9.11への関与疑惑で集団提訴されたサウジアラビア

27.03.2017

Photo: gigazine

 

 2001年の9.11アメリカ同時多発テロ事件から16年目となる2017年3月23日、遺族と12社以上の米保険会社はサウジアラビア政府を集団提訴した。800人の被害者の遺族と現場に最初に駆けつけ負傷した警察官や消防隊1,500人の家族は、ニューヨーク市のマンハッタン連邦裁判所でテロ支援者制裁法(JASTA)(注1)に基づいてサウジアラビア政府が9.11テロ事件に関与したことで、損害賠償を求めた。

 

(注1)JASTA (Justice Agaist Sponsors of Terrorism Act)2016年5月に上院で可決され、9月に下院で可決された法案。9.11へのサウジアラビアの関与疑惑が深まる中で国際的な提訴を可能にした法整備がなされた。このため法案整備でサウジアラビアと米国の緊張関係が高まった。

 

 

訴訟によると、以下の事実がサウジアラビアの関与を決定づけるとしている。

 

–19人のハイジャック犯たちのうち15人はサウジアラビア出身で、3人はサウジアラビア政府関連の仕事をしていた。

 

–ドイツのサウジアラビア大使館高官が首謀者で実行犯のモハメド・アタを支援していた。

 

サウジアラビア大使館高官がハイジャック犯のサレム・アルハズミとハリド・アル・ミルダールを9.11事件の18カ月前から英語研修、アメリカ社会に溶け込む方法、住居、クレジットカードと現金の提供などの支援を行っていた。

 

9.11事件の前夜に、サウジアラビア政府高官は実行犯たちが滞在していた同じホテルに滞在していた。

 

ハイジャック犯たちのパスポートには、イスラム過激組織アルカイーダ支持者であることを示すマークが付けられていた。

 

サウジアラビアの複数の慈善団体(米国ではテロ支援組織と指定されている)がアルカイーダに資金提供をしていた。このことをサウジアラビア政府は容認、資金提供ルートを隠蔽した。

 

全ての慈善団体はオサマ・ビン・ラーディンと深い関係があった。

 

 

 全ての告発内容は、FBIによる9.11捜査で集められた確信的な証拠に基づく。サウジアラビア政府は米国の同盟国でありながら、テロ活動を支援、9.11テロ事件に深く関与していたことの責任を求める提訴である。

 

 サウジアラビア政府への集団提訴で、米国・サウジアラビアの関係、財政悪化が懸念されている。また2018年に予定されているサウジアラビア最大の国営石油会社のサウジアラムコの株式上場への影響は避けられないとみられる。