米大統領選挙に不正投票疑惑

29.01.2017

Photo: aol.com

 

 トランプ大統領は23日に、大統領選挙において「300から500万票」の不正投票があった疑惑をめぐり大規模な調査を要請することを明らかにした。調査は2016年の選挙に限定しないとしていることから、過去の大統領選挙、特に民主党勝利における不正投票の疑惑が浮上する可能性が高い。

 

 

ヒラリー・クリントン氏への不法移民票

 政治学者ジェシー・リッチモンド氏の研究調査によると、アメリカに滞在している不法移民を含む非市民約2,000万人のうち、6.4%にあたる約834,000人が不法に2016年大統領選挙でクリントン氏に投票した。

 

 

2014年選挙研究論文誌の論文「非市民はアメリカの選挙で投票しているか」

 論文では2008年と2010年の選挙では、約280万人の不法移民が投票し、大統領選挙、上下両院議員、州議員の選挙結果に大きく影響を与えたと結論している。2016年大統領選挙でも民主党の呼びかけで不法移民による投票は行われたとされる。

 

 

不法移民による投票の実態

 2015年にワシントンポスト紙記者が「不法移民がヒラリー氏を大統領に選ぶ可能性」と題した記事で、選挙権を持たない不法移民や非市民が2016年の大統領選の勝者を決めると指摘し、大きな反響を受けた。現在の選挙人制度によって、不法移民が増加すればするほど、共和党候補が大統領に選ばれる可能性が低くなるからである。

 

 

 米国憲法では国民が大統領を直接選ぶ一般選挙ではなく、538人で形成されている選挙人団で決まる。この選挙人の数は州ごとに、連邦上下両院の合計議席と同数が割り当てられる。上院議員の数は変化しないが、下院議員数の場合は10年ごとに州の人口変動によって人数が修正される。州の総人口統計には、不法移民や非市民も含まれる。つまり、不法移民を多く受け入れる州は下院議員数も増えることになり、選挙人の数も増える仕組みとなっている。したがって、これまで選挙人の数が増えた州は、ほとんど民主支持のブルーステートである。

 

 不法移民の受け入れ政策を進めてきた民主党にとって、不法移民が増加すればするほど、民主党支持が拡大、選挙で民主党に有利となるように選挙人数を増やすことが可能となる。そのため、不法移民政策(不法移民への選挙権)は民主党の勢力拡大の中心的政策である。

 

 

登録有権者名簿に不正の疑い

 2012年のピュー研究センターの調査は、180万人の死亡者が登録有権者として登録されている一方、登録資格のある5,100万人が登録していない(選挙投票権を持つ人口の約24%)こと、275万人が複数の州で登録、1,200万人の登録は無効か不正確であることを明らかにした。

 

 死亡者はほとんど民主党支持者で、選挙のたびに民主党候補に投票していることが判明した。一度登録有権者となれば、死亡しても永久に投票が民主党にいく仕組みとなっている。無効か不正確の登録に含まれているのが、住所変更、結婚歴の変更などによる氏名の変更届けがない有権者である。実に2,400万人が不正に登録有権者として登録、不正投票が大規模で行われてもおかしくないことを示した。

 

 

 2012の調査以来、有権登録者名簿への修正や改善はなく、不法移民がさらに増えている現状から、今後の調査結果でトランプ大統領が指摘する「300 から500万票」の不正投票を超える可能性がある。