自転車とスクーターのシェアサービスに暗い影

05.12.2018

Photo: theatlantic.com

 

 自動車を個人が所有する時代が終焉を迎えようとしているかのようなシェアサービスの台頭であるが、都市では車よりも小回りがきく自転車やスクーターのシェアサービスの人気が高い。前者は中国で急激な成長を見せたが、成長が急激すぎて回収が追いつかず放置された自転車が社会問題になっている。一方スペインのマドリードでは電気スクーターのシェサービス企業が当局に業務ライセンスを拒否されるなど、便利なはずのシェアサービスが世界各国で様々な問題を引き起こしている。

 

中国の放置される大量のシェア自転車

 中国を訪れるといたるところに黄色い自転車が乗り捨てられている。自転車シェアリングが中国で始まり、数10社のバイクシェア会社がすぐに数100万台のの黄色いスマートレンタル自転車を全土にばらまいた。急速なレンタル事業の成長は自転車利用者の需要を大幅に上回り、何100万ものシェア自転車が街に放置された状態になった。

 

 シェア自転車利用者はスマホアプリで空いている自転車をみつけて解錠して乗り回したあとは自転車を置き去りにするから、黄色い自転車が積み重なり、混み合った通りで交通妨害となっている。多くの大都市では、破損した自転車の巨大な山ができて都市の景観を損ねる。自転車の共有は、中国でも非常に人気があり、今後のゆるやかな成長は見込めるが、都市に残された廃棄自転車の処分の見通しは立っていない。

 

マドリード市がスクーターシェア企業の営業を拒否

 マドリード市当局は、電動スクーターシェア企業3社のライセンス供与を拒否し、市内からスクーターを72時間以内に撤去するよう要請した。市の根拠はLime、Wind、VOIの3社が利用者に使用規則の周知が十分でないという理由で処分を正当化している。LimeはUberとGoogleの親会社であるAlphabetが所有している。他の2社は今年初めに、正式な承認なしに市内に電動シェアスクーターを配備していた。

 

 首都マドリードでは、舗道や歩行者ゾーンではスクーターが禁止されているが、スピード制限が時速30kmであるすべての道路での運転は許可されている。マドリードで最も多くのスクーターを配備しているカリフォルニア州のスタートアップ企業Limeは市の決定を無視しているが、ツーリズムに圧倒されているバルセロナでは、電動シェアスクーターの使用をすでに禁止している。同様の電気スクーターシェアサービスは、パリ、ウィーン、チューリッヒなどのヨーロッパの他の都市で導入されている。

 

 

Credit: ctvnews.ca

 

野放しのシェアサービスに潜む問題

 中国の自転車シェアサービスは別として、各国のシステムでは使用後の自転車は決められたステーションに戻さなければならないが、電動スクーターは使用後どこにでも駐車できる。新たな利用者はスマートフォンアプリで最も近いスクーターを見つけて、ロックを解除して有料で使用する中国式となる。中国のシェア自転車にはGPS位置情報を基地局に送りスマホアプリで空き自転車の位置を教えてくれる。早朝に回収トラックが来て放置された自転車を回収していくが、放置台数が回収サービスの能力を超えている。

 

 中国ほど大量に設置されることはないだろうし、中国ほど大量に放置されることはないと考えたいところだが、現実にはメンテのための回収サービスと放置する利用客とのせめぎ合いになる。中国の自転車シェアサービスでは回収サービスが機能せずに放置問題が深刻化した。都市部の自転車、電動スクーターのシェアサービスには使用規制の整備が必要になると思われる。

 

 東京でも危険なマリオカート走行が問題視されているが、我が物顔で市内をシェアスクーターで走り回る観光客にスペイン市民は当惑している。観光地では利用客に人気の交通手段だがシェアサービスも行き過ぎれば、住民の利便性や景観と利益相反が起きることは念頭におかなければならない。