スイスの異常性について




 

 スイスのイメージといえばホルンと思う人が多いだろうが、それはつくられたイメージで実際には「アルプスのハイジ」的な牧歌的なのどかさはスイスには少ない。


 スイスの対EUの為替レートが介入上限撤廃で揺れ動いているが、その昔、フランスがフランであった頃に、フランス側からスイスに入国するとスイスフランへの両替時に半分を失うことになった。


 それほどスイスフランはレートが高いのにもかかわらず、スイス人は滅多に財布を開かない。しかもチューリッヒなどの都市の中心の物価は換算してみれば異常に高い。国全体が銀行のような国の印象であった。


 街を歩くと若いスイス人が包帯を巻いたり、足を引きずって歩いている光景を他の国とは比較にならないほど多いことに気がついた。散歩でうろうろする高齢者も多い。これはスイス人が荒っぽいアウトドアスポーツをする機会が多いようだ。


 確かにちょっと郊外にでれば山歩きが簡単にできるが、これがまた岩だらけなので足腰が鍛えられる。スイス人に山歩きに誘われることがあるが、彼らの言う「ちょっとそこまで」は普通のレベルではない。


 誘われてもtしぃていくと自分の足腰の弱さを思い知ることになる。フランスでもアルプスに近い場所には似たようなアウトドア派がいる。彼らは街でもスイスアーミーナイフを身につけていて、例えばワインが突如としてテーブルに出て来ても、慌てず目配せしてアーミーナイフで器用に栓を抜いたりする。


 基本的にガッチリした体格で、鍛えられているので世界中でアウトドアスポーツに飛び込んでいく彼らは、いまEUの経済危機に備えて強行措置に出た。いざとなれば国民全てが軍隊と化し自然の要塞に加えて、隠し要塞が国中にあって侵入する敵に焦土作戦で対抗する国。彼らは経済でも自国を守りきるだろう。


 チューリッヒの目抜き通りを歩いていると、ふと思わぬ看板をみつけた。畳屋の看板。きけば和風スタイル(畳に布団)は富裕層で人気があり、和風旅館まであるという。この国のしたたかな生き方はこういうことか。無駄なことにお金を使わず好みの生活スタイルを貫く彼らの生き方は考えさせられる。