暴かれるアメリカ史最大の権力乱用 Part 1 ~FISAメモ

31.01.2018

Photo: dw.com

 

 米下院情報委員会は29日に、デビン・ヌネズ下院情報委員長の機密FISA(外国情報監視法)メモの一般公開を決めた。メモの内容は、オバマ政権がクリントン氏を大統領選挙で勝利させるために、 FBIと司法省がFISA令状を不正乱用、トランプ氏と家族、複数の側近を盗聴、監視活動を行っていた事実に関するものである。

 

 これらの事実を国家安全保障局 (NSA)が内部調査で明らかにし、FISA Court (外国情報監視裁判所) の内部調査で再確認されている。すでに公開の支持を表明しているトランプ大統領の署名後、4ページのメモは今週中に公開される予定である。

 

FISAとは

 FISA令状は通常、外国勢力(特に敵対関係にある国)と関わり(スパイ活動、テロ活動、国家反逆活動など)がある人物(主にアメリカに永住権を持つ外国人や滞在中の外国人)を対象に監視を含む諜報活動を行う権限である。政府機関がFISA裁判所にFISA令状を申し出て、令状が許可されない限り、監視を含む諜報活動を行うことができない。政府機関のみがFISA令状を活用、対象者の監視を含む諜報活動を行うことができる。

 

FISA の不正乱用

 FISA令状が不正乱用されたのは、2015年11月から2016年4月18日の期間。司法省と首都ワシントンD.C.を拠点とする調査会社フュージョンGPSは、トランプ氏と側近の情報を入手する目的で、FISA令状を使ってNSAとFBIのデータベースをアクセスした。その結果、フュージョンGPSは対立候補の調査をNSA データベースを使って行うことができた。

 

 このFISA令状の不正乱用はマイケル・ロジャーズNSA長官によって発覚するまで続いた。NSA内部調査によって、政府機関でない民間請負会社であるフュージョン GPSが FBIを通じてNSAデータベースを不正アクセスしていたことが確認されたことで、2016年4月18日にフュージョンGPSによる NSAデータベースのアクセスが拒否される。しかし2016年10月にトランプ・ドシエを元に、FBIと司法省は再びFISA令状を不正に取得した。

 

 NSA内部調査の報告に基づいてFISA Court (外国情報監視裁判所)は独自の調査を実施、その結果、FBI が第3者機関である民間請負会社にNSAデータベースへの不正アクセスを許可していたことが確認され、「生情報の不正公開」と題する100ページの報告書で明らかとなる。このFISA裁判所の報告書の内容を要約したものがFISA メモである。

 

Part2に続く

 

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