サンピエトロの裏庭にて

 

 この写真でピンと来る人はあまり多くないのではないだろうか。これはサンピエトロ大聖堂の裏庭から撮ったアングルだからだ。

 

 一般の観光客の立ち入りは禁止されている。私の場合はローマ大学の先生にバチカン警察所長にお願いして、特別に許可してもらった。バチカンはローマ大学とコネクションが深い。

 

 裏庭は静けさに包まれて人の気配が全くない、しいていえば奈良の人気のないお寺に迷い込んだかのようであった。

 

 結構、緑が多いのも似ているし、散策していると京都の「哲学の道」のように精神が落ち着く。結構この場所好きになるかも。

 

 裏庭からみたサンピエトロは表のような荘厳なおもむきはない。変なたとえだが、表を金閣に例えれば裏は銀閣。

 

 歴史を感じさせる建物の壁。(おそらく修復度が低い)自然な歴史の重みが伝わってくる。

 

 きっとこちらの方がサンピエトロの本当の姿なのだろう。このドームの頂上にはエレベーターと螺旋階段で登ることができる。狭くてやっとすれ違える空間にある螺旋階段の先にはローマ市内を見晴らす、最高の景色が待っている。

 

 頂上に立つ12使徒の彫像の後ろからの眺めは素晴らしい。だが裏庭は歴史のを見て来た重みに満ちあふれている。