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2018年11月13日、スペインはディーゼル車とガソリン車の販売を、2040年から禁止することを決めた。社会党党首ペドロ・サンチェス首相は、スペインが2050年までに経済を完全に脱炭素化するエネルギー移行法案の草案に、2040年から内燃機関自動車(ICE)の販売禁止を含めた。
脱炭素化に同調したスペイン
英国とフランスが2040年までに新規のディーゼル車とガソリン車販売を禁止することを発表してから1年後にスペインが同調した。EUは2030年をめどに排出ガス規制を強める方針を決定していた。先陣を切るノルウェーは2025年までに化石燃料を使用しているすべての自動車の使用禁止を目指している。
しかしサンチェス政権は議会で過半数を欠いており、公表された新しい規制法案を承認するには他の政党の支持を得る必要がある。この計画ではEVの充電インフラを整備する必要があり、2021年までにマドリードとバルセロナの中心部にすでに存在するような5万人以上の都市が「低排出ゾーン」を設定することになる。
また新規性法案では2050年までに、電力システムは再生可能エネルギー源だけに依存するとしている。この計画の下では、化石燃料を消費する計画への補助金は廃止される。
再生可能エネルギー復権の起爆剤
サンチェス首相は11月11日、気候変動が「世界的に直面する最大の課題」と警告し、そのため「緊急性と決意をもって行動する」必要があるとした。スペインは再生可能エネルギー比率が高く、もともと化石燃料依存性が低く、エネルギー消費で突出していないため、縮小しつつあった再生可能エネルギー路線の復活で、完全EV化も現実的と判断したのだろう。しかし電力豊富なノルウエイや再生可能エネルギー比率の高いスペインでは成立する挑戦的な脱炭素化を実行できる国は限定されることを忘れてはならない。
挑戦的なEUの脱炭素化政策
2018年6月にEUは風力、太陽光、その他の再生可能エネルギー源の消費目標を引き上げることで合意し、前回の27%から2030年までに32%に目標を上方修正した。
これに先立つ2015年12月のパリの気候変動対策の下で、EUは1990年レベルと比較して2030年までに温室効果ガス排出量を40%削減すると約束し、エネルギー消費の27%を再生可能エネルギーとすることを目標としていた。
欧州議会と加盟国は引き続き最終承認を得なければならないが、輸送用燃料の少なくとも14%は2030年までに再生可能エネルギーから供給されなければならない。これにより第一世代のバイオ燃料は2020年レベルに制限され、道路や鉄道輸送の最終消費量の7%を超えないことが要求される。先進バイオ燃料とバイオガスのシェアは、2025年に少なくとも1%、2030年には少なくとも3.5%でなければならないとしている。
理念が先行するブリュッセル
欧州委員会の下にいる官僚たち(通称”ブリュッセル”)は実にきめ細かく数値目標を設定してEU各国に圧力をかける。しかし自然エネルギー利用への取り組み方は工業化度や産業規模、エネルギー政策によって国ごとに開きがある。慣習や個々の事情を無視して「理念」を押し付けるEUの束縛への反撥も高まっている。スペインが脱炭素化の流れに加わったとしても、加盟国の足並みが揃ったわけではない。EU(官僚)が理念をレトリックに置き換えて、規制を押し付けるなら求心力低下は免れないだろう。
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