オーバーブッキングのリスクについて

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ユナイテッド航空のオーバーブッキング処理に批判が集まる

ユナイテッド航空にオーバーブックされた乗客がエアライン側と口論のすえに、引き摺り下ろされた事件が大きく報道される事になった。被害者?の妻が撮影した一部始終の動画がネットに出回ったためである。

 

発端はオーバーブッキングでよくある事だ。自発的な同意が得られない会社がランダムに選んだ4名の中で、どうしても都合で便を変更できなかったリベラル乗客が抵抗した結果、強制的に退去させられたためである。

 

オーバーブッキングそのものは航空会社にとっては合法である。昔の搭乗チケットの裏側には小さな字で、オーバーブッキングが起こり得ることを承知していることが書かれている。すなわち搭乗券の所持が必ずしも搭乗できるとは限らないことを承知の上で購入しているのだ。

 

オーバーブッキングの前兆はボランテイア募集

筆者の経験は米国のサンフランシスコから出発便を待っている時に起きた。アナウンスでキャンセルのボランテイアを募るものだった。最初は何気なくやり過ごしていたのだが何度もアナウンスが続き、ロビーが騒然としてきた。

 

そのうちに係員から呼び出され600ドルと引き換えに次の便にしてくれるよう依頼があった。依頼といっても半強制的なもので、抵抗は許されなかった。一日遅れれば始末書書かされる身にとってみれば、たとえお金と宿泊を保証してもらっても帰りたいと思った。しかし解決する問題ではないので、従った。当時の600ドルと言えば大金だし帰国が遅れてもいいかなという諦めの境地になった。

 

要領が悪かったエアライン

エアラインはオーバーブッキングの乗客を搭乗させなくても法的には問題ないのである。しかし今回の事件では選び方に納得しなかった可能性が高い。おそらくエアラインの管理システムにはオーバーブッキングに備えて、ランンダムに選ぶ機能がついているのだろうが、搭乗手続きの順番で決めるとか、工夫が足りなかった。また機転の効くフロアマネージャーなら今回の保証金800ドルを1000ドルに積み上げたらボランテイアが出たのではないだろうか。200ドルx4=800ドル余計にかかったとしても、騒動でエアラインの被る被害よりはるかに少ない。

 

最後まで抵抗した乗客は抵抗すればなんとかなると思ったのだろう。首をしめられた動物かエクソシストのように泣き叫ぶ姿は、静かに自分の運命を受け入れる日本人には理解できない光景である。

 

筆者は(経験してからであるが)、ボランテイアを募る段階で申し出たほうが良いと思っている。なぜなら騒動で出発時刻が大幅に遅れる恐れがあり、抵抗すれば世界中に動画が出回り取り返しがつかない事になるからである。じっと我慢してボランテイアを申し出よう。きっと拍手が起こりその場のヒーローになれる。抵抗すれば惨めさを味わいだけである。