サイバーナイフ

Dec. 27, 2014

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近、ガンマナイフ(注)から発展したリニアック(直線加速器)定位照射装置も開発され、脳腫瘍以外の患部へのガンマ線ビームの集中が可能になった。小型リニアックをロボットアームの 先端に取り付けたこの装置はサイバーナイフあるいはリニアック(直線加速器)定位照射装置と呼ばれる。位置制御は驚異的な精度0.2-0.3mmでMeV領域のガンマ線ビームの照射が可能である。

 

 リニアックビームの微細化により微小点照射が可能となったが、同時に照射位置モニタとフイードバックによる定位照射が必要となる。複数のモニターシステムとロボットアームの制御 技術の連携、それを制御する頭脳となるソフト(制御と治療計画)の高度化によってはじめて可能となった装置である。

 

 サイバーナイフはスタンフォード大で脳神経外科医(ジョンアドラー教授)が考案したものであるが、シリコンバレーのIT技術の恩恵といわれる。ロボットアームの位置を制御して1000以上の方向からビーム照射できるため、癌患部に到達する経路の通常細胞のダメージが少なくて済む。また患部が1cmの範囲で移動しても瞬時に検知して、ビームを制御するフイードバックにより、ターゲットを外さない。このソフトには(ミサイルの位置が変動しても常に進行方向がターゲットに向かう)巡航ミサイルのターゲット照準ソフトが用いられている。

 

 

 (注)ガンマナイフ

 ガンマナイフは放射線源(Co60)を収めた円筒を並べてフォーカスさせることによって、弱いビームである一点(癌細胞組織)を集中照射するため のビーム照射システムである。構造上、フォーカスしやすい頭部を囲むヘルメット状の脳腫瘍治療用が多い。ガンマナイフは放射線源に同位体を用いるため、リ ニアック治療とはいえないが小型リニアックを多方向から集中させるサイバーナイフ(リニアックナイフ)の原型である。

 

 

 複雑化する医療機器はコストが増大する傾向に有る。サイバーナイフは汎用のリニアック治療ではあるが、ハイテク機器でその例外ではない。いまのところ財政的に余裕のある私立病院に設備が導入されているにすぎない。一般の患者の手が届かないところで、富裕層だけが恩恵を受けるのであれば 意味が無い。

 

 汎用のリニアック治療は診療報酬の点数が低いことで万人に開かれた治療法ではあるが、サイバーナイフのような高度の治療システムの診療が全ての患者の手に届くのにはまだ時間がかかりそうだ。高額の治療費を払える富裕層のみが最新治療の恩恵にあずかれる、という「診療の不公平さ」はあってはならない。