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クルクミンはウコン(ターメリック)などのスパイスに含まれるポリフェノール化合物だが、ナノ粒子によるドラッグデリバリによって癌細胞を死滅させる働きがあることが最新の研究によって明らかになった(Kalashinikova et al., Nanoscale, June 09 (2017))。
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中央フロリダ大学とネマース小児病院の研究グループはこの研究でクルクミンのドラッグデリバリが小児癌に多い神経芽細胞腫の有効な治療法となる可能性を示した。クルクミンのナノ粒子によるドラッグデリバリの研究(上図)はこれまでにも多孔質シリカによる研究があるが、研究グループはCe酸化物(セリア)ナノ粒子(下図)を用いるもので、癌細胞を酸化で死滅(アポトーシス)させる能力が高く、副作用が無い。
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神経芽細胞腫はこれまで有効な治療法が無いため致死率が高かった。副作用の強い薬剤や放射線治療を用いないこの新しい治療法の登場で、患者の健康を損なわずに癌細胞を死滅させることができる。
クルクミンが癌治療に有効であることは知られていた(下図)。しかし有効な治療には高濃度のスパイスを標的(癌細胞)近傍に送り込まなければならない。そこで研究グループはナノ粒子に組み込んで薬剤を標的に送り込むドラッグデリバリと組み合わせることにした。
神経芽細胞腫は肝臓近くの福腎に形成される若い神経芽細胞の悪性腫瘍で米国では5歳未満の小児に年間700症例が報告されている。この癌細胞は標準的な薬剤に耐性であるためその治療は非常に難しい。
クルクミンは癌細胞を死滅させることは知られて板が水に溶けず不安定で、そのままでは薬剤とはならなかったが、直径100nmのナノ粒子によるドラッグデリバリでこの問題が解決できることを見出した。今回の研究によりクルクミンが神経芽細胞腫の癌細胞が副作用なしに死滅することが明らかなった。