世界中で増大傾向にある国外移住希望者

11.12.2018

Photo: fee.org

 

 欧州や米国など世界の先進国で移民の問題が深刻化しているなか、ギャラップ社が世界規模で行った世論調査、ギャラップワールドポールによると、世界中で約7億5000万人以上(世界人口の15%)が可能であれば自国を永久に離れ、他の国への移住を希望している。

 

 

 調査対象となったのは世界152カ国、期間は2015~2017年、453,122人とのインタビューの移動平均に基づいた調査結果である。2007–2009年の16%から2010~2012年には13%に減少したが、2013~2016年には14%, 2015~2017年には15%と再び増加傾向にある。

 

 最も移住の希望が高いのが、サブサハラアフリカ、ラテンアメリカとカリブ海地域、中東と北アメリカである。人口の半分以上の成人が他の国に移住したいと答えた国ではエボラが猛威をふるっていた西アフリカのシエラレオンとリベリアの77%と66%、長年の政治不安と地震と津波の度重なる自然災害等に置かれてきたハイチの63%、西ヨーロッパのアルバニアの60%、西アフリカのコンゴの50%である。

 

 国民の間で移住の希望が高い国は、貧困国、紛争が続いている、政治不安、社会保証が十分ではない、経済不安(失業率が高い)、治安が悪いなどの特徴を持った国であるといえる。

 

 

Credit: Gallup

 

 最も移住したい国としてここ10年間トップに上げられてきたのがアメリカである。5人に1人(世界で約1億5800万人)がアメリカへの移住を希望している。アメリカに続きカナダ、ドイツ、フランス、オーストラリア、英国が移住先として人気が高い。驚くことは、日本が移住先ランキングの第9位にあることである。

 

 

Credit: Gallup

 

 先進国に移住したいという理由は納得できる。しかし恵まれない環境から脱出しても、努力して成功したい願望でアメリカを目指した欧州からの移民と異なる。移住先の国金の税金納付の結果である社会保障を目的にする移住希望者が増えていることは問題である。この傾向が続けば先進国の社会的混乱と財政破綻のリスク高める結果となるだろう。

 

 自国の問題解決をはかることを忘れ、他国に移住して安易にその恩恵にあずかるという考え方をするようになった理由こそが問題で、それに先進国が関係しなとはいえない。国連は各国に移民義務を押し付ける前に、移民希望者への本格的調査を行うべきではないか。