自国に不利なEU離脱交渉を進めるメイ政権

13.07.2018

Photo: ktbs

 

 メイ英首相は12日に英国政府のブレグジット、離脱後のEUとの関係に関する基本方針を明らかにした。EU離脱担当相のデービス氏とボリス・ジョンソン外相が相次いでの抗議辞任で政治情勢が混乱を見せている中で、公表をした基本方針は内容が離脱を骨抜きにする内容であり、メイ首相の強引なプロセスが問題視されている。

 

 メイ首相は6日に閣議を開催し、「ソフト・ブレグジット」に閣内の支持を得たが、離脱推進派の英保守党のジェイコブ・リース・モグ議員によると、メイ首相は前日の5日に独ベルリンを訪れ、メルケル首相と基本方針に関して秘密裏に協議を行っていた。また、EU側も事前に基本方針の内容を把握した可能性が高い。

 

 メイ政権の閣僚が「ソフト・ブレグジット」の内容を知らされる前に、ドイツのメルケル首相に相談し、EU離脱担当相のデービス氏の知らないところで今回の基本方針が策定されていたのである。メイ首相が国家機密であるべき情報を他国に漏らしたこと、ブレグジット担当相を外して、国の基本方針を決めたことなど、憲法に反しているかが厳しく問われることになる。

 

 「ソフト・ブレグジット」(EU離脱のソフトランデイング戦略)は離脱を諦めることに等しいとされる。方針転換することはあり得ないメイ首相への批判と辞任を求める国民の声は厳しくなることは避けられない。メイ政権崩壊へ向かう英国の政治混迷はドイツ、イタリアの政治不安定性と相待ってEUにとっても影響が大きい。