世界139カ国を再生可能エネルギー比率100%にするロードマップ

09.02.2018

Photo: wattsupwiththat

 

再生可能エネルギーを主要な電源とするには様々な問題が累積している。その中でも不安定な出力はベース電源となり得ないとされて来た。最新の研究でスタンフォード大学を中心とする研究チームは、再生可能エネルギーで世界20地域139カ国の電力需要を賄えると主張、そのための手法を発表した(Jacobson et al., Renewable Energy online Feb. 3, 2018)。

 

研究チームはまず電力需要を①輸送、②冷暖房、③産業(工業・農業・林業。漁業)の3つのカテゴリーに分類し、世界20地域139カ国の電力需要を2050年までに100%再生可能エネルギーで賄うロードマップを作成した。ロードマップでは2030年までに再生可能エネルギー比率を80%としている。

 

今回の研究結果をもとに研究チームは、完全な再生可能エネルギー依存が技術的、経済的に達成可能な目標だとしている。またこれによってCO2排出量の削減とともに3-700万と言われる大気汚染に関連する病気による死亡者を救うことができる。2015年に発表された最初の計画では実行案に選択肢がなかっっため、今回の計画では再生可能エネルギーの内訳に幅を持たせた。

 

鍵となるのは風力、水力、太陽エネルギーの発電と蓄電を2050年までに予想されるエネルギー需要に適応させることで、このため20地域139カ国に分けて2050-2054年の研究対象期間について、30秒ごとの需要変化と変動する再生可能エネルギーの基本となるモデルを構築、次に貯蔵可能エネルギーと需要増加率を考慮してモデルの高度化を行った。

 

 

Credit: Stanford University

 

 

今回の研究で再生可能エネルギー比率100%を達成するのに最も重要な問題は再生可能エネルギーと需要の適合させることで、経済的な破綻なく既存技術で可能であると結論している。再生可能エネルギー比率100%が決して理想論ではないことが数値的に確認されたことで、達成できるかどうかは今後30年の努力次第ということになった。ロードマップを実行するかどうか、2018年は今後の30年で成し遂げられるかどうかが決まる正念場となるかもしれない。