WWW開発者がネット不正使用を憂慮

15.03.2017

Photo: webfoundation

 

テイム・バーナーズ・リーはインターネット(WWW)の原型を28年前に開発した男(注1)である。その彼が組織したWeb Foundationは最近、インターネットで起きたいくつかの事柄を深刻に受け止め、インターネットが本来目指すべきである人道的な目的に使われるべきだとしている。

 

(注1)CERNの膨大なデータ処理を世界各国に散らばった複数の研究者が共有して処理を行うためにWWWの原型となるグローバルハイパーテキストプロジェクトを提案、WWWを構築した。素粒子実験データ量は膨大で一個が100PB(ペタバイト)にもなるため、インターネットが生まれたのは必然的でもあった。

 

 

憂慮すべきインターネットの不正使用

その鍵となる3点とは、まず第1にネット上に溢れる個人情報の多さ。SNSがメンバー間で個人情報を共有することが当たり前であるが、それらの公開は本来は閲覧許可(期間と使用条件)の取り決めがなされるべきである。

 

第2に偽情報(いわゆるフェイクニュース)が流される現状。実際に偽情報は少数のサイトから得られるものであるが、ネットで増殖しやがてはメインストリームメデイアのように拡散していく。

第3に中立であるべきインターネットが政治的な広報目的に使われる機会が増えたがほとんどが価値のない情報であったり誤った情報である。正しい情報を伝える使命を持ったインターネットであるべきだが、質の低い情報の拡散に利用されている。

 

 

制限すべき政府のネット悪用

さらに政府が諜報機関の盗聴で明らかになったように、国民の監視にインターネットを使うことにも問題があるとしている。こうしたことが人々の自由な発言を蝕みそのことで、特定の話題についてインターネットを使わなくなる恐れがあるとしている。

 

彼が1989年に提案したインターネットの原型は情報共有によって共同作業を効率的に行うためのものであった。もちろん他人の中傷や個人情報の漏洩、偽情報の拡散など使われるとは考えもしなかった。しかし現実にはハッキングやロボットの普及で誤った情報の拡散が進んだことで理想は打ち砕かれた。

 

CIA盗聴の証拠を公表したウイキリークスの一件でCIAなどの諜報機関がスマホもターゲットにできる最新鋭のハッキングシステムを使っていることにも触れている。この行為は個人情報の保護に違反しているだけでなくインターネットの安全保障にも反した行為であることも指摘した。

 

 

Credit: weforum

 

 

ネット規制を模索するWeb Foundation

彼が2009年に設立したThe Web Foundationはインターネットのこうした問題に対処するため今後5年かけて調査を行い、悪用されないための規則を作成するとしている。