ロシアが進める自国仮想通貨「クリプトルーブル」

29.01.2018

Photo: blokt.com

 

 2017年10月にロシアのプーチン大統領は、ロシア独自の仮想通貨「クリプトルーブル」(CRUR)を発行することを発表した。そのクリプトルーブルを法定通貨とする法案が議会に提出され、その導入に向けての法整備が着々と進められている。

 

 

 法案によると、ロシア国内ではクリプトルーブルが法定通貨として使われるが、ビットコインなどその他の仮想通貨を合法的に使うことはできない。クリプトルーブル以外の仮想通貨の売買、決済使用、マイニングは全て禁止となる。入手方法は簡単で、通常のルーブルをクリプトルーブルにいつでも交換できる。自国仮想通貨の最大の特徴は、ロシア政府又は公的機関のみが発行し、政府又は公的機関以外のマイニングは禁じられ、完全に政府の管理下にあることである。

 

 

 仮想通貨を巡る課税も明確にしている。政府がクリプトルーブルの取引をブロックチェーンで監視できることから、クリプトルーブルを不正入手した場合(出所が証明できない場合)、13%の課税が課せられる仕組みとなる。また、クリプトルーブルのトークンの購入時の価格と売却時の価格の差額(利益)に対しても13%の課税が課せられる。

 

 クリプトルーブルの導入は経済のデジタル化に伴っての通貨のデジタル化と言われているが、2014年から続くウクライナ問題を巡っての米国やEUの対ロシア経済制裁への対策として、導入の必要性が重視されている。さらに、国際銀行間通信会(SWIFT)を通じて国際決済を行う必要性が無くなるうえ、クリプトルーブルは取引コストが無い決済方法となるため、ロシアへの投資資金の流入が期待されている。

 

 しかし、ロシア中央銀行は自国の仮想通貨に留まらず、BRICS 若しくはユーラシア経済共同体(EAEC)の加盟国内で使われる共通の仮想通貨の開発と導入も検討している。ユーラシア共同体に参加する近隣諸国のベラルーシ、カズフスタン、ウグベキスタンなどでも仮想通貨の導入が検討されている。自国が主導する仮想通貨圏の成立はロシアが先掛けて導入を進めている理由の一つでもある。

 

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