して規制の見直しが議論されている。

 

 国立科学技術政策研究所はベライゾンが先行する5GデバイスについてFCCは認可の前に新しいガイドラインを整備することが望ましいとして、議会のすべての議員、州政府および地方政府関係者は、ベライゾンをはじめとする通信業界が広く展開しようとしている5Gの安全性の検証が不可欠であるとして、潜在的な健康被害の危険性の調査が終了するまで5Gネットワークの一時停止を求めている。

 

商業化が先行する5G

 一部地域の5G商用化で先行する米国の大手通信会社ベライゾンはサムスン製の5Gスマートフォンを2019年前半に販売するとしている。5Gの特徴は情報量の多さで数Gbpsの高速通信が数msec程度の遅延で可能になることで、日本でも2019年が商用開始となる。5G帯のミリ波は自動運転のレーダーにすでに使用されているように直進性が強い。そのため多数の端末を対象にしようとすれば、基地局出力を上げたり複数のアンテナ素子を使ったビームを携帯端末に向ける必要が生じる。その結果、人体の電界強度が高くなれば癌発症確率が高まることが科学的に立証されている。

 

 問題は5Gに潜む根幹的な問題はこれまでのようにスマートフォンだけが対象ではなく、コネクテッドという概念の車と基地局、あるいは車同士の情報交換、ナビゲーションに加えてIoTが工場やオフイス、送電網や発電所などあらゆる施設と機器にばらまかれ、都市部が5G電磁波の密集地帯になることの弊害である。移動体通信事業は5G通信事業を一手に握ることで、利益を上げられるから執拗に食い下がることになる。スマートフォン市場に翳りのみえた今日、5Gに端末メーカーも期待するしかないから始末が悪い。

 

5G商用化の前に

 情報通信の高速化の要求に屈して、安全性の確証開示をFCCに要求したブルーメンサル氏の行動は妥当である。帯域の高周波数化に対して安全性の懸念が広まる中、高速WiFiに光を用いるLiFi技術や幹線と家庭の送受信をミリ波で行う技術の研究も活発化している。高速通信が将来的には安全な光ネットワークに置き換えられる日も遠く無いかもしれないが、いますぐ(商用化の前に)、5Gの安全性を明確にする必要があるだろう。