中東危機 -Middle East Crisis
国際法上自由航行が認められているはずのボスポラス海峡をトルコが封鎖しロシア艦船の通行を阻止したことが波紋を呼んでいる。ロシア海軍によれば海峡の通行を禁止しているのはロシア艦船が対象である。しかし、黒海艦隊の地中海への出口がふさがれロシア軍のシリアでの行動が支障をきたす海峡封鎖は国際法とモントレー会議に反するとしている
ペルシャ湾のイラン領海内で米軍の武装高速艇が乗員10名とともに拿捕されたが、米兵らは簡単な取り調べの後に解放された。イラン側は非武装に近いため重武装していた米軍は逃走することもできたはずだが、無抵抗でイラン当局に拿捕された。腑に落ちない事件であったがイラン側によればある事実が発覚した。
自衛隊が国外で米軍との戦闘活動のための軍事演習は昨年に米国、日本、インドの海軍合同演習以来活発化している。一方、タス通信によればロシア海軍は今年、中国、エジプト、インドの海軍と軍事演習を行うという。ロシア海軍当局は軍事連携を強固にするため2016年に3国が複数の軍事演習を行う。
先のウクライナのマレーシア370便の墜落事件で米ロの対立が深まったばかりだが10月31日、今度はロシアに向かうエアバス機がシナイ半島に墜落し乗員乗客224名が犠牲となった。詳細な事故調査は結論が出ていないが、爆弾説のほかにエンジントラブルなどいくつかのシナリオが考えられている。
シリアのゴラン高原で、イスラエルが一方的に併合した地域に原油埋蔵が発見されてから3ヶ月。ジェイコブ・ロスチャイルド、ルパート・マードックなどの株主やディック・チェイニーを顧問とする米ジニー・エナジー社が1月から発掘を始めたことでシリア紛争が解決に向かうどころか、ゴラン高原を巡り、イスラエルとの紛争が起きる可能性を招くこととなった。
12月のOPEC 総会を前に、21日にウィーンでロシア、ブラジル、カザフスタン、コロンビア、メキシコの非加盟国5カ国を含むOPEC技術専門家会議が開かれた。会議の目的は、原油価格の下落と原油市場への対応を協議することで、12月のOPEC総会の動向を唸らすものである。サウジアラビアの財政赤字が膨らむなか、財政破綻を避けるために減産や原油価格の下限設定という方針転換に踏み切ることが避けられない状況に追い込まれている
昨年、ドイツの連邦情報局(BND)は、中東での不安化はサウジアラビアによって引き起こされるリスクがあると警告した。欧米の同盟国であるサウジアラビア、長年友好な政治的・経済的な関係を築いたドイツの情報機関が、このような声明を出すのは極めて異例とも思われた。しかし、この警告通り、2日のイスラム教シーア派聖職者ニムル師の死刑や隣国イエメンの空爆で、中東では宗派間の対立が激化、イランを巻き込む中東での戦争の可能性さえでてきた。
パリ同時多発事件を受けて、非常事態宣言が発令されてから、フランス警察当局は、イスラム過激派的思想(サラフィー・ジハード主義)を広めている疑いやイスラム国との関連のある人物、組織の調査を行ってきた。7日にはパリ郊外にあるモスクを閉鎖、銃器やイスラム過激派に関する書物を押収、指導者や関係者を逮捕した。これまで、パリ郊外にあるモスク3カ所、さらに計2,235カ所の住宅やビルが調査対象となり、計232人が逮捕、計334の銃器や弾丸が押収された。
ロシアのプーチン大統領は、主要20カ国・地域(G20)首脳会議後の記者会見で、「イスラム国」に資金提供している40カ国の中に、G20の加盟国が含まれていると発言した。イスラム国に参加している戦闘員のうち、約15,000~20,000人がイスタンブーのアタチュルク国際空港や地中海をフェリー経由でアダナに、トルコ経由でシリアとイラクに渡っている。
サウジアラビアのサルマーン国王)が、首都リヤドのキング・ファイサル専門病院の集中治療室に緊急入院した。サルマン国王の政策でイエメンとの戦争、シリアとイラクとの対立、原油価格の下落、中東における政治不安など、政治的、社会的、宗教的な不安を招いたとされる
ロシアのモスクワで8月25日からロシアが誇る最新の航空機材や防衛産業向けのハイテック製品が披露されるMAKS国際航空ショーが開催されている。去年からウクライナを巡って欧米とロシアが対立、それぞれが経済制裁を課し合う事態が続いている。対立の終わりが見えないなか、軍事産業だけは友好的関係が存在している。
メッカの中心にはもっとも神聖なマスジドハラームがあり、ここが街の中心でもある。巡礼者で溢れるこの場所からみえるところに最近新しい建物がたてられた。メッカ ヒルトンタワーズ。5星の高級ホテルである。
ロシアで新興国首脳、有力知識人や経済界のビジネスリーダーたちが集まって経済情勢を議論する、サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム(欧米のダボス会議のロシア版とも言われる会議)が6月16 〜20に開催された。今回注目されたのがサウジアラビアのサルマン副皇太子とプーチン大統領の会談である。
アフリカ東部のジブチ共和国はフランス、ドイツ、米国、日本の軍事拠点となっている。「アフリカの角」とも呼ばれる地域(エリトリア、ジブチ、ソマリア)に位置しており、紅海とアラビア海を結ぶ海峡で、インド洋への出口となっている石油供給路チョーク・ポイントであるバブ・エル・マンデブ海峡(下の写真)に面している。今このジブチ共和国に中国が軍事基地建設に動いている。
過激派や反体制組織によるテロとの戦いやイスラム教のスンニ派とシーア派との対立で紛争地帯に発展している中東では、湾岸諸国が長年米国から輸入してきた武器が実戦で使われているが、今後各国による武器輸入はさらに拡大するとみられる。
イエメンの空爆 (3月26日)は、世界最大の油田があるアラビア半島でのサウジアラビアとイランの代理戦争に発展する恐れがあることは記事に書いた。スンニ派のハーディ 大統領の政権拠点となっている人口59万人のアデンは、古くから欧州とインド洋を結ぶ通商の要衝であった。
フーシ(Houthis)は、イエメン北部を拠点に活動するシーア派の武装勢力でアブドル・アル・フーシに率いられ2014年9月にイエメンの首都サヌアに侵攻した。2015年1月に大統領ハーデイは辞意を表明、政府は転覆することとなった。
サウジアラビアによる隣国イエメンの空爆(3月26日)は、世界最大の油田があるアラビア半島でのサウジアラビアとイランの代理戦争に発展する恐れがある。今後の中東の将来と世界への影響は、イエメンでの情勢によって大きく変わることになる。
12月23日にロシア北西部アルハーンゲリスク州にあるプレセーツク宇宙基地からアンガラ(Angara)という名前の新型の大型ロケットが打ち上げられ、成功裏に衛星を軌道に運んだ。アンガラも米国のEELVと同じようにモジュール化して低コスト化と組み合わせの多様性に特徴がある新世代のロケットである。
オバマ大統領は10日夜、対ISIS(イスラム国)の包括的戦略として、イラクとシリアにおける特定のターゲット空爆とイラクとシリアの反政府勢力への武器支援、資金支援、軍事支援の拡大を主とする軍事作戦を表明した。シリアには、反政府勢力のFree Syrian Army、FSAやSyrian Revolutionary Front、SRFなどのような「支持できる」または「脅威ではない」という勢力はない。基本的には過激派「ジハード」に関与する勢力である
12月のOPEC 総会を前に、21日にウィーンでロシア、ブラジル、カザフスタン、コロンビア、メキシコの非加盟国5カ国を含むOPEC技術専門家会議が開かれた。会議の目的は、原油価格の下落と原油市場への対応を協議することで、12月のOPEC総会の動向を唸らすものである。サウジアラビアの財政赤字が膨らむなか、財政破綻を避けるために減産や原油価格の下限設定という方針転換に踏み切ることが避けられない状況に追い込まれている。
サウジアラビアの著名な政治アナリストDahham Al-‘Anziは15日のRTアラビアのTVインタビューで、アラブ諸国はシリア、アサド政権の交代を望んでおり、そのためには地上部隊の派遣が必要だけでなく、シリアの軍事侵攻は確実に起きると述べた。『サウジアラビアは核爆弾を保有している』と付け加えた。
米・トルコ軍はトルコとシリアの国境近くのシリア領土で軍事基地や軍配備を行っている中、米副大統領のジョー・バイデン氏は23日に、ダエッシュ(イスラム国)と戦う上で平和的解決が失敗に終われば、トルコと共に軍事解決を実施する準備は整っていると述べた。その後、25日に予定されていたシリア内戦停止を目指す平和会議が29日に先送りされた。
世界は今原油価格の下落の渦に飲み込まれている。価格の下落は過剰供給が止まない限り続く。過剰な原油は投資家の不安を募らせ市場を冷え込ませた。原油価格の下落に伴い過去6か月の過剰生産量は半減したが100万バレルもの原油が市場では法外な安値で取引されている
2015年12月ごろから東ウクライナの軍関係者が奇妙な新種ウイルスに感染したという報告が始まった。今日に至るまで真相は不明だが西側の主要メデイアは報道しなかった。親ロシアの情報筋によるとウイルスは米軍起源のものだという。ウクライナ健康省大臣Alexsandr Kvitashviiliは1月19日にウイルス感染による死亡者数が51名となったことを認めた。
ロシアがシリアのIS拠点の攻撃に潜水艦から発射したKalibr巡航ミサイルを使用した。ロシアは9月30日にアサド大統領からの要請でシリアのIS攻撃に踏み切った。これまでもカスピ海の艦船からKalibr巡航ミサイルでシリアのISを攻撃したが、潜水艦からの発射は今回が初めてである。
キャメロン首相は仏オランド大統領に続き、イスラム過激派組織のことを「ダエッシュ」(DAESH, DIISH, DAISH)の呼び名を使い、呼び名を巡り混乱を招いている。議会下院で、ダエッシュを標的とした空爆の参加への動議の可決を2日に求めた際に使った。キャメロン政権は今後、ダエッシュの呼び名を使うと宣言した。
核弾頭をISが手に入れる可能性を検討すると、イラン核兵器の製造の可能性がなくなった現在、パキスタン経由のルートが最も可能性が高い。かつてMuslim Brotherhoodの一員であったWalid ShoebatによるとパキスタンにISがキャンプを設営した。
ロシアのプーチン大統領は、主要20カ国・地域(G20)首脳会議後の記者会見で、「イスラム国」に資金提供している40カ国の中に、G20の加盟国が含まれていると発言した。イスラム国に参加している戦闘員のうち、約15,000~20,000人がイスタンブーのアタチュルク国際空港や地中海をフェリー経由でアダナに、トルコ経由でシリアとイラクに渡っている。
中国がジブチ政府との合意で今後10年間にわたり港湾を中心とした基地建設を本格化することとなった。中国軍の基地はアジア圏の国々のアフリカに物流拠点とすることを目的としているとされるが、弱体化した米国に代わって軍事的要所を押さえることも狙いのひとつである。
ロシアは反アサド勢力に対し、72時間で60回、50個所のISISの司令塔、武器倉庫、軍設備などを含む標的の空爆を行った。またロシア、イラン・シリア、キューバの軍事連合による大規模地上作戦が行われている。
イラクとシリア市民を対象とした、世論調査が行われ、その結果が公表された。調査によると、4年間続いているシリアの内戦下で、シリア国民の65%、イラク国民の75%は、平和的に共存できると考えている
EU代表のEUのモゲリーニ上級代表とイランのザリフ外相によりイランの核開発を阻止するための包括的共同行動計画が、2015年7月14日に長い交渉の末に合意された。イランの制裁措置終了と引き換えにウラン濃縮、重水炉をはじめとするイランの核開発規模が縮小されることとなった。
オバマ大統領の対イラン核兵器交渉は暗礁に乗り上げつつある。交渉期限6月30日の1週間前にイラン首脳は交渉再開の条件として、制裁の撤廃を求めた。ケリー国防長官のアメリカも交渉の席から脱退するという警告に対する、イラン側の実質的な挑戦である。
NPTが成果を出せないまま閉幕した。広島、長崎訪問への抵抗などの細かい問題は別にして、中東核武装化に反対する動きが成文化できなかった。中東にはイスラエルが含まれるが、この国の核武装化に関して欧米の責任が問われるからだ。
中東地域では、イラン以外にトルコ、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプトで原子力発電所の建設が進んでいる。各国の建設を請負っているのがロシアの国営原子力企業のロスアトムである。
中東の国々に広 がって国家を持たない3000万人といわれる民族が存在する。クルド人である。クルド語を話しスンニ派が多い彼らの祖先はオスマントルコに住んで いたが、第一次大戦後に国が分断され、トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアに分かれて居住を余儀なくされた。
北アフリカは中 東の紛争から遠いと思いがちだが、広大な砂漠の大部分を持つリビアは近代史の中で重要な役割を演じて来た。2月20日、そのリビア東部で同時多発テロがあ り民間人45名が犠牲となった。リビアの歴史をみればこの地の特殊な事情が浮かび上がる。
サウジアラビア主導のイエメン空爆が開始されて19日。空爆ですでに1,026 人の死亡者と2,242人の負傷者がでている。ここにきて、フーシ派の反体制武装勢力に加えてイエメンのスンニ派部族もサウジアラビアのイエメン国境地域で戦闘を繰り広げている。
サウジアラビア主導の10カ国による連合部隊が、イエメンで空爆を実施している中、エジプトで開催されていた外相会合(3月29日)で、アラブ連盟は「アラブ連合軍」を設立する決定案に合意した。
移民を通して世界に拡散しオスマントルコ以来の驚異となったイスラム文化。そのオスマントルコが1683年にウイーンを包囲した史実を描いた2014年の映画「神聖ローマ、運命の日、オスマン帝国の進撃」が注目を集めている。1683年に圧倒的な勢力でウイーンを包囲したオスマントルコが敗退した歴史をたどるとイスラム化の原点がみえてくる。
15日に開催された共和党予備選挙の候補者ディベートで、ドナルド・トランプと元フロリダ州知事ジェブ・ブッシュがISISの対応を巡り舌戦を繰り広げた。トランプ氏はISISメンバーの家族にも厳しく対応すべきと述べた。
サウジアラビアのアブドラ国王(91)が年末に首都リアドの病院に入院した。高齢であるため健康状態はここ数年注目されていたので、驚くべきニュースではないにも関わらず、サウジアラビアのタダウル株式市場は31日に6.5%と大きく下落した。
この月のレギュラーガソリン看板価格が164円/Lを突破し、ハイオク価格を思わせることになった。8月からの価格トレンドは一変して下がり続けているが、9月以降の下げ率が尋常ではなくなり、原油下落の記事が目につくようになった。11月には150円/Lを下回り半年で15円/Lという下落が止まらない。