サンフランシスコの駐車

  

 サンフランシスコは坂道がいっぱい。初めてドライブすると、とても映画「ブリット」のようにはいかない。

 

 下り坂はともかく(というか、これはなかなか楽しい)、上りで前がみえなくなると、パニックだが決してブレーキを踏んではならない。後ろの車は止まらないので追突されるからだ。

 

 米国人の習性として道路を塞いで停車することは絶対しないからだ。これは身を守るための習性でもある。動いている時に撃たれるより止めて撃たれた方が致死率が高い。また駐車に置いてもいくつかルールがあることを教えられた。

 

 坂道の駐車方法は車輪を道路側に切って止める。上の写真では左の車が正解だ。右の車は不正解だ。4WDの重い車体をパーキングブレーキにゆだねてステーキ食べるのはどうかと思う。

 

 駐車場では最短で発車させて駐車場内でも決して止めてはいけない。暴漢に狙われ易いからだ。ドアがバタンとしまる。続いてエンジンスターター、そしてパーキングブレーキを解除、ここまで1-2-3のタイミングで行う。

 

 そういえば昔、一人で運転する女性が教われないように助手席に乗せる人形が流行ったことがある。どうみても人間にはみえないのだが、置いておけば安心なのだろう。

 

 シアトル方向に太平洋岸をドライブするとカープールレーンがあるが、この人形で走れるかもしれない。サンデル教授によるとこのレーンはいまではお金を払えば一人でも使えるので、"LEXUS Lane"というのだそうだ。

 

 発車の前に米国人はバックシート越しに後方確認、そしてGOとなる。もたもたしていると時にはチケット切られることもある。"Road Blocking"という立派な交通違反だそうだ。

 

 サンフランシスコは坂道と車が多いので「ブリット」のような運転はまずできないし、レトロな電車やトラム、市バス、BARTなどいくらでも交通機関があるので、市内で車の必要性を感じることはない。

 

 「ブリット」やハリーキャラハンにノスタルジアを感じる世代も少なくなったが、市電のベルやレールのきしむ音で映画のシーンが鮮やかに蘇る。