世界で最も不動産バブル崩壊のリスクが高い7都市

18.10.2019

photo: thereformedbroker.com

 

 スイスのUBSが毎年発表する「不動産バブル指数」の2019年版によると、世界で最もバブル指数が高かった都市はミュンヘンであった。バンクーバー(カナダ)と香港(中国)に加えて、2019年に新たにバブル崩壊「危険数位」にある都市に加わったのがトロント(カナダ)、フランクフルト(ドイツ)、アムステルダム(オランダ)とパリ(フランス)である。EU諸国のほとんどの都市で低金利と富裕層の拡大に伴う需要による不動産価格の上昇が見られる。

 

 不動産バブル指数は、各国の経済成長に反して過剰な不動産価格の高騰が見られ、バブルが弾ける可能性が高い世界都市を測定している。各都市はバブル指数により、「不動産バブル崩壊リスクが高い」、「不動産価格が過大評価されている」、「経済に見合った不動産価格」と「不動産価格が過小評価されている」の4段階で評価される。また、レポートには各都市において住民の住宅取得負担度を示す価格対収入比率での分析を行っている。

 東京は11位で「バブル崩壊リスクが高い」のワンランク下の「不動産価格が過大評価されている」という結果となった。2016年から39%の価格上昇を見せてはいるが、最も高いミュンヘンの半分で、他の主要都市に比べても低めの数値である。

 対象となった24都市中、「不動産価格が過大評価されている」には11都市(東京、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、ニューヨーク、ロンドン、ジュネーブ、マドリッド、チューリッヒ、ストックホルム、モスクワ、シドニー、テルアビブ)が含まれている。「経済に見合った不動産価格」の都市は、ボストン、ミラノ、ドバイ、シンガポールの4カ国で、「不動産価格が過小評価されている」はシカゴの1都市であった。

 住宅取得能力に関しては、専門職の平均収入で60平米のアパートを購入するに当たって住宅価格は何年分の収入に匹敵するかを示す価格対収入比率を分析している。パリの15年、ロンドンの14年、シンガポールの12年につづき、東京は11年の結果であった。

 不動産バブル崩壊リスクの高い都市が毎年増えていることで、バブルが崩壊した時の深刻度は増すばかりである。特に今回注目するのは、ドイツの主要2都市が高いリスクを抱えていると指摘されたことである。バブルがもし崩壊すれば、欧州経済に与える影響は深刻である。