ロシアとサウジアラビアの新たな同盟関係

June 25, 2015

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Photo: The London Post

 

 ロシアで新興国首脳、有力知識人や経済界のビジネスリーダーたちが集まって経済情勢を議論する、サンクトペテルブルグ国際経済フォーラム(欧米のダボス会議のロシア版とも言われる会議)が6月16 〜20に開催された。今回注目されたのがサウジアラビアのサルマン副皇太子とプーチン大統領の会談である。



 ロシアを公式訪問したサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン副皇太は国防大臣であり、経済開発最高協議会のトップ。今回同行したのが、アーディル・アル・ジュバイル外務大臣とナイミ石油大臣である。


 ロシアとの二国間関係、特に原子力の平和的利用、石油とガスのエネルギー分野、原子力技術、宇宙開発、軍事、投資などを含む分野での6つの協定を結び、協力関係の強化をはかることになった。


Photo: The National Business

 

原子力協定

 サウジアラビアはロシアの国営原子力総合企業ロスアトム社と今後20年間に計画している原子炉16基、約1,800万kWの電子力発電所のトータルシステムにおける協力協定を結んだ。

 

 海水脱塩炉と粒子加速器を含めた発電炉と研究炉の設計、建設、運転、廃止、核燃料サイクル・サービス、使用済み燃料と放射性廃棄物の管理、原子力の分野での専門人材の育成が含まれる。

 

 

原油同盟

 サウジアラビアはOPEC最大の原油産出国であるのに対して、ロシアは    OPEC域外の最大原油輸出国である。ロシアは5月にサウジアラビアを抜き、世界最大の原油輸入国である中国の最大原油供給国となった。

 

 サウジアラビアの原油生産は増加しているにも関わらず、中国での需要は4月比で5月に42%減少、ロシアからの原油輸入は20%増加した。その背景にはロシアと中国が貿易の際、それぞれの国の通貨を使用する協定を2014年に合意したことにある。原油取引に関しては、中国はロシアの石油会社のガスプロムネフチと4,000億ドルの長期契約を結んでいる。自国通貨で支払うメリットは大きい。これはサウジアラビアが維持してきた原油を米国ドルで支払うペトロドルシステム離れである。


 長期的にみて、サウジアラビアの中国市場シェアを確保するうえで、競合するロシアを避けることはできない状況にある。

 

 サウジアラビアはロシアと「原油同盟」を結ぶことは世界の原油市場の生産、価格、市場の安定には不可欠との考えを表明しているが、果たして同盟が結ばれるかは不透明である。まず、シリア、イランとイエメンに対する外交政策の違いや2014年にOPECが価格安定を目指す減産を見送ったことによる、原油価格下落がロシア経済に与えた経済的被害がある。


 上の図は中国の原油輸入量の国別推移である。2015年5月には中国の原油輸入がロシアからの輸入がサウジアラビアを抜いた(図は2014年までの統計)。

 

サウジアラビアの米国離れ

 サウジアラビア側も一年前とは、大臣の入れ替えや政策の方向転換、特にロシアに対する外交上の変化がみられる。米国との中東政策の違いによる米国への不満と不信がつもり、サウジアラビアは独自の外交を数年前から進めてようきた。米国との同盟関係は弱まっており、米国離れを反映するような政策が増えている。今回のロシアとの協定もその一つである。

 

 「ロシアは近代世界において最も重要な国の一つであるため、サウジアラビア王国への訪問を大いに歓迎します」とサルマン国王からの公式な招待を受けたプーチン大統領。そのサルマン国王もロシア訪問を正式に受けたことから、米国一辺倒からサウジアラビアのロシア・中国同盟への外交政策の転換がみえてくる。

 

 サウジアラビアが今後、原油を中国元で決済できるようなシステムを導入するようになれば、サウジアラビアのBRICS同盟との協調路線は確かなものと考えられる。