ショッピングモールの功罪


 上海にはまだまだショッピングモールラッシュが続いている。すでに土地の人に聞いても一体待ちに何カ所あるのか、わからないという。


 もちろん郊外の発展途上?の中小都市の中には規模を間違えてひたすら建設し、廃墟(鬼城)と化したものも少なくない。


 ショッピングモールには流行があり、米国で育った昔のスタイルは円形に広がる吹き抜けを囲むように、ショップが建ち並び、1回には広場があって子供達のための遊び場やスケートリンクなどレクリエーション設備がある。それは古いスタイルである。


 次の世代はテナント数を増やすために長方形の建物になり、吹き抜けも長くなった。日本の各地に点在するイオンモールの初期の建築がそれだ。基本は同じであるが巨大なものは3階建てで屋上は駐車場スペースになっている。


 上海で新しいショッピングモールはすぐ見分けられる。吹き抜けがラウンドした長方形あるいは楕円形となっているからだ。このデザインは上海から始ったものではなかった。その流れの先端付近にいるのはドイツかもしれない。


 シュツットガルトには高級ショッピングモールがたくさんあって、最近のものはしゃっ肺よりずっと以前から曲線で囲まれた吹き抜けを持っていた。


 中国のショッピングモールは完成(いわゆるグランドオープン)を待たずに、出来たところから店を開ける。開店でテナント料を建築資金の返済にまわせる自転車操業で成り立っているからだ。


 店の内部は仕上がっているが、吹き抜けの上部は未入居で寂しいし、床工事が完成の息でないのでまるで工事現場の中にブテイックが現れたようである。


 ショッピングモールの規模が巨大化するとどういうことになるのか。ショップが1階、2階に分かれて2カ所になる。例えば衣料品なら性別で区別、apple shoppはipone/ipadとMacというように。


 ショッピングモールは規模が大きいほど集客力があるといわれる。しかしモールのテナントが変わりばえしなければ、やがて飽きられるだろう。セグメント化が進み競争は激化すると思われる。中国のモールラッシュには驚かされるばかりであるが、旺盛な購買力の対象は食糧品と衣料品で、およそ高級ショッピングモールでは手に入らないものばかりなので、現実とのギャップをどう理解すべきなのだろうか。