ドイツが直面する高放射性廃棄物の最終処分の問題

05.12.2019

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 福島原発事故のあと、ドイツは2022年までに原子力発電所を全て閉鎖することを決めた。2011年から原子力発電所を段階的に閉鎖してきたが、現在稼働中の7つの原子力発電所が2022年までに閉鎖される。あと2年のタイムリミットが近づくにつれて、高放射性廃棄物の安全な保管場所を探すのが深刻な問題となっている。

 全ての原子力発電所を閉鎖した段階で、約28,000立方メートルの高放射性廃棄物、使用済みの燃料棒を入れた約2,000個の容器を埋めなければならない。今後、数百万年間にわたり安全性が確保できる最終処分場を探すことが必要となる。
 
 ドイツは高放射性廃棄物を輸出する計画がないため、ドイツ国内で全てを保管する予定である。現在、ドイツ全土の27カ所の原子力発電所近くの施設で一時的に数十年間保管されている。

 最終処分場は、地震が起きない、水源が近くにない、地下岩盤が強いなどの条件を満たす地質学的に安全で安全保障上問題がない場所でなくてはならないことに加え、最終処分所の決定にあたり、住民の理解を得る難しさがあることから場所を探すのが深刻な問題となっている。

 「核時代」が始まってから70年、フィンランドは核廃棄物を安全に保管する施設を建設中であるが、フィンランド以外の国では安全な保管場所を持つ国はないのが現状である。原子力発電所の耐用年数は40年、最大で60年と言われている。多くの先進国で耐用年数を迎えているなか、ドイツと同様、高放射性廃棄物の最終処分の深刻な問題を解決しなければならないことになる。