HIV感染率増大が深刻な都市アトランタ

26.03.2017

Photo: queerty

 

 現在、世界で最もHIV感染者が多いのは、南アフリカに続きナイジェリア、インド、ケニア、モザンビークと、多くはアフリカの発展途上国である。しかし、先進国にもこれらの国と同じ高い感染率をもつ都市があることはよく知られていない。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)によると、アメリカのジョージア州アトランタ市では15人のうち1人がHIV感染者と診断され、HIV感染の流行地区と呼ばれている。

 

 

 1980年代後半に麻薬常習者やゲイの間で感染が広がったHIV感染は、今では特定の人口だけの問題ではなく、誰でも感染対象となる一般的な感染症となったともいえる。現在、医療の進歩で、HIVウイルスの増殖を抑え、エイズ発症を防ぐ抗 HIV薬で長期間にわたり日常生活をおくることができるようになった。

 

 しかし、貧困の高い地域、特にアフリカアメリカ人やヒスパニックが多い地域では、十分な医療を受けられないことから、HIV感染は深刻な問題となっている。

 

 

 州別に最もHIV感染率が高いのは、ワシントンD.C.(13人に1人)、メリーランド州(49人に1人)、ジョージア州(51人に1人)、フロリダ州(54人に1人)、ルイジアナ州(56人に1人)、ニューヨーク州(69人に1人)、テキサス州(81人に1人)の順で、100人中1人以下のHIV感染確率があるのは全体で13州である。

 

下の図は2016年2月23日にCDCが発表した生涯HIV感染と診断される確率マップを表している。NY近郊と南部の州が多いことが見て取れる。

 

 

Source: CDC

 

 統計上は世界的には2000年から14年で35%減少しているとされるが、地域別に見れば差異があることと報告数自体は増大傾向にあることに注意しなければならない。HIV感染者は比較的大都市に集中しているが、南部の州の小規模都市や都市以外の地域は全体の44%を占める。実に、アメリカ人が生涯HIVに感染する確率は99人に1人と高く、HIV感染は今でも深刻な問題である。