南京で降りて行った中国の若者

Photo: skyscrapercity


ユネスコに中国が申請した南京大虐殺文書が登録された。実際には中国が主張する30万人虐殺の根拠は薄い。占領当時の人口が20万人であったからだ。しかし市内を日本軍機が爆撃したことは事実で、民間人の犠牲者もいたことは確かだが、日本軍機は米軍の絨毯爆撃や焼夷弾を使用したわけではないので、軍事目標を外した爆撃で予想される数が妥当であろう。


ただ中国が何かにつけて南京虐殺を出してくるので、心の中では複雑な思いであった。上海行きの新幹線に乗ったとき、私の席は通路側。1等は2+2配置だから窓際は中国人が座っていた。


日焼けした顔をみるとたぶん外では働く労働者だろう。歳は32-3の若者である。今風の若者らしくスマホをいじってこちらをみない。ふとしたきっかけで話をかけてきた。あなたは(労働者にみえなかったらしい)大学の先生ですか、という。精悍な身体つきだが肉体労働者ではない。彼らは新幹線の1等(日本でいえばグリーン車)には乗らないからだ。


まあそういうところです、といって世間話になったが、南京の案内が車内に流れた際に自分は南京に住んでいる、といった。出身国を尋ねられた。日本から来たと答えた。正直、ぎくりとした。虐殺の話を持ち出されるのか、と思ったからである。


一瞬凍りつく私に彼は言った。自分は子供の頃から南京に住んでいる。この街は美しい、ぜひ立ち寄ってみてほしい、というのだ。屈託のない笑顔に白いはがこぼれる。予想していなかったこの言葉にびっくりしたが、中国政府があれだけ洗脳しているのだから、この男が学校で教えられた南京虐殺のことを知らないはずはない。


きっと知っているが、日本人の私に気を使ってわざと会話から外して、逆に美しい街なのに、なぜ空爆したのかということをいいたかったのではないだろうか。美しい街を壊さないでほしい、という願いは世界共通の心の叫びだと思った。


男は南京で降りて行ったが最後まで南京虐殺が話題にならなかった。南京は美しい、そういうだけで言いたいことは十分伝わる思った。きっとこういう若者が増えていけば中国と日本の関係も変わるだろう。そう思って車窓に流れる南京市は確かに美しかった。

 

ユネスコに美しい街並みとして登録したのなら別の効果を生んだのかもしれない。ユネスコ事業そのものが国家間の争いに巻き揉まれるのなら、世界遺産はいらない。国連、ユニセフ、ユネスコに使うお金のもっと有効な使い道を考えるべきなのかもしれない。