日本にハブ空港がない理由

Aug. 9, 2015

Photo: Passenger Terminal Today


韓国がハブ空港を目指していた仁川国際空港の利用客が減少して問題になっている。その理由は羽田空港の国際路線の拡充といわれている。確かに羽田の国際路線は滑走路の拡充に伴い、増大の一歩で、一昔前の「東京の玄関口」の活気が戻って来そうな気配だ。


成田空港と羽田空港をどう棲み分けるのか、どちらをメインの国際空港にすべきなのかの論争が再燃しかけている。東京の規模を考えれば空港が一つである必要はない。ニューヨークにはJFKとラガーデイアがある。がしかし、よく考えてみてほしい。東京に用事のある人、都内から国際線を利用したい人にとって羽田と成田、どちらが便利なのかといえば言うまでもないことなのに、成田、羽田ともに拡張に継ぐ拡張で玄関口を譲らない。


羽田の国際路線は発着数が増えたのだが、アメリカンの羽田-ニューヨークは廃止になった。朝5時だと都内からは何とか間に合うと考えたのだろうが、ちょっとした事故があれば乗れない為、直行便を頻繁に利用するビジネスマンにはリスクが大きい。


そこで都内からでも安全を考えて羽田近くに泊まる必要があったので、せっかくの直行便だが利用客は伸びなかった。台場の温泉施設と提携して夜間の簡易宿泊となるようにしていたが、この便を使うビジネスマンにはメリットがなく利用者が伸びなかった。


ラウンジが使えるかと思えば、ラウンジは出国検査場の後の為、夜中にチェックインできないので、ラウンジで朝を待つのもできない。ちなみに羽田は「24時間空港」と言っているが、夜中に空いているのはコンビニぐらいで、サービス業務の24時間態勢を考える必要がある。成田はどうかといえば発着時間帯に制限があるため「24時間空港」にはなり得ない。どちらの空港も世界の空港が夜間、どのように運営されているか一度、調べてほしい。


成田のLCCターミナルは第三ターミナルと呼ばれているが、直接車で行くことができないため第二ターミナルから500mを移動するか、専用バスに乗る必要がある。

成田は発着に時間制限があるので、滑走路を増やしてもメリットは少ない。LCCも制限時間内に飛べないと判断すれば、フライトキャンセルになり、次の日の機材振りに影響がでる。


成田を有効に使うのであれば「24時間空港」にする必要がある。それができないのであれば貨物空港として物流のハブ空港としてはどうか。一方の羽田はオリンピック前に拡張する予定だが、空港内のサービスを24時間にしないとハブ空港としては機能しないだろう。

 

またさらなる羽田の滑走路の増設については騒音問題があるということであるが、海側からの離発着で何故騒音問題が浮上するのかわからない。オープンスカイ交渉で決裂したままになっている日米間の交渉をまとめ、まともな時間帯に直行便が飛べるようになってほしい。成田に「東京」の名前を着せて強引な土地買収で国の威信をかけて建設してみたものの、肝心な利便性は無視されたままハブ空港に光がみえない。日本にハブ空港がない理由は簡単な話で、ここまで予算を投入した成田を引っ込めるわけにはいかないという、原発問題と同じ問題である。ずるずると先送りになるだけで決断できない。現状から判断して成田に乗客利用のハブ空港として未来はない。


結局、利便性から羽田を選ぶ利用客が(外国人と地方も含めて)圧倒的に多いだろう。羽田の滑走路増設と24時間サービス態勢を2020年までに実現したい。なお成田で羽田からの国内線乗り継ぎに長い列をつくる羽目になる外国人は、12時間以上のフライトで疲れ切っていてバスで羽田に向かわせるのは「おもてなし」として恥ずかしい。成田で一泊すれば空港周辺のホテルの周囲は狸とでくわしそうな真っ暗闇。どちらを充実させるべきか結論は出ているのだろうが踏み切れないのなら、いっそ利用客に投票してもらってはどうか。