キャッシュレス化に歯止めをかけるスェーデン

15.06.2018

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 世界で最もキャシュレス化が進んでいるスェーデンでは、完全なキャシュレス化に伴う社会的・経済的リスクが懸念され始めた。現金の流通を残す方向にスェーデン国立銀行や議会は、金融機関に一定の現金保有と現金取引ができることを義務づける法案を検討している。

 

 中央銀行に当たるスェーデン国立銀行は、急速なキャシュレス化による現金決済に関わるインフラの消滅を最も懸念している。特に、自然災害、戦争、電力供給網の障害、ハッキング、技術的障害などにより電子決済ができなくなった状況の場合、生活や経済活動を維持するには現金が必要となる。流通している現金や現金決済を可能とするインフラがなくなれば、危機的状況のなかで社会機能が完全に停止する危険性があるとした。

 

現金流通が増えている先進国

 キャシュレス化が進んでいる北欧諸国とは逆に、他の先進諸国では2007年以降、現金の流通量が増えている傾向にある。国際決済銀行(BIS)によると、主要先進国のお札と小銭を合わせた現金流通残高のGDP比は2016年には平均9%で、2000年の7%から増え続けている。

 

 日本の現金の流通残高のGDP比は20%と2000年の13.5%から大きく増えている。スイスの12.3%、ユーロ圏の10.7%、米国の8.1%、英国の3.9%など他の主要国と比べても高い。世界的に仮想通貨や電子マネーによる電子決済手段が広がりつつあるなかで、北欧諸国を除く主要国の現金流通量は2000年から増えている傾向にある。

 

 

 スェーデンは反対に、現金流通残高のGDP比は最も低い1.4%で、2000年の4.4%から大きく減っている。キャシュレス化が進んだ背景には、政府が進めてきた金融機関に対する「現金決済の義務」の緩和がある。現金を扱う上でのコスト負担を無くすことで、経済の活性化を目指してきた。そのため、現金を扱う金融機関は激減、小売店での決済も電子決済となった。

 

 今では、法的紙幣でありながら、現金決済ができない状況にまでキャシュレス化が進んでいる。さらに、北欧諸国の国民は現金より電子決済を好む傾向が他の国より強いことが、キャシュレス化の加速につながっている。

 

 

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