太陽フレアはフレアは巨大なエネルギーを持つ太陽表面の爆発で、音速を超える速度で数10万Kmも伝播する衝撃波が生じる。フレアの大きさは数万Kmにも及ぶため、地球をかすめることはたびたびで、これに覆われると電離層だけでなく地球上の導体全てに強力なパルス電流(EMP)が流れて、機器や送電網を破壊し尽くすこともあり得る。
フレア情報は現代社会が機能するための基本情報で、宇宙天気予報が異常があればいち早く知らせる。ただし日本では出がけに天気予報はチェックする人はいても宇宙天気予報を気にする人は少ない。しかしフレアがひとたび猛威を振るえば社会機能は完全に麻痺しパニックが訪れる。
フレアには台風や地震と同じようにいくつかの等級に分類される。例えば宇宙天気予報サイトをみると
2015/05/06 09:40 更新5日22時5分(UT)に、太陽面でX2.7フレア(22時11分(UT)に最大、22時15分(UT)に終了)が発生しました。
とある。
X2.7フレアとは太陽フレアの規模の指標である。 太陽全面から放射されるX線強度の最大値によって、低い方からA, B, C, M, Xの5つの等級に分類され、Xが一番強いクラスとなる。等級間の規模は1桁であるので、Xクラスは頻繁に観測されるCクラスの100倍の規模となる。
Xクラスは大規模なフレアで大きな磁気嵐を発生させる。これが、通信・GPSなどに影響を及ぼす。X2クラスのフレアが発生すると、オーロラはカナダ・ブリティッシュコロンビア州とアメリカ・ワシントン州の国境近くでも観測できる。つまり、フレアが強くなると、オーバルと呼ばれるオーロラが出現するリングの半径が大きくなる。
フレア等級を決めるのはGOES衛星(注1)のX線望遠鏡である。GOESが太陽嵐を観測してから8分でEMPが地球に到達して被害があらゆる導電性の物質(金属ワイヤー)に接続される機器が被害を受ける。これによって電子デバイスは破壊され電力系統もダウンして社会混乱が引き起こされる。光ケーブルは被害がないが両端の電子機器が電力系統からのEMPでダウンする。
(注1)GOES (Geostationary Operational Environmental Satellite)は米国の静止気象衛星で太陽からのX線を望遠鏡で観測し太陽活動をリアルタイムで監視している。運用は2基体制で8年の動作となるため1975年からこれまでに4世代にわたり20基が打ち上げられ交代しながら、フレア画像を送り続けている。観測波長ごとに米国本土のイメージと太陽フレアイメージが公開されている。
EMP対策は進んでいないが我々の社会が脅威にさらされていることは事実である。またEMPの副次的効果として我々の環境を太陽からの紫外線から守っているオゾン層がダメージを受けるが、その規模によっては紫外線を浴びて地球上の生態系が致命的な打撃を受ける場合もあり得る。GOESの情報を伝える宇宙天気予報をみて外出するのが賢明かもしれない。