米債務残高は対GDP比で1,832%とする最新レポート

10.09.2019

  米投資顧問会社のAB Bernsteinが8日に発表したレポートが、ウオール街の金融専門家の間で注目を集めている。レポートは債務危機が必ずおきるとは限らないと前置きしたうえで、米債務残高は対GDP比で109.45%ではなく、1,832%であると指摘した。

 AB Bernstein による債務残高の計算には、本来の政府、家計、事業会社、金融機関の各部門の債務に加えて、将来支出義務がある公的年金、医療保険 (Medicare)、社会保障 (social security)の負担が含まれている。各項目の対GDP比に占める内訳は以下である。

  • 連邦、州、地方政府の債務残高は100%
  • 家計部門と企業部門の債務残高は150%
  • 金融機関の金融債務残高は450%
  • 現在の社会保障信託基金の債務残高は27%
  • 全ての社会保障制度を継続するための支出負担は484%
  • 本来の75年ではなく「無期限」で計算された全ての社会保障義務支出負担は633%

 トランプ大統領は2016年の大統領選で、米債務問題を8年で解決することを政治公約とした。しかし、大統領就任前に19.9兆ドルの債務残高は2019年3月には22兆ドルまでに増加、 2020年には29兆ドルに達する見通しもでている。債務問題は解決に向かうどころか、債務はさらに拡大傾向にある。