着々と進む米国の北朝鮮包囲網

25.04.2017

Photo: financialexpress

 

国連による制裁の強化

 トランプ大統領は24日、国連安全保障理事会国の大使と会談、国連が北朝鮮に対して制裁を強化することを求めた。「北朝鮮は世界にとって深刻な問題である。北朝鮮の核開発と実験やミサイル発射実験の問題を今度こそ解決しなければならない」と述べたが、軍事力行使に踏み切る可能性の説明があったかは公表されていない。

 

 

上院議員全員ホワイトハウスに召集

 26日に共和党・民主党の全上院議員100人が北朝鮮情勢に関する説明をホワイトハウスで受ける予定である。上院議員全員をホワイトハウスに召集するのは非常に珍しく、非常事態の状況にあることを示している。

 

 ホワイトハウスにて、マティス国防長官、ティラーソン国務長官、コーツ国家情報長官、統合参謀本部議長のダンフォード大佐から、北朝鮮に対する今後の政府方針についての説明があるとされる。下院議員の召集も予定されている。

 

 

在韓米国人の避難訓練

 「Courageous Channel」と呼ばれる軍事演習の一環として、在韓米国人約23万人が国外に避難する軍事演習が6月に行われる予定である。いつでも安全な場所に避難するための演習となる。最後に避難演習が行われたのが5回目の核実験の後の2016年9月で、この時、在韓米国人全員が国外に避難した。

 

 

原子力潜水艦の派遣

 アメリカ海軍のオハイオ級原子力潜水艦SSGN-727(SSBN-727から改造で名称変更)「ミシガン」が25日韓国の釜山海軍基地に入港した。現在BGM-109トマホーク巡航ミサイルを最大で154発搭載可能である。トマホーク発射管(22基)は24基の弾道ミサイル発射管を流用、残りの2基は最大で66人の特殊部隊員の出入りのための密閉チェンバーに改造してある。情報収集、諜報活動、困難な特殊活動を遂行するネイビーシールズを上陸させる小型潜水艇も装備できる。弾道ミサイル潜水艦から巡行ミサイル潜水艦への変更は戦略兵器縮小START IIの一環として199年に行われた。弾道ミサイル24基の代わりに巡行ミサイル154基を積載することで、局地戦闘能力を持たせ特殊部隊を秘密裏に上陸させる機能で対テロ戦闘を意識したもの。

 

「ミシガン」は1982年から就役しているオハイオ級原子力潜水艦の2番艦。GE製加圧水型原子炉を積むオハイオ級原子力潜水艦は18隻が建造され、太平洋艦隊に10隻が配備されている。1-4番艦はBGM-109トマホーク巡航ミサイル発射管を22基備えるが、各々が7基のトマホークミサイルを収納するため全部で154基となる。5番艦以降はトライデント弾道ミサイル24基を装備。太平洋艦隊に所属するオハイオ級原子力潜水艦はキトサップ半島のバンゴール海軍基地を拠点としている。巡行ミサイル兵装に転換された1-4番艦は全てバンゴール基地所属である。

 

 これより先に長崎港に浮上した原子力潜水艦SSN-773「シャイアン」はロサンゼルス級原子力潜水艦の62番艦。オハイオ級原子力潜水艦はミサイル攻撃潜水艦で任務は弾道ミサイル攻撃で一部が巡航ミサイルとネービーシールズ支援、ロサンゼルス級原子力潜水艦は対潜水艦攻撃を主任務とする攻撃型原子力潜水艦で空母打撃群に随行して、敵の潜水艦攻撃からこれを守る。そのため弾道ミサイルは持たず魚雷と対艦ミサイルハープーンが主な兵装となる。

 

 長崎港に浮上した「シャイアン」は朝鮮半島海域に向かっているカールビンソンを中心とした空母打撃群の護衛が任務で、「ミシガン」は巡航ミサイル154発の攻撃力とともにネービーシールズを上陸させる役割を持っている(下図参照)。