米国における新型コロナウイルス感染アウトブレイクの最新状況 Part 2

26.03.2020

 

 米国は、18日には韓国、19日にはフランス、その後ドイツ、スペイン、イランを抜き、世界で3番目に感染者数が多い国となったが、2日ごとに倍増し、26日にはイタリアや中国を上回り、世界最多の感染者国となった。

 

 

ニューヨーク市の爆発的拡大
 ニューヨーク州の感染者数は米国で最多の32,013人(25日時点)、そのうちニューヨーク市は20,011人で米国の感染の「震源地」となっている。ニューヨーク市は中国の武漢市、イタリアのロンバルディア州、スペインのマドリードを上回って、世界最多の感染者地域になるのは避けられない状況にある。

 

 ニューヨーク市が25日に発表した新型コロナウイルスの感染状況によると、18~44才の年齢層の感染者が最も多く全体の44%、続いて45~64歳が34%を占めている。75歳以上の高齢者は8%と低く、これまでの高齢者が感染者の多くを占める傾向とは異なる。

 

 感染者の約13%が入院、入院患者の95%は感染症以外の病気(糖尿病、癌、心臓疾患、 免疫不全疾患、肺病、喘息、高血圧、肝臓疾患、腎臓疾患)を持っていると報告されている。

 現在、感染者数は3日ごとに倍増、14日から21日後にはピークを迎え、市の人口半分の400万人が感染すると見込まれ、今後、より深刻な状況を迎える。感染者の急増で、医療現場では医療従事者が着用するサージカルマスク、医療手袋、ゴーグルやガウンなどの個人防護具、人口呼吸器などの医療物資不足、ICUの病床の不足が深刻化している。

ファストレスポンダー感染拡大の危機
 ニューヨーク市では警察官、消防士、救急隊員など、事故や緊急状況に最初に対応するファストレスポンダーたちの間で感染が拡大して危機感が高まっている。感染経路が不明の市中感染が広範囲に広がっていたなか、PCR検査の実施の遅れが感染拡大につながった。そのため、感染者とは知らずに対応にあたったファストレスポンダーに感染が広がったのである。

 ニューヨーク市で最も感染者が多いクイーンズとマンハッタンの2つの区ではファストレスポンダーの感染者が多い。感染者の対応の際にマスクなどの個人防護具が不足しているため、感染者が増えている。市全体で警察官211人、消防士と救急隊員46人の感染が確認された。

感染拡大につながったミラノ・ファッション・ウィーク
 世界最大のファッションセンターであるニューヨーク市のファション業界は、市全体の雇用の約8%を占める。ファション業界で最大のイベントが、デザイナーやブランドの新作発表会が開かれるファッション・ウィークである。毎年世界のファッション四大都市であるニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリで開催される。

 ニューヨークでのファッション・ウィーク(2月6~13日)が終わり、ロンドン(2月14~18日)に続きミラノ・コレクションが開催されたのが2月の18~24日の期間。18日にはイタリアではまだ新型コロナウイルスの感染者は3人であったが、21日には229人に急増した。この期間にミラノを訪れ、帰国した人たちの感染が感染拡大につながった理由の一つと思われる。

関連記事

20.03.2020 米国における新型コロナウイルス感染アウトブレイクの最新状況 Part 1