人口構造の変化が進むドイツ:大いなる交代

11.11.2019

 ドイツは深刻な少子化と高齢化、大規模な移民流入、年々増加しているドイツ人による他国への移住により、今後20年をかけて人口構造が大きく変化すると予想される。2040年には、ドイツの人口の35~40%は移民と移民のルーツをもつ人たちで占めると予想されている。

 ドイツの雇用調査研究所の移住者調査によると、2040年までに移民とその子孫、移民のルーツをもつ人たちがドイツ人口に占める割合が現在の25.5%から35%~40%に増加すると見込んでいる。既に、ドイツの多くの主要都市では移民の人口が40%を超えている。シュツットガルトでは44.1%、ミュンヘンでは43.2%、ニュルンベルクでは44.6%と過半数を超える勢いで増加している。その反対に、民族的にドイツ人とする白人の人口は減少が急速に進んでおり、少数派になる方向に向かっている。

 

 主要都市のなかでも急速に移民の人口が増えているのがフランクフルトで、2017年にドイツ都市として初めて移民とその子孫の人口が51.1%と過半数となった。これらの移民人口の高い都市では、いずれ移民は人口の65~70%にまで増え、民族的にドイツ人とする白人の人口は少数派となると予想されている。

 さらに、将来のドイツ社会の人口構成に大きく影響すると思われるのが、6歳以下の児童の42%が移民の家族に属していることである。2017年にドイツ政府が移民の家族呼び寄せを容認したことから、家族の大量流入が起きたことが大きな原因となった。一家族の子供の数が多いたけでなく、多くのイスラム国では複婚が許されていることから複数の奥さんと家族がドイツに呼び寄せられたのも子供の人口が多い理由である。

 

 2016年のドイツ人の合計特殊出生率(女性が生涯に産む子供の数の推計値)が1.4に対して、移民が多いシリアでは2.98、イラクでは4.58と一家族の子供の数が多いため、子供の人口が大きく増え、近い将来6歳以下の移民のルーツをもつ児童も過半数を占める傾向に向かっている。
 女性の出生率が高いことに加えて、多くのイスラム国では複婚が許されていることから複数の奥さんと家族をドイツに呼び寄せる。

 人口構成だけでなく、多くの移民がイスラム教であるため、歴史的にキリスト教であるドイツは宗教面でも大きな変化を迎えることになる。2000~2016年にドイツに渡った移民のうち86%がイスラム教であった。これまでの傾向が無期限に続くと推測すると、2016年に全人口の6.1%であったイスラム教の人口は2050年には19.7%まで増加すると見込まれている。