フランスで激化する反政府デモ

21.11.2018

Photo: ansamed.info

 

 地球温暖化対策の一環として、フランス政府は2017年から内燃機関(ICE)への燃料増税と炭素税(注1)を段階的に実施してきた。ICEへの課税をEVなど低CO2排出車への切り替えの促進策としているフランス政府に対し、ガソリンと軽油価格の高騰やこれまでの政府エネルギー政策への不満で、17~18日フランス全土2000カ所で市民による大規模な抗議デモが行われた。

 

(注1)燃料の炭素含有量に応じて、排出ガス規制とEVなど程排出ガス車の普及を目的として国などが企業や個人の使用者に課す税金。

 

 今回の抗議運動は「黄色のベスト(gilets jaunes)」と呼ばれ、増税に反対する市民が黄色のベストを着て、各地で道路を封鎖するなどの抗議デモを行った。フランスでは、車内に黄色のベストを装備することが義務づけられており、車を運転する人は誰もが持っているものである。約28万人以上の一般市民が抗議デモに参加し、ガソリンと軽油税の引き上げの中止を求めた。

 

 今年だけで、ガソリンは15%、ディーゼル燃料(軽油)は25%値上がりしており、交通手段や職業上、車に頼らざるを得ないトラックなどの運送業者、タクシー、バスなどの交通業、一般市民への経済負担の影響は大きく、抗議行動への支持は拡大している。特に、抗議を呼びかけている「黄色のベスト」運営組織はSNSを通じてこれまで630回のデモを呼びかけて、今後もさらに大きいデモ集会が起きると思われる。

 

 マクロン大統領の支持率低下と共に、この黄色のベスト運動は拡大し続けている。燃料増税に反対する黄色のベスト運動はさらに大きな反マクロン運動へと発展していく勢いがある。「富裕層のための大統領」と呼ばれているマクロン大統領が進める徴兵制の復活、年金受給の年齢引き上げ、「労働改革」による低賃金や雇用の不安定化、公共施設の民営化、移民増加による犯罪増加と治安悪化など数々の政策に国民の不満が高まっている。その不満を持つ市民がデモによって団結力を強め、反マクロン勢力の潮流となることが予想される。

 

 マクロン大統領の支持率は過去最低の21%まで低下している。最新の世論調査では、フランス国民の71%はマクロン政権を評価しないとしている。また、11月14日のIFOP世論調査では、66%は今後数ヶ月のうちに「社会的混乱」が起きると反マクロンの感情がフランス全土で高まっている(下図参照)。

 

Updated: 25.11.2018 16:17

 

この記事を書いた時点の21日ではデモの映像は入手できなかったが、4日後の現在では様々なメデイアが映像を流している。特徴としてはデモ隊の多くはフランス人で高齢者も多く、バリケードを築く黄色いベストの一団が高級ブテイックの並ぶ目抜き通りを占拠している。反マクロンの潮流がフランス全土に広がりを見せている。

 

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