ヘミングウエイの家

 

 フロリダ半島の先端、それを飛び出して橋でできたハイウエイを突っ走ると、終点がキーウエストというちっぽけな島である。

 

 この小さな島を隠れ家としてこよなく愛した作家が、アーネストヘミングウエイである。島にはいくつかヘミングウエイスポットがある。お気に入りのBARや保存状態の良い生家である。

 

 ここはキーウエストでも人気で観光客が後を絶たない。ガイドの説明も耳を傾ければ部屋から彼が出て来そうな雰囲気である。

 

 逸話にことかかないヘミングウエイはハンサムで、娘達に受け継がれた彫刻のような顔立ちだった。しかし彼は意外とマッチョだった。パリのアパルトマンのトイレで当時は天井からぶら下がっていた水洗のチェーンを目一杯引いたら、引っ張りすぎて天井が崩れたという。

 

 家には大きいプールがあるが、水を張っても4-5日で水質が落ちるそうで、乾いた状態である。

 

 庭は野性味溢れる樹木が生い茂り、自然を愛したヘミングウエイの趣味がうかがえる。猫好きだった彼のために集まったのだろうか、10数匹の猫が住み着いていて主人のいなくなった屋敷を闊歩している。

 

 通りにでると毎晩通った行きつけのBARがある。

 

 キーウエストは小さいのでその後、埠頭にでればそれで全てをみたことになるのだが...

狭すぎる島に何故住んだのだろうか、という問いの答をみつけるために、また自然と足は生家に向かっている。

 

 おそらく...彼は人間より荒海と対峙して、自然の中にとけ込んで生活することで、人間の本質を描き易かったのではないだろうか。そんな気がした。